すでに安藤元一(2008)「ニホンカワウソ」は紹介されているので、それ以外の本をいくつかご紹介したいと思います。ただ、ほとんどの本は手に入れることが難しいかもしれません。

まずは清水栄盛(1975)「ニッポンカワウソ物語」(愛媛新聞社)です。愛媛県の道後動物園園長としてカワウソの研究を行い、人工増殖を推進していた方が当時の状況をまとめられています。自然下での保護を主張する愛媛県立博物館の八木繁一氏との対立が愛媛県ではありました。紹介して良いのか迷うのが、辻康雄(1974)「南国のニッポンカワウソ」(誠文堂新光社)です。高知県のナチュラリストの方で保全について高知県内で独自の主張をされていて、どこまで本当のことが書かれているのか分からない本です。カワウソが生息していた頃のカワウソをめぐる出来事を丁寧にまとめられているのが、宮本春樹(2015)「ニホンカワウソの記録」(創風社出版)です。宮本春樹(2006a)「段畑からのことづて」(創風社出版)、宮本春樹(2006b)「イワシからのことづて」(創風社出版)は宇和海で生活する人の状況の大変さがしっかりと書かれていて、カワウソがなぜ最後まで宇和海で生き残っていたのかを理解するのに役立つ本です。


図1

 

外国の本では、Chanin (1985)「The natural history of otters」(Christopher Helm)が概要を知るには良いのですが、古くなっています。Mason & Macdonald(1986)「Otters: Ecology and conservation」(Cambridge)は専門書的な内容で古くなってきています。もっとも信頼できる専門書は、Kruuk(2006)「Otters: ecology, behaviour and conservation」(Oxford)です。読むとすればこれがオススメです。気になるところを拾い読みでも十分かと思います。一般的な本として、IOSFのYoxon夫妻が書かれたYoxon & Yoxon(2014)「Otters of the world」(Whittles Publishing)もあります。種ごとに説明があり、カラー写真もあるので読みやすいかと思います。


図2

 

最後に手前味噌になるのですが本ではなく私の論文をお勧めします。佐々木(2016)「日本のカワウソはなぜ絶滅したのか」筑紫女学園大学人間文化研究所年報(27):96-111 です。これを読めば日本のカワウソの歴史がよく理解できるかと思います。対馬の経緯も含め、そのうち本にしなければいけないとは思っています。

 

図1:日本語で書かれたカワウソの本

図2:英語で書かれたカワウソの本

 

日本アジアカワウソ保全協会理事長 佐々木 浩(筑紫女学園大学名誉教授)

Write A Comment

Pin