はじめまして、一般社団法人エル・システマジャパンの代表理事・菊川穣です。
私たちは、南米ベネズエラで始まった「El Sistema」という音楽教育プログラムをベースに、「立場や能力に関わらず、全ての子どもが集団での音楽教育を通して積極的に自己実現をはかっていく」ことを支援してまいりました。
El Sistemaとは 「El Sistema」はスペイン語で「システム(仕組み)」という意味です。貧富の格差が大きいベネズエラで、音楽を通して青少年に生きる力を与えて、犯罪予防や地域振興ができる「仕組み」を作ろう、という壮大なビジョンをもとに1975年に始まり、現在は100万人以上の子ども達が参加しています。 さらにこの「仕組み」は、現在70以上の国と地域で、様々な社会課題に取り組む実践が広がっています。
日本では、東日本大震災で被災した子どもたちが音楽での経験を通して、自信や尊厳を回復し自分の人生を切り開いていく力をはぐくむことを当初の目的に、2012年よりエル・システマジャパンとして福島県相馬市で開始。
2014年から岩手県大槌町、2017年より長野県駒ヶ根市、東京都、10周年を迎えた2022年からは大阪府 豊中市、京都府舞鶴市と活動が拡大しています。また、2023年4月からは児童養護施設 でのバイオリン教室の実施を音楽支援ボランティア団体「弦楽りぼん」と共に行っています。
現在は下記の子どもオーケストラやコーラス、プロジェクトをそれぞれの自治体とパートナーシップを持ちながら運営しています。
・相馬子どもオーケストラ&コーラス
・大槌子どもオーケストラ
・駒ヶ根子どもオーケストラ
・東京子どもアンサンブル
・舞鶴子どもコーラス
・クリエイティブ・ワークショップ
・エル・システマ作曲教室
(※豊中みんなの音楽教室は現在休止中)
2022年には、こうした地域での活動を認めていただき、栄えある国際交流基金地球市民賞を受賞しました。
これまでも世界に広がるエル・システマ団体との交流も大切にし、様々な交流を行ってきたエル・システマジャパンですが、今年6月に、カナダから来日する2つのエル・システマ団体と交流の実現を目指し、今回クラウドファンディングを行うことにいたしました。
これまでのクラウドファンディングでのご支援に感謝しています!
これまでもクラウドファンディングを通じて、様々なエル・システマジャパンの各事業を応援いただきましたことに、心から感謝しております。
2024年12月には、エル・システマジャパンが運営する東京子どもアンサンブルのクリスマスコンサートに向けてのクラウドファンディング「見える子も見えない子も一緒に歌える喜びを。
インクルーシブな社会を。」は、97人の皆様からの1,462,000円ものご支援を得て、成立しました。そして、その資金により、12月25日(水)に東京子どもアンサンブルのクリスマスコンサート「ノエルの子どもたちvol.2~金子三勇士さんを迎えて~」を無事開催することができました。
∟コンサート当日の様子はこちらでご報告しております。 https://readyfor.jp/projects/148130/accomplish_report
本当にありがとうございました。
一方で、エル・システマジャパンの各拠点では、それぞれの自治体とパートナーシップを結ぶなどして運営しておりますが、非営利団体でもあることから、毎年ではないコンサートや交流会などの特別な行事への予算をあらかじめ組むことができず、資金対応が難しい状態にあります。
そうした時にクラウドファンディングでの皆様からのご支援は、大変ありがたく、子どもたちの活動を豊かにすることへの大きなサポートとなっています。
カナダと日本のエル・システマで活動する子どもたちの交流を6月に
エル・システマの活動は日本を含めて世界70以上の国と地域で展開しており、特に、カナダは国内に様々なプログラムを抱える盛んな国です。
この度、2025年の大阪・関西万博でのカナダ文化プログラムの一環として、国立カナダナショナル管弦楽団と共に、首都オタワのOrKidstraとニューブランズウィック州ニューブランズウィックのSistema New Brunswickという2つのエル・システマ団体から弦楽器を学ぶ14〜18歳、総勢12名のメンバーが来日することになり、是非ともエル・システマジャパンの子どもたちとも交流をしたいとの打診を受け、準備を進めています。
