「ルパン三世」シリーズとしては約30年ぶりの劇場版で、かなり期待していた本作。公開2日目に鑑賞してきたのですが、なかなかの客入りでした。さすが世代を超えて愛される人気シリーズです。

ストーリーは、ルパン三世と仲間の次元大介、石川五ェ門、峰不二子たちが、自分たちを襲った謎の敵の黒幕がいるとにらんだ”地図にない島”へと飛行機で向かう途中、彼らを追う銭形の乗った飛行機や地上からの攻撃により、島へ不時着することになり、おびただしい数の兵器が放置され、かつての敵たちが徘徊し、毒ガスが漂うような島で、銃も刀も通じない不死身の敵・ムオムと対峙することになるというもの。

冒頭は、テレビアニメ第1シリーズを彷彿させる、ルパンのナレーション入りのキャラ紹介。往年のファンの心をくすぐる粋な演出に、すでにここで胸熱です。そして、本作の物語の前日譚をコンパクトに紹介してくれます。前日にアマプラで見たばかりなので記憶は鮮明ですが、これなら事前に観ておかなくても大丈夫です。

そして、いよいよ謎の島でのバトルと謎解きへ!すでに本作予告と前日譚「銭形と2人のルパン」で黒幕がマモーであることは仄めかされているのですが、意外にもムオムとかいう、不死身のマモーもどきが登場してびっくり!しかも、これがマジで不死身なため、ルパンたちは苦戦を強いられます。このムオムにはどんな謎が隠されているのかと興味をそそります。

ただ、全体的に単純な話のはずなのに、なにかわかりにくくてイマイチのめり込めません。とりあえず、過去の因縁がある敵たちがいろいろ登場するのですが、その因縁がわからないために感動に結びつきません。しかも、肝心の黒幕マモーとの対峙はなし!結局、ここから「ルパンVS複製人間」へと繋がるということなのでしょう。でも、その作品を知らない観客はモヤモヤするのではないでしょうか。そう思うと、いっそのことマモーとの対決も含めたリブート作品として描いてもよかったのでないかと思います。とは言え、まずは新作劇場版を届けてくれたことに感謝です。

鑑賞後に紹介サイトをのぞいて、本作が小池健監督による「LUPIN THE IIIRD」シリーズの劇場版であることを初めて知りました。本作の前にオリジナルビデオ作品が4本もあったんですね。その中で対峙した敵が、本作で再び登場したということなのでしょう。シリーズをきちんと追っていたら本作の評価も変わっていたかもしれませんが、シリーズ未鑑賞では本作のおもしろさは十分に感じ取れないかもしれません。でも、それを差し引いても、鑑賞後の爽快感はちょっと足りなかったかなという印象です。

キャストは、栗田貫一さん、大塚明夫さん、浪川大輔さん、沢城みゆきさん、山寺宏一さんらレギュラー陣に加え、片岡愛之助さん、森川葵さんらがゲスト声優として参加しています。ゲストも含めて安定の演技で、没入感を妨げられることはありません。

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