福島大の学生が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地で住民に聞き取りした内容をまとめた書籍「福島、語り継ぐ生活史:大学生が聞いた暮らしと原発事故」(青弓社)が25日、発売される。生活者の視点から震災の記憶を記録し、次世代への継承を目指す。大学生がまとめた生活史を書籍化する取り組みは全国的に珍しいという。24日に福島市の福島大で発表会が開かれ、書籍化に携わった学生が思いを披露した。
フィールドワーク型授業「むらの大学」で2023(令和5)年度から2025年度までに実施したインタビューを収録。学生が4人1組となり、計43組が川内村、南相馬市小高区、大熊町、飯舘村の4地域で住民50人から話を聞いた。震災発生当時の経験に加え、発生前の暮らしや故郷への思いも記録した。取材準備から原稿作成、編集、追加取材までを学生自身が担い、教員の指導の下で完成させた。
授業は地域課題の解決策を探る内容が中心だったが、震災からの時間の経過に伴う記憶の風化が課題となり、現在は語りの記録とアーカイブ化に重点を置いている。いわき市泉町出身の行政政策学類1年、菅原未羽さん(19)は、大熊町で農業委員会会長を務める女性を取材。「当たり前の日常があったことを改めて知った。『誰かの力になりたい』という言葉が印象に残った」と感想を語った。
編集に携わった福島大教育推進機構の前川直哉准教授は「かけがえのない暮らしが奪われた事実がある。原発事故の風化に対し、記憶と教訓を継承していきたい。書籍を通して全国の人に福島に向き合ってほしい」と願った。
書籍はA5判、276ページ。2640円(税込み)。県内外の書店、インターネットで取り扱う。
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授業で住民をインタビューした内容を書籍にした学生
