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最高の親和性を魅せたツーマンライブ
『a子とmuque』レポート
“ずっと対バンしたかった!”
最高の親和性を魅せたツーマンライブ
『a子とmuque』レポート
心斎橋・Music Club JANUSの名物企画、“JANUSが今観たい2組”が対バンする「○○と○○シリーズ」。2026年一発目は、1月30日(金)に行われた『a子とmuque』。両者共、今注目度が高い新進気鋭の若手アーティストだ。その人気ぶりを表すように、チケットはソールドアウト。a子とmuqueにとっても念願の対バンということで、お互いへの愛とリスペクトを強く感じる夜となった。
【a子】
フロアは既に高揚感と熱気に満ちていた。詰めかけた幅広い層のオーディエンスは、今か今かと開演の時を待つ。先攻はa子。2024年にメジャーデビューし、同年アメリカのフェス『SXSW』にも出演するなど、国内外で人気を獲得して躍進中のシンガーソングライターだ。

ステージにはa子率いるクリエイティヴチーム・londogに所属するバンドメンバーが登場。音を鳴らし始めると、ほどなくしてa子が姿を現した。トレードマークの鮮やかな赤髪が青白いステージに映えて幻想的だ。

「a子です。よろしくお願いします」と一言挨拶し、ライブは「miss u」からスタート。ギターを弾きつつウィスパーボイスを響かせるa子のドリーミーなサウンドに会場が染まってゆく。シンセがきいたチャイナテイストの「天使」からシームレスに「朝が近い夜」へと移る頃には、a子とバンドが作り上げる世界観にどっぷりと浸っていた。囁くような歌声とくっきりした歌声を交えたオリジナリティの高い表現、後ろに手を組んで歌う可憐でいじらしい仕草、それでいて纏うのはクールビューティーな空気感。a子の一挙手一投足に惹きつけられる。かと思えば、姫路出身の彼女は関西弁丸出しのイントネーションで「こんばんは〜」と気さくに挨拶。このギャップが魅力だ。

青い照明の中で歌われたスロウバラード「情緒」に続いては雰囲気を一転。ピンクの照明で「bye」を華やかかつアーバンに披露した。まろやかな浮遊感が全身を包んでいく。そして、曲が始まるなり歓声とクラップが起こった「LAZY」で急発進。疾走感たっぷりのロックナンバーで踊らせる。一度聴くと忘れない軽快なコーラスがクセになる「racy」は、ノスタルジーなメロディーがキュッとくる。1曲の中で時代とジャンルがミックスされた、オリエンタルで中毒性抜群のサウンドに心を射抜かれた。

MCでは「曲いっぱい詰め込みすぎてMCの時間が全然なくて、早口でいくよ。JANUSさん15周年おめでとうございます。muqueさんとの対バン、muqueさんのこと大好きやったからほんまに嬉しいですありがとうございます。最近私ワンちゃん飼い始めて、ロンくんっていうんですよ。インスタグラムでたまに載せるんでもしよかったらうちの可愛いワンちゃんのこと見てくれたら嬉しいと思います」と、可愛らしい声で息つく間もなく一気に伝えて会場を和ませ、ライブへ戻る。

バンドメンバーのテクが光る「MOVE MOVE」、ふわりと吐き出すボーカルがポップな「愛はいつも」に続き、コーラスとスキャットが印象的な「モナリザ」でダンサブルに攻める。ここで思わぬサプライズが。「モナリザ」の後半、突如聴こえてきたのはmuqueの「my crush」のイントロのベースライン。これにはオーディエンスも大興奮。即座に反応しクラップで盛り上げる。いつもと違い、少し低音で歌われるa子のボーカルが新鮮だ。そのまま熱量を増して駆け抜けた「ときめき」のサビでは手が左右に振られ、一体感をアップ!

「my crush」のカバーを終えたa子はホッとした様子で「めちゃくちゃ練習しました」と述べ、「my crush」のMVに出演していた俳優・哲太郎が友人である繋がりがキッカケでカバーに至ったと説明していた。改めてオーディエンスは喝采を贈る。6月から始まる全国5都市ワンマンツアー『JUNO』のアナウンスでさらに盛り上がり、迎えたラストパート。ミドルロックバラード「あたしの全部を愛せない」を経て、最後は「samurai」。とろけるようなウィスパーボイスが、BPM早めのロックサウンドに乗ってこちらに届いてくる。楽曲終盤の間奏からの壮大な展開は鮮やかで美しく、まるで物語を見ているようだった。完璧なパフォーマンスで堂々たる存在感を放つと、a子は「ありがとうございました、a子でした」と一足先に楽器を置いてステージを去る。残されたバンドメンバーは渾身の力を込めてプレイ。最高の余韻を残したのだった。

