興行収入22億円を超える大ヒットを記録した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(21)。その待望の最新作となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が公開中だ。今作は、圧政を強いる連邦政府に対抗する反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダー、ハサウェイ・ノア(声:小野賢章)と、謎の美少女ギギ・アンダルシア(声:上田麗奈)、地球連邦軍の大佐ケネス・スレッグ(声:諏訪部順一)を中心に物語が動いていく。

「映像に感情移入しながら、流れる楽曲も魅力的に感じてもらえるものにしたい」

第2章となる今作では、それぞれの道に進みながらも惹かれ合うハサウェイとギギを中心に、マフティーVS連邦軍による戦火のなかで、胸に葛藤を抱える周辺人物たちの人間模様がドラマチックに描かれる。前作から引き続き音楽を担当している作曲家の澤野弘之は、「打ち合わせの時に制作サイドが、“大人のガンダムを目指したい”とおっしゃっていたことが印象的です」と語る。

前作に引き続き音楽を手掛けた澤野弘之にインタビュー!前作に引き続き音楽を手掛けた澤野弘之にインタビュー!

「僕はガンダムシリーズをすべて観ているわけではありませんが、『機動戦士ガンダム』の劇場版三部作では、当時の人気アイドルのヒット曲をたくさん手掛けていた井上大輔さんが主題歌を書かれていましたし、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌はTM NETWORKの『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』で、いわゆる“ザ・アニソン”とは異なるものでした。そもそも『ガンダム』が決して子どもだけでなく大人も意識していただろうことは、歴代の主題歌からも感じることができます。とは言え『キルケーの魔女』は、単なる大人向けの恋愛映画というわけではありません。ガンダムシリーズならではの恋愛描写が、絵の質感や全体のトーンからも滲み出ています。でもそれこそが、今作の大きな魅力のひとつです」。

恩田尚之描きおろしジャケット!『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は2月4日(水)発売恩田尚之描きおろしジャケット!『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は2月4日(水)発売[c]創通・サンライズ

澤野は劇伴だけでなく、挿入歌「ENDROLL」も手掛けている。「村瀬監督から、『ENDROLL』が流れるシーンの曲は切ないバラードがいいと。村瀬監督が作成したVコンテ(絵コンテを映像にしたもの)には参考として、洋楽のバラード曲が付けられていました。しかしこれは、あくまでも村瀬監督が参考程度に当てはめていただけであって、そこから離れて僕の解釈で自由に作っていいということでした。なので自分が普段聴いている洋楽から“こういうアプローチはおもしろいな”と思ったアイデアを参考にしながら作っていきました。とにかく観た人が映像に感情移入しながら、そこに流れる楽曲についても魅力的に感じてもらえるものにしたいな、と。劇中で『ENDROLL』はハサウェイとケリアの回想シーンで、キャラクターの心情のより深いところに関わってくるものなので、もう一回そのシーンを観たくなったり、後々サントラ盤でも聴きたいなと思ったりしてもらえるような、音楽としてちゃんと人の心に残るものにしたいという気持ちで作っていきました」。
この「ENDROLL」には、SennaRin(センナリン)と川上洋平[Alexandoros]がボーカルとして参加している。SennaRinは、作品に対する深い理解力と独特な言葉のチョイス、類い希なるボーカルセンスによって2022年に澤野のプロデュースでデビュー。今回の曲では作詞も務めるなど澤野の懐刀として才能を発揮している。

「SennaRinに関しては、エグゼクティブプロデューサーの小形尚弘さんが彼女の音楽を普段から聴いてくれていて、『キルケーの魔女』の音楽打ち合わせをする前にお会いした時に“SennaRinさんの声が合うかもしれないですね”と言ってくださっていたのもあって、彼女をボーカルに起用しました。彼女に作詞もお願いしたら、書くにあたって『閃光のハサウェイ』に繫がる作品を最初から全部観て勉強してくれて。いまでは僕よりよっぽど『ガンダム』に詳しいです(笑)」。

SennaRin新曲「CIRCE」も『キルケーの魔女』の挿入歌として使用されているSennaRin新曲「CIRCE」も『キルケーの魔女』の挿入歌として使用されている

また壮大なバラードのデュエットソング「ENDROLL」は、ハサウェイと彼を近くで支える恋人だったケリア・デースの心がすれ違うシーンに、思い出の回想と共に流れる楽曲。1番を川上洋平が、2番をSennaRinが歌い、やがて2人の声が重なっていく展開は、物語の展開とも相まって非常にドラマチックだ。川上は前作の主題歌「閃光」を手掛けた[Alexandros]のメンバー。ボーカリストとして、伸びやかなハイトーンとロックスピリットを内包したシャウトに定評がある。

「2人の声の違いによって、1曲のなかでコントラストがパッと切り替わる。そこは観ているお客さんのなかでハッとしたり、響いてくれたらいいなと思っています。実は川上さんの起用も小形さんからの提案です。バラードには男性ボーカルの声も欲しいという村瀬監督からの要望があったうえでデュエットを書き上げ、曲を聴いてもらった小形さんから名前が挙がり、前作からの流れともリンクするのでぜひにとお願いしました。川上さんとは今回が初対面でしたが、レコーディング当日までにアプローチを固めてきてくださっていて。僕が細かく指示しなくても、川上さんから出てきたものが最初からとてもすばらしかった。2人の声が合わさると、“こういう勢いとかエモーショナルさが出てくるのか”と、それは川上さんとSennaRinだったからこそ生まれたものだと思いました。イメージしていた部分もあったけど、それ以上に広げてもらえた感覚です」。

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