おじいちゃんがヒット曲を出すってバリバリカッコいい

――気づいたらCDシングル2作連続で、収録された全曲にタイアップが付いているわけですが、それって「第ゼロ感」を機に10-FEETの楽曲がより幅広い層に届いた結果でもあり、それ以前から10-FEETのことを知っている企業の方、「第ゼロ感」をきっかけに10-FEETの魅力に気づいた企業の方がご一緒したいと思うようになったからでもあると思うんです。こういう現状に対して、TAKUMAさんは今どんなことを感じていますか?

TAKUMA:そりゃめちゃくちゃ嬉しいですよ。ほんま、昔だったらありえへんことですし。でも僕、自分の夢というか……30代ぐらいのときからスキャットマン・ジョンを目指しているんです。

――「孫に自慢できるぐらいのいい歳になってヒットしたことが、めちゃくちゃカッコいい」と、以前のインタビューでもおっしゃっていましたよね。

TAKUMA:そうです。あと、演歌で「孫」という曲をヒットさせた大泉逸郎さんも、お年をめしてからじゃないですか。おじいちゃんがヒット曲を出すってバリバリカッコいいなと思って、それをロックで実現させたらめっちゃカッコいいやんけと思ったんです。なので今50歳になって、映画やアニメを通じて子供たちにも届けられる楽曲をやらせてもらえているのは、感無量というか本当に嬉しいし、夢を叶えてもらっているような気持ちなんです。なので、今後もいろいろオファーしてもらえるように精進していきたいなって思いますね。

――僕はTAKUMAさんよりもちょっと年上ですが、僕らが10代の頃ってロックがそういうタイアップの世界に呼んでもらえることが、まだ少なかったですし、ロック自体の市民権も今ほどではなかったですよね。だけど、今は当たり前のようにロックがドラマやアニメの主題歌として流れてくる。ロック自体が成熟したのはもちろん、僕らと同じように10代からロックに触れてきた世代がいろんな企業において、自身の力を発揮できるポジションに付くことが増えたのも大きいんでしょうかね。

TAKUMA:確かに、それは大いにあると思います。

――と同時に、僕らが子供の頃に聴いていたロックミュージシャンの多くは、60代70代になった今も第一線で活躍している。そう思うと、TAKUMAさんがここから10年後、20年後にもヒット曲を生み出している未来って、想像に難しくないと思うんです。

TAKUMA:ありがとうございます。おっしゃるように、諸先輩方がいろんな未来を見せてくれているので、僕も希望を持てますし、今10-FEETを聴いてくれているみんなにとっての希望にもなれるのかなと。

――昨年50歳という節目を迎えたTAKUMAさんですが、バンド始めた頃に思い描いていた50代とのギャップを感じることってありますか?

TAKUMA:いや、ギャップも何も、バンドマンなんて不摂生の多い生活なので、30代か40代で辞めてるやろなと思ってましたし、下手したら他界してるんちゃうかなと思ってましたから(笑)。

――なぜここまで続いたんでしょうね。

TAKUMA:それはもう、ライブができる環境があったということと、メンバーも幸い元気なままで、初期の頃は年間多い時は100本前後ライブする活動をずっと続けてきたから、今みたいに「60本から80本くらいやったら楽勝や」って感覚になれているのも大きいんでしょうね。

――年齢とともに、体力面でキツいと感じることは?

TAKUMA:絶対に落ちているとは思いますよ。もちろん、部分的に体を壊したりするのはありますけど、あんまりキツいなとは感じないので、そこは気力とかメンタルによるものなのかなと。そのへんがキープできている限りは大丈夫なんじゃないですかね。

――バンドとしては来年、結成30周年を迎えますものね。

TAKUMA:ほんまですね。僕らの世代なんて、バンドは2年、長くて4年で辞めるもんでしたから、そう考えるとよう続いていると思いますよ(笑)。

――昨年、氣志團の綾小路翔さんとお話したとき、「今も残っていて、全国のフェスでレギュラー的に出ている同世代のバンド」としてマキシマム ザ ホルモンや10-FEETの名前を挙げていて。3組とも1997年結成ですが、30年近くにわたり独自の道を突き進んできましたよね。

TAKUMA:年齢とキャリア考えると、氣志團もホルモンも本当すごいなと思いますよ。ただ、僕らは結成当初、僕がピンボーカルやったりドラムをちょっと叩いたり、ベースをやったりとかしていて、今みたいなギターボーカルでスリーピースになったのはギターの人が辞めちゃったから、自分が弾かなしゃあないな、みたいな流れから。周りにはテクニックやセンスがあるバンドばかりやったから、自分らはレベルが低くて目立っていたんですよ。幸いその下手さをNAOKIやKOUICHは気にしてなかったけど、僕はギターが不慣れやから一番下手なくせにめっちゃ気にしていたんで、「こんなメンツと対バンしていいんかな」って思いながらライブをしていて。なので、その下手なことや自覚がないことへのコンプレックスが軸にあったんです。実力がない中で、どうやってこの人らと肩を並べて戦っていくのかをずっと考えてましたし、今も考え生きているので、常に「せめていい曲を作りたい」とか「せめてライブは激しくしたい」とか「気の利いたおもろいギャグでも言えな」とか、そういう思いがものすごく強いんですね。

――なるほど。

TAKUMA:で、氣志團とホルモンの話を受けて、僕らがこの年齢、このキャリアになっても残っている理由って何だろうと考えたんですけど、氣志團ってめちゃめちゃ自虐するじゃないですか。ライブの8割ぐらいが自虐ギャグでできていて、それがめっちゃおもろいんですよ。自虐を超えて、最終的にみんなをおもろくハッピーにさせてくれるんです。翔やんも「自分は歌がうまくないから、『俺なんかが歌っていていいのかな、申し訳ないです、すみません』という自覚のもとやっている」って言ってるけど、氣志團の歌声って翔やんしか考えられへんし。一方、マキシマム ザ ホルモンも……僕は昔から知ってるんですけど、きっと根強いコンプレックスがそれぞれにあって、けどそれを逆刃刀みたいな武器にしたり、時にはネタにしたりして、短所を無理やり長所に変えて遊んだりする一面があるじゃないですか。

――10-FEETも含め、皆さん自分の欠点や弱さを自覚していると。

TAKUMA:そう。だからこそ長生きできたんかなと、今聞いていてちょっと思いました。変な話ですけどね(笑)。

――ある意味では、すごく日本的な価値観のロックバンドなのかもしれませんね。

TAKUMA:ああ、なるほど。戦争で負けた国ですからね。やっぱり戦争に勝った国のロックやヒップホップはもっとマッチョですし。

――そう考えると、今回の「壊れて消えるまで」という楽曲もそのモードとリンクするものがあるなと思いました。

TAKUMA:確かに繋がりますね。僕ら日本人って欧米みたいな「どうだ、俺は強くなっただろ」っていうメッセージよりは、弱い一面とか悲しい過去が見え隠れするものに惹かれることが多い気がするので、この国に住んでいる人に合っているのかもしれないですね。

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