放送開始から約1カ月が経過したNHK連続テレビ小説『あんぱん』。国民的キャラクター『アンパンマン』の生みの親である漫画家やなせたかしと妻・小松暢の夫妻をモデルにした、嵩(北村匠海)とのぶ(今田美桜)はドラマでは幼なじみの設定だ。

 小学生の時に出会い、互いに支え合いながら成長してきた2人は今、青春のど真ん中にいる。嵩は少なからず好意を寄せているようだが、のぶの方は恋愛への関心は薄い。また嵩も積極的にアプローチするようなキャラではないため、2人の恋が本格的に描かれるのはもう少し先になると予想される。

 そんな中、視聴者の関心が集まったのは、別軸で展開されている蘭子(河合優実)と豪(細田佳央太)の恋模様だ。明るく男勝りな長女・のぶと、天真爛漫で甘え上手な三女・メイコ(原菜乃華)の間に挟まれた次女の蘭子は、三姉妹の中で一番のしっかり者。演じる河合優実の魅力が存分に引き出されている役柄で、控えめな印象の中に上品な艶がある。そんな蘭子が年相応の顔をのぞかせるのが、朝田石材店を営む祖父・釜次(吉田鋼太郎)の弟子である豪だ。無骨ながらも真面目で思いやりのある若者を細田佳央太が好演している。

 蘭子も豪もまだそこまで出番が多いわけではない上に口数は少なめだが、画面に出ていると、自然に目が引かれるのは河合と細田の芝居が秀逸だからに他ならない。言葉にせずとも、2人が思い合っていたことは明白。お互いを前にした時の仕草、視線の動き、身体表現のぎこちなさや緊張感など、言語に頼らず心情を伝えるノンバーバルな芝居のやりとりに多くの視聴者が魅せられている。

林遣都の“かわいいマスター”姿も見納め 『スカーレット』次週より“本編”再開も武志に忍び寄る影

『スカーレット』(NHK総合)第21週「スペシャル・サニーデイ」では、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)が中心の長い長い1日が…

 朝ドラにおいてヒロインが3姉妹の設定は一つの定番だ。三者三様の生き様は見応えがあり、特に恋愛事情は視聴者の関心度も高い。第101作『スカーレット』(2019年度後期)は、長女の喜美子(戸田恵梨香)が主人公。決して裕福ではない暮らしの中でも明るさを失わず、ひたむきに生きる喜美子はやがて陶芸家となり、同業者の八郎(松下洸平)と結婚する。だが、作品との向き合い方における価値観の相違から離婚。後に“子はかすがい”で和解するも、最後まで再婚することはなかった。自由奔放でわがままな次女・直子(桜庭ななみ)は最初の結婚相手に捨てられ、ショックを受けるが、すぐに別の相手を見つける。おっとりとした性格の三女・百合子(福田麻由子)は喜美子の幼なじみである信作(林遣都)と結婚。兄妹のような2人が恋愛に発展していく過程は視聴者を大いにときめかせた。

『エール』2週目で味わう、関内三姉妹の関係性 松井玲奈、二階堂ふみ、森七菜の絶妙なバランス

連続テレビ小説『エール』(NHK総合)の再放送が、7月4日より第2週に入っている。
 第1週、裕一(石田星空)の子供時代に続き…

  第102作『エール』(2020年度前期)は次女の音(二階堂ふみ)がヒロインで、国際的な作曲コンクールで入賞した主人公・裕一(窪田正孝)にファンレターを送ったことがきっかけで恋に落ちる。裕一の家族から反対に遭い、駆け落ち同然で結婚した情熱的な女性だ。歌手になるという夢は断腸の思いで諦めるが、一番の理解者である裕一に救われる。しっかり者の長女・吟(松井玲奈)は軍人の夫・鏑木(奥野瑛太)と結婚。最初はぎこちなかった2人だが、終戦後にゆっくりと絆を深めていく。文学少女で少し気難しい性格の三女・梅(森七菜)と、裕一の弟子で無骨だけど心優しい五郎(岡部大)のピュアな恋愛模様も大きな話題となった。

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