Orkidstra
Sistema new brandswick
6月1日(日)に、大槌、相馬、駒ヶ根の子どもオーケストラのメンバーとの交流発表イベントを、会場となる東京音楽大学の協力のもと企画しております。(観客は関係者、保護者のみの予定です。)
OrKidstraから選抜弦楽器メンバー6人(13〜19歳)、Sistema New Brunswichから選抜弦楽器メンバー6人(13〜19歳)、大槌子どもオーケストラ、相馬子どもオーケストラ、駒ヶ根子どもオーケストラから選抜メンバー(最大40人)、そして、国立カナダナショナル管弦楽団(Canadian National Arts Centre Orchestra)から、レジデントコンダクター含む有志弦楽器メンバー(5人) Henry Kennedy (レジデントコンダクター) Jessy Kim (バイオリン) Tovin Allers (ビオラ) Daniel Parker (チェロ) Vincent Gendron (コントラバス)も指導に加わってくれることになりました。
これまでもエル・システマジャパンでは、様々な国際交流イベントを行ってきました。
2015年3月日米エル・システマ共同企画「ドゥダメルと子どもたち」
(©FESJ2015/MarikoTagashira)
2016年5月アンゴラ・カポソカ音楽学院オーケストラと交流・共演
(©FESJ2016)
2018年12月エル・システマ・フェスティバル2018でベネズエラのララ・ソモスと共演
(©FESJ2018/KoichiroKitatashita)
そのたびに子どもたちは、広い世界を音楽を通じて実感する経験をしてきました。しかし、2020年のコロナ禍以降、その国際交流の機会が失われ、海外のエル・システマ団体との共演は、2019年以来6年ぶりのことです。
同じエル・システマで音楽を学ぶ子どもたち同士との音楽を通じての交流、そして、エル・システマの仲間同士だからこそ、国も文化も言語も越えて繋がっていけると考えます。子どもたちの未来を広げる特別な意味を持つ機会を実現できると私たちは感じていて、ぜひとも実現したいと考えています。
国立カナダナショナル管弦楽団(Canadian National Arts Centre Orchestra)や東京音楽大学のご厚意で、会場費などは補助をしていただけますが、大槌、相馬、駒ヶ根の子どもたちの交通費や宿泊費、また引率、サポートスタッフなどの経費などで100万円が必要です。
こちらを今回のクラウドファンディングで賄いたいと考えています。こうした国を超えた音楽でのコミュニティづくりを皆様から応援いただき実現することで、より多くの方に音楽の持つ力やエル・システマの理念に親しんでいただけるのではないかと考えたことも、クラウドファンディングに踏み切った理由の一つです。
プロジェクトの内容
目標金額の使途および実施内容:
日本のエル・システマの子どもたちがカナダのエル・システマの子どもたちと交流します。
※必要経費125万円(うち、20万円はカナダナショナルアーツセンターが負担)
子どもたち・引率者の旅費交通費60万、スタッフ費用15万円、広報費用10万円、システム使用16万円、会場費 20万円、消耗品費4万円。
※また目標額を超えた金額は、エル・システマジャパンが運営し今回の交流に参加する、相馬子どもオーケストラ、大槌子どもオーケストラ、駒ヶ根子どもオーケストラの活動費用として活用させていただきます。講師・ボランティア謝金100万円、旅費交通費25万円、消耗品費5万円。
※本プロジェクトは、支援総額が期日までに目標金額に届かなかった場合でも、目標金額分を自己負担するなどして、必ず上記の実施内容の通り実行致します。
過去の国際交流演奏会の様子から©FESJ2015/MarikoTagashira
場所:東京音楽大学池袋キャンパス内の教室
参加者:最大150人(出演者50人、指導者10人、関係者50〜90人)
カナダ・オーキドストラ(OrKidstra)から選抜弦楽器メンバー6人(13〜19歳)
カナダ・システマ・ニュー・ブランズウィック(Sistema New Brunswich)から
選抜弦楽器メンバー6人(13〜19歳)
大槌子どもオーケストラ、相馬子どもオーケストラ、駒ヶ根子どもオーケストラから、選抜メンバー(最大30人)
大槌子どもオーケストラ