【muque】
後攻は2022年結成、福岡発のmuque。昨年末にメンバーのLenon(ba)が卒業し、3ピース編成になった彼らは、この日からYOASOBIなどのサポートもつとめる森光奏太(ba/dawggs)をサポートに迎えて2026年初ライブに臨んだ。

SEが流れ、ステージを覆っていた暗幕が開くと、ドラムセットに座るtakachi(ds)の姿があらわになる。takachiはSEに重ねて「ドン、ドン、ドドンドォーン!」と雷のようなビートを打ち込む。JANUSの天井に備え付けられたビジョンが物理的に揺れるほどの轟音だ。空気をビリビリと震わせながら雰囲気を高め、壮大なオープニングでオーディエンスを釘付けにした。新年一発目の気合いを感じる。

歓声に迎えられたAsakura(vo)が「JANUSの皆さん一緒に遊びましょう!」と放ち、親交の深いバンド・CLAN QUEENをフィーチャーリングした「Dancing in my bed life」を、シーケンスも使いながら、どっしりと重厚なサウンドで会場を揺らす。Kenichi(gt)のループするリフが小気味良い「456」では、オーディエンスのクラップも一糸乱れず揃う。Asakuraは「新年一発目、最高に楽しい日にしようぜ!」と叫び「feelin’」でギアをアップ。Asakuraは右に左に動き回り、笑顔で軽やかに踊りながら歌う。その様子に牽引されて、フロアもどんどん熱量を増幅させていった。そして先ほどa子がカバーを披露した「my crush」をドロップ。フロアは歓声を上げて大盛り上がり。ギターソロもバッチリキマり、全員でダンスしてひとつに。

MCでは森光を紹介。「そうちゃーん!」とあたたかく歓迎された森光は嬉しそうにはにかんだ。心機一転、メンバー全員髪色も一新。Asakuraは「2026年初ライブの対バン相手が、まさかのa子ちゃん」と嬉しそうに語る。実はずっと一緒にやりたいと思っていたそうだ。ついに念願叶ったこの日。Asakuraはa子が好きすぎてまだきちんと話せていないそうで、「今夜は仲良くなれたらいいなと思ってます」と愛を吐露していた。

12月24日にリリースされた、親友との絆を描いた新曲「bestie」、メロディーが切なくも美しいシティポップ「ブルーライト」に続き、疾走感のあるドラムンベースと軽快なギターフレーズが気持ち良い「TIME」でmuqueの世界観を提示した。

2度目のMCでは2月に大阪でレーベルメイト・Chilli Beans.との対バンを行うというアナウンス。「ずっと前から対バンしたいと言っていて、ようやく実現できる。めっちゃ楽しみです(Kenichi)」「2026年はしょっぱなから2回続けて対バンの夢が叶ったので、ありがたい年だと思っております(Asakara)」と感慨深げ。

ライブ後半はよりアクセル全開で勢いを増す。「今日は遊びに来たよねJANUSー!(Asakara)」と叫び投下された「nevermind」では、Kenichiと森光が前に出てフロアを煽り、アグレッシブに盛り上げる。コール&レスポンスでフロアの一体感は加速し、会場全体が躍動。ハッピーでポジティブな空気に包まれる。TVアニメ『ONE PIECE』エッグヘッド編 エンディング主題歌「The 1」の後半では、個々の見事なソロ回しで見せ場を作り、「JANUSの皆さん、手を貸してもらってもいいですか」と掲げられた手のひらで共鳴し、オーディエンスとの絆を深める。

そして「この曲待ってたんじゃないのー!?」と叫び「Bite you」へ。”これこれー!”と言いたくなるmuqueのアンセムだ。ステージを大きく駆け回り「こいよ!」とガンガンに煽るAsakuraに呼応したフロアもすさまじいエネルギーを生み出し、思い切り床を揺らす。そこから「もっともっともっともっといけるかい!」とアゲまくり、ポップロックナンバー「カーニバル」を彩り豊かに披露すると、最後は「DAYS」で締め括った。伸びやかで透明感のあるAsakuraの歌声、息ぴったりに力強く鳴らされるバンドアンサンブル、アウトロでわなないたオルタナティブな音の洪水に飲み込まれる。なんと力みなぎる50分。眩しい光の中でライブを終えた4人は、充実の表情を浮かべていた。

こうして『a子とmuque』は最高の盛り上がりで終了した。a子とmuqueの破竹の勢いを肌で感じることができたと同時に、2組の相性の良さもしっかりと感じた夜だった。またこの2組の対バンがJANUSで行われることを楽しみにしていよう。
Text by 久保田 瑛理
Photo by 松本いづみ
(2026年2月25日更新)