この3月は、日本公開がスタートした映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に関する記事が注目された。アンディ・ウィアーの小説を原作とする本作は、太陽を蝕む微生物による地球滅亡の危機のなか、宇宙へと送り出された中学校教師が異星人の生き残りと友情を育みながら人類救済に挑む物語を描いている。随所に散りばめられたユーモアと奇想天外な演出、そして異星人「ロッキー」との心温まる交流が見どころだ。

レビュー記事では、観客受けを意識した軽さや、映像表現が大画面の可能性を生かし切れていない点が指摘されている。一方で高く評価されているのが、サンドラ・ヒュラーが演じる政府高官ストラットの存在感だ。『インターステラー』や『オデッセイ』とも比較されつつ、笑いと感動、宇宙スペクタクルを盛り込んだ野心作として、賛否入り混じる評価が寄せられた。

『WIRED』日本版 ポッドキャストでは、作家・書評家・声優の池澤春菜と『WIRED』日本版エディター・アット・ラージの小谷知也が、本作の見どころや原作との比較、さらには「次におすすめのSF作品」について語り合っている。

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一方、物理世界を取り巻く地政学的緊張が強まっている。2月末、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始すると、イランの首都・テヘランは即座に報復に転じ、湾岸地域の米軍関連施設へのミサイル攻撃を行なったとされる。アラブ首長国連邦(UAE)では多層型ミサイル防衛システムが作動し、複数の弾道ミサイルを迎撃したものの、その破片がUAEの首都・アブダビ市内に落下し民間人の犠牲者も出たという。探知から迎撃までわずか数分という極限の時間制約のなかで作動する防衛システムの仕組みと、迎撃成功が必ずしも完全な安全を意味しないという現実が浮き彫りになった。

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同時に、ペルシャ湾の出口に位置する要衝、ホルムズ海峡の動向が注目された。イランへの攻撃を受けて海峡の安全性に対する懸念が広がり、150隻を超えるタンカーが海峡外で待機する状況が生じたと報道されている。

ホルムズ海峡は世界の石油消費量の約5分の1、液化天然ガス(LNG)取引の約20%を支える世界屈指のエネルギー輸送路である。日本や韓国、中国をはじめ、多くのアジア諸国がカタール産のLNGに依存している。物理的な遮断が現実となれば、原油・ガス価格の急騰や物流コストの上昇により、世界経済全体に広範な影響が及びかねない状況だ。

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ここからは、3月にWIRED.jpで公開した記事を中心に、最も読まれた10本を紹介する。

01. 宇宙に「終わり」はあるのか? その答えが見えてきた

宇宙は永遠に膨張し続けるのか、それともいつか終わりを迎えるのか──。米国の物理学者が最新の観測データを基に、ある答えを導き出した。>>記事全文を読む

02. 数分の攻防──湾岸上空で作動したUAEミサイル防衛の仕組み

イランの弾道ミサイルが湾岸地域の米関連施設を標的にするなか、UAEのミサイル防衛網はリアルタイムで作動した。その数分間、秒単位で何が起きていたのか。探知から迎撃までの仕組みを解説する。>>記事全文を読む

03. AIモデルが物理法則を直観的に理解しはじめた

メタのAIモデルV-JEPAは一般的な動画を活用し、現実世界の物理法則を理解し、予測を外れた事態には「驚く」反応まで見せるようになった。>>記事全文を読む

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