4月13日に阿部寛主演のTBS日曜劇場『キャスター』がスタートした。本作は、テレビ局の報道番組を舞台に、阿部寛演じる型破りなキャスター・進藤壮一が、闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく社会派エンターテインメント。かつての勧善懲悪型のヒーロー像を現代のテレビ報道の中に再構築し、進藤が生放送中に事実を暴き、不正や犯罪を断罪する姿には、かつてのテレビドラマが持っていた“痛快さ”が蘇っている。

 特筆すべきは、報道というジャンルを舞台にしつつ、リアルさ一辺倒ではなく、エンタメの力をしっかりと活用している点だ。第2話で扱われた「スポーツ賭博疑惑」も、大谷翔平の通訳・水原一平が起こしたものを想起させる事件をベースにしながらも、フィクションとのバランス感覚が絶妙だった。

 また、第3話ではSTAP細胞騒動を思わせる科学者が登場。作中では「iL細胞はあった」という結末となった。11年ぶりの民放ドラマ出演となるのんをキャスティングしたことで、視聴者からは「のんちゃんが地上波出演で嬉しい!」との声が殺到するなど、話題作りにも抜かりがない。

のんは“最高”を更新し続けている 『あまちゃん』から『キャスター』に至るまでの進化

〈Give me my name back 生まれ変わるように 今を生きてる〉
〈ふざけんな 嘘をつくな 真実に興味はないくせ…

 日曜劇場はここ数年、さまざまな試行錯誤を繰り返してきた。2023年の『VIVANT』(TBS系)では破格のスケールと謎解き要素で高評価を得たが、2025年1月期の『御上先生』(TBS系)では哲学的な台詞劇が展開され、視聴者の間でも賛否が分かれた。今回の『キャスター』は、その揺れ戻しともいえるポジション。言葉に重きを置きつつも、エンターテインメント性を重視する構成となっており、“日曜の夜に見るドラマ”としてちょうどいい重量感を保っているように思える。

WACOCA: People, Life, Style.

Pin