AppleがAI機能「Apple Intelligence」の開発にあたり著作権を侵害したとして、2人の作家が同社を提訴した。

 サンフランシスコのカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に米国時間9月5日に提出された訴状によると、作家のGrady Hendrix氏とJennifer Roberson氏は、Appleが著作権を侵害し、AIの学習のために両氏の書籍を違法に入手・使用したと主張している。

 両氏の主張によると、Appleは「Applebot」というソフトウェアプログラムを使って「Books3」などの「シャドーライブラリー」からデータをスクレイピングしたという。両氏の小説はこの海賊版ライブラリーに含まれていたため、同意なしにAppleのAI開発に使用されたとされる。

 訴状には「Appleはこれらの作家に対価を支払おうとしなかった」「Appleは自社のモデルに使われた著作権のある書籍を複製、使用するためのライセンスを求めなかった。その代わりに、海賊版データセットにすでにまとめられていた書籍を利用することで、意図的に支払いを回避した」と記されている。

 Appleにコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。

 このようなデータソースは、生成AIモデルを開発する企業にとって非常に価値が高い。AIモデルを改善し、より一貫性のある人間らしい応答を生成できるようにするには、人間が作成した高品質なコンテンツが大量に必要となるからだ。しかし、クリエイターと交渉して作品へのアクセスの対価を支払うには、コストも時間もかかる可能性がある。著作権侵害訴訟がこれほど多く起きているのは、そのためだ。

 Appleに対する訴訟が起こされた同日、「Claude」を開発するAnthropicは、海賊版に関する集団訴訟で作家らに15億ドル(約2200億円)を支払うと発表した。これは海賊版作品1点あたり約3000ドル(44万円)に相当する。この訴訟は、Anthropicが部分的に勝訴した別の著作権訴訟から派生したものだ。その裁判で裁判官は、Anthropicによる著作物の使用はフェアユース(公正な利用)であるとの判決を下している。最初の判決から2日後には、Metaも同様の訴訟で勝訴した。

 著作権は、AI企業とクリエイターにとって最も重要かつ議論の的となる法的問題の1つだ。一部のテクノロジー企業がパブリッシャーと数百万ドル規模の契約を結んでコンテンツへのアクセス権を得る一方で、他の企業は今回のような訴訟で法廷闘争を繰り広げている。

 テクノロジー企業は、フェアユースの例外規定を求めて激しく争ってきた。フェアユースとは、教育や報道などの目的であれば、権利者の許可なく著作物を利用できるとする著作権法の考え方だ。一方のクリエイターは、AI企業がライセンス料の支払いを免れるためだけに数十年にわたる著作権法の判例を無視することがないよう、また、自分の作品がAIシステムの学習に使用されることを拒否(オプトアウト)できる選択肢を確保できるよう、戦いを続けている。

 これらの出来事は、Appleが秋に開催するイベントのわずか数日前に起きている。このイベントでは「iPhone 17」が発表される見込みだ。Appleとファンにとって年内最大のイベントであり、開催後には次世代OS「iOS 26」がiPhoneユーザー向けにリリースされるとみられる。9日に開催される「Awe dropping.」(日本語版は「言葉にできない。」)と題されたイベントで発表されるAI関連のニュースは、この訴訟の今後の展開で再び注目されることになるだろう。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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