今を時めくポップロックバンド・Mrs. GREEN APPLEの代表曲「ライラック」。

TVアニメ『忘却バッテリー』OPテーマとして、2024年4月に発表された本楽曲は、Billboard JAPANが発表する総合音楽チャート「JAPAN Hot 100」で2025年度の年間1位を達成。

令和のJ-POPシーンを代表するヒットソングのひとつと言っても過言ではないでしょう。

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」

一方、本楽曲を巡っては、「ドーパミン中毒のガキ(※)向けにつくられた音楽」といった批判的なポストがXで拡散され、音楽系YouTuberのみのミュージックさんらそういった言説を取りあげています。

主に音楽的な情報量や展開の複雑さといった側面(多動的であること)からそう揶揄されているようです。

※ドパガキ:情報過多/過激なコンテンツに慣れてしまった結果、常に強い刺激を求めるようになってしまい、集中力が続かない子どもたちを揶揄するネットスラング

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」を音楽的に批評する

こうした言説に対し、音楽分析・解説チャンネルの音澤さんが“待った”をかけました。

「ライラック」は新しい情報が脈絡なく出てくるわけではない?

音澤さんは、音楽理論の解説や楽曲分析の動画をYouTube上に投稿している人物。「音澤メザタ」という別名義で音楽活動もしています。

音澤さんによる「ライラック」の分析動画

音澤さんは2月8日、「音楽分析 / Mrs. GREEN APPLE『 ライラック 』」と題した動画を投稿。

その中で「『ライラック』は新しい情報が脈絡なく出てくるわけではない」「『ライラック』には、“我慢して最終的に大きな報酬を得る”というような伏線回収的な要素もある」と、主張しています。

音澤「曲の中身を置き去りにせず、具体的な部分に焦点を」

音澤さんは今回、「ライラック」を音楽的観点から、「繰り返されるコード進行」「繰り返されるリズム」「転調」の3つの観点から分析。

その上で「思っていた以上に、ポップスの形式に則ってつくられた楽曲」と総括しました。

その上で、「ライラック」が“情報量が多い”と感じさせる理由について、て「密度の高いギターソロ」「音域の広いAメロ」「後半に、新しいメロディーが3個出てくること」などの要素が一曲に詰まっているからと紹介。

音澤さんによる「ライラック」の分析/画像はYouTubeのスクリーンショット

しかし、「ライラック」において拍子が変わるのはCメロだけ。転調が行われるのもBメロおよびラストサビ以降のみ(しかも後者はJ-POPの王道である半音上転調となっています)。

形式としても「イントロ(間奏)→Aメロ→Bメロ」という構造が2回繰り返されるJ-POPの王道的構造であり、イントロ(または間奏)がない曲や2周目のAメロで全く異なる雰囲気になる曲などとして比較しても、「明確な反復構造がある」ことを指摘。

そういった観点から「『ドーパミン中毒のガキ向けにつくられた』と言われると微妙だと思います」と、音澤さんは見解を述べました。

最後に、音澤さんは昨今の音楽言論に向けて、「情報量が多い楽曲がつくられた曲に対して、(ショート動画のような高刺激なコンテンツの流行、ストーリー展開の多い“J-POP”の土壌、青春というコンセプトなど)それっぽい理由を付けることもできます」とコメント。

その上で、「まずはその曲の中身を置き去りにせず、具体的な部分に焦点を当てることが重要だと思います」と提言しています。

編集者・ライター・ラッパー。1996年、東京都生まれ。筑波大学情報メディア創成学類卒。”HipなPop”をコンセプトに掲げる。

2021年よりKAI-YOUに参加。クリエイティブや批評的な視点に立ち、音楽・アイドルカルチャーからVTuber/YouTuber、AI含むITテクノロジーまで、ジャンルレスに取材・執筆・編集を行う。

【主な実績】連載「チャートハックと音楽」/ホロライブさくらみこインタビュー/櫻井翔のラップ解説コラム

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