──ここまでどシンプルかつどストレートなメッセージを放つことに対して、変な話、気恥ずかしさはなかったですか?

ファンキー加藤:それはないかな。作っているときからずっと頭に浮かんでいたのがライブでした。僕らがステージに立っていて、目の前にいるお客さんに向かって投げかけているような……〈空っぽの両手を叩いて〉という歌詞を書いているときなんて、まさにフェスの光景、たくさんの人が頭の上でハンドクラップしている映像がずっと頭に浮かんでいて。シンプルな言葉こそまっすぐ伝わるじゃないですか。ややこしい比喩表現なんて、お客さんはポカーンとしちゃう(笑)。それより「手を叩け!」ってシンプルに呼びかけるほうが正解なんじゃないかなって。

──もがき悩む主人公の心情もありありと綴られていて、そのうえでの“音楽を鳴らそう”という気持ちの表明だったりもしますよね。ある種の青臭さもあると思うんですけど、そうした感情が今でもおふたりの中に息づいているのでしょうか? それとも、昔の自分と今の若い人たちを重ね合わせて応援するような視点で書かれたのでしょうか?

ファンキー加藤:そこまで深く考えてないですね。さっき言ったように、ライブの画しか浮かんでなかったんですよ。僕らのライブなんて永遠に青臭いままで(笑)。いつまで経っても成熟しないところがあるので、それゆえの内容ではあると思うんですけど……とにかく目の前にお客さんがいて、ライブ会場で俺たちと向き合ってくれている人たちの画しか浮かんでなかったです。もしかしたら会場の片隅には音楽にのれない人や思い悩んで泣いている子がいるかもしれない、そういう画ですね。

モン吉:前にファンちゃん、AメロとかBメロを自分がいちばんつらいときに書いてるって言ってたよね。

ファンキー加藤:俺のAメロあるあるだね(笑)。ま、根がネガティブっていうのもあるけど。別に曲のために自分の気持ちを落ち込ませてるわけでもないんですよ。ただ、やっぱり“楽しい”だけではないというか……フェスで俺、ステージに上がる前はナーバスになっちゃうんです。この前もモン吉に「落ち着け!」ってたしなめられて(笑)。

モン吉:そんなに強く言ってない(笑)。

ファンキー加藤:共演者があまりにも強くて、どうにかして爪痕を残さなきゃって気負いすぎちゃって。モンちゃんはそこらへん、結構、肩の力が抜けてるよね。

モン吉:「普通にやりな?」って言いました(笑)。来てくれてる方たちが喜んでくれるライブをしようと思うだけなので、「あいつを倒す!」みたいには思わないっていう。

ファンキー加藤:それこそ俺が大人になりきれてないところなんだよな。いまだに「ぶっ倒してやる!」とか「誰よりも爪痕を残してやるぜ!」って思っちゃうもん。〈音楽を鳴らそう〉って言っている最中も、自分の心の中にはそういう青臭くてグチャッとした感情があって、そういうのがAメロやBメロあたりで節々に出ちゃってる気がします。

──そういう部分もあるからリアルに刺さるというか、深いところにも響くんだと思うんです。この曲を作ったことによって、新しい扉が開かれたような感覚もありますか?

ファンキー加藤:この間、新潟の【ながおか米百俵フェス 〜花火と食と音楽と〜 2025】(※5月24日出演)で「音楽を鳴らそう」を初披露したんですけど、それって俺たちにしてはすごく珍しいことで。ワンマンでは歌うことはあるけど、フェスやイベントでリリース前の楽曲を歌うことってほとんどないんです。わりと慎重派なので、セットリストはみんなが知っている曲で構成して挑むパターンが多くて……この時点でかなり扉は開かれてますよね。

──やろうと思った理由は?

ファンキー加藤:この曲のパワーがそうさせたのかな。

モン吉:なにせフェスを思い描いて作ったからじゃない。

ファンキー加藤:それはあるね。あと、ユニバーサルさんから「新曲を歌ってください」ってお願いもあったので。

モン吉:うわ、正直(笑)!

ファンキー加藤:そうやって背中を押してくれるって大きなことじゃないですか。なかなか自分たちでは踏ん切りがつかないところを「やりましょうよ」って言ってもらえて腹をくくれたというか、今までやったことのないことができる。今後もこの曲はフェスやイベントで歌っていくでしょうし、自分たちのワンマンでも核となる曲になったことが、実際に披露して実感できました。

──ちなみに曲を初披露されるときって緊張されるんですか?

モン吉:普段はあんまりしないんですけど……

ファンキー加藤:このときはちょっと緊張してたでしょ(笑)。いつもと違ってたもん。

モン吉:うん(笑)。ステージではいつもと違わないように頑張ってました(笑)。でも、お客さんも初披露とは思えないくらい盛り上がってくれて。最初にみんなで振りを練習してから披露したのがよかったのかも。

ファンキー加藤:〈doo-wop do it〉のところでちょっと振付を作ったんですよ。それをみんなで踊ったおかげで一体感が生まれました。

──曲のアクセントとして、この〈doo-wop do it〉が絶妙に効いてますよね。

モン吉:今回の歌詞でいちばんいいよ。このキャッチーさがすごくいい。

ファンキー加藤:もはや歌詞じゃないけどね。こういうスキャット的な何かが欲しかったんですよ。あわよくば、バズればいいなって(笑)。実際、フェスでもいちばん盛り上がりました。

──ラスサビ前の〈叶えよう もう⼀回/あともう⼀回でいい〉というフレーズも個人的に印象的でした。これは、もう一発デカい花火を上げてやるという決意表明だと捉えてもいいですか。

ファンキー加藤:そうですね、やっぱり……もう一回、売れたい(笑)。売れたいっていうか、もう一回でいいから国民的ヒット、誰もが口ずさめるようなヒット曲を生み出したい。

モン吉:あ、そういう気持ちがここに掛かってるんだ? 今、初めて知りました(笑)。

ファンキー加藤:あははははは(笑)! 俺、ずっと前から言ってるんですよ。令和になって再始動してからずっと、あと1曲でいいからみんなが口ずさめる曲が欲しいって。そういう意味に加えて、今までファンモンを聴いたことのない人に「とりあえず一回、曲を聴いてくれたら。ライブに来てくれたら」って訴えかけているところもあります。とにかく一回でいいから俺らのことを観てほしいし、聴いてほしい。絶対に楽しませる自信があるから。今はその一回すら難しい時代じゃないですか。サブスクには膨大な曲があるし、音楽以外のエンタメがこんなに溢れまくっている世の中で、一回聴いてもらうこと、一回ライブ会場まで足を運んでもらうことがどれだけ尊いことか。

──わかります。

ファンキー加藤:このフレーズにはそういう切なる願いも込めているので、結構、こだわったんです。モンちゃんからもプロデューサーの(田中)隼人からも「ここはどうなんだろう?」って言われたんですけど、自分の中でしっかりしたヴィジョンがあったので、そのまま通させてもらいました。

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