相馬子どもオーケストラ
駒ヶ根子どもオーケストラ
国立カナダナショナル管弦楽団(Canadian National Arts Centre Orchestra)から、
レジデントコンダクター含む有志弦楽器メンバー(5人)
Henry Kennedy (レジデントコンダクター)、Jessy Kim (バイオリン)、Tovin Allers (ビオラ)、Daniel Parker (チェロ)、Vincent Gendron (コントラバス)
プログラム:
大槌子どもオーケストラ
【A.ヴィヴァルディ:「四季」より春】
相馬子どもオーケストラ
【吉松隆:「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット」】
駒ヶ根子どもオーケストラ
【A.ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 ハ短調】
カナダ/日本の全体合奏
【P.チャイコフスキー:弦楽セレナーデより第1楽章】
【W.A.モーツァルト:アイネクライネナハトムジーク】
【A.ピアソラ:リベルタンゴ】
【M.マリア:春 他 】
プロジェクトの展望・ビジョン
久しぶりのエル・システマジャパンでの国際交流の演奏の機会とあって、参加する日本の子どもたちの中には、「初めて海外の同世代の子どもたちと演奏をする」という子も多く、皆、期待に胸を膨らませながら、現在練習に励んでいます。
カナダの子どもたちとの音楽を通じた交流、またカナダのプロフェッショナルのオーケストラ奏者からの指導は、子どもたちにとって、かけがえのない体験、そして人生における大きな刺激となることでしょう。
今回の交流をきっかけとして、今後もカナダとの交流を続けていきたい、そしていつかはカナダを訪れて演奏をしてみたい、そんな大きな目標も現在、私たちは考えています。
また、今回、交流経験をした子どもたちが、経験をそれぞれの子どもオーケストラの仲間たちと共有し、活動をさらに充実させていくことができたら、どんなに素敵でしょう。子どもたちの未来のために、どうぞ皆様のお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。
クラウドファンディングにかける想い
一般社団法人エル・システマジャパン
木許裕介│音楽監督(オーケストラ)
ヨーロッパ、アフリカ大陸、東南アジアなど、世界各地で、何ヶ国もの人々が集い、共に演奏する国際音楽祭を何度も指揮してきました。
なるほど音楽は国境を越える?いえいえ、とんでもない!そこでは、無数に「うまくいかない」ことが出てきます。それは地域や国の文化の差異に拠るところも多く、むしろ音楽には「ボーダー」が色濃くあるのだということを感じずにはいられません。
しかし、境界や差異があることをお互いが認識し、違いを認め合ったその先に、そこに集った人々で共に(Con)生きる(Vivre)ための、つまり共生への活路が開かれます。
日本各地に広がるエル・システマジャパンの活動拠点の子どもたちが集まり、カナダの子どもたちと交流し、音楽で語り合う今回のプロジェクトは、子どもたちが自らを「外」へ開いてゆく良き機会であると同時に、共生への活路をそれぞれが見出す機会になると確信します。
一般社団法人エル・システマジャパン
佐藤花音│指導者・相馬子どもオーケストラOB
私は中学生から相馬子どもオーケストラの活動に参加してきました。指導者になりたいと思ったきっかけは、エル・システマを通じて出会ったたくさんの国と方々との交流の経験です。
これまで、ベネズエラ、アメリカ、ドイツ、台湾、アンゴラなど多くの国の皆さんと共演し、一緒に演奏することでしか得られない、様々な経験や感動がありました。音楽を通して心を通わせ、刺激し合うことで音楽が人生が豊かになる、音楽にはその力があると私は実感してきました。
子どもたちには、今回の交流会を通して、この瞬間にしかできない素晴らしい経験をさせてあげたいと思っています。
※プロジェクト成立後、天災等やむを得ない事情(緊急事態宣言などコロナウイルスによる影響を含む)によりイベントが開催できなかった場合、お預かりした資金は、今後のエル・システマジャパンでの国際交流の資金に大切に使わせていただきます。
※掲載している画像は、ご本人・保護者より掲載許諾を得ています。
WACOCA: People, Life, Style.