この内容をお届けしたのは、1月13日(火)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:市川紗椰)の「PICK OF THE DAY」。各曜日のナビゲーターの個性に特化した特集をお届けするコーナーだ。
『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間の生放送プログラムだ。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。
Apple TVの配信作品は高クオリティ揃い
Netflix、Amazon Prime Video、Disney+、U-NEXT、Huluなど、さまざまな動画配信サービスが利用されている昨今。それぞれに魅力や特徴があるなか、市川が強く推したいのは「Apple TV」だという。他の配信サービスが「品数豊富な大型デパ地下」だとすれば、Apple TVは「少数精鋭の名店」のイメージだと市川は紹介する。
市川:いまの配信サービスって、たとえるなら巨大な冷蔵庫を開けたら中がパンパンの状態に近いんですよね。「どれを選べばいいの?」と迷っているうちに、なんだかお腹いっぱいになってしまうことってありませんか? Apple TVは、開けた瞬間に「今日のおすすめはこれだよ」と言ってくれる感じなんです。作品数は多くないかもしれませんが、その代わり1本1本の密度が異様に高いんです。映像、音楽、脚本、演技、テーマ、どれも映画クラスで、「赤字覚悟で予算をかけているんだろうな」と想像してしまうクオリティの作品がたくさんあります。いまのアメリカでは、Apple TVは「クリエイターの居場所」として機能しているように感じます。「好きに作っていいよ」「ちゃんとお金も時間も出すから」というスタンスがかなり強いので、最後まできちんと設計された、風呂敷を広げてもちゃんと畳める作品が多いんだと思います。
Apple TVで扱われるテーマは、いまの時代性を強く反映しながらも非常に深い。「社会とは何か」「幸せとは何か」「テクノロジーは人間を救うのか」といった、現代社会において避けて通れない問いを、SFやコメディ、歴史劇を通して訴えかけてくる。
市川:思わず誰かに話したくなる作品ばかりなのですが、日本ではあまり観られていないんですよ。ということで、今日は「いま、Apple TVが面白い」というテーマでお話しさせてください。
市川がイチオシのApple TV作品を紹介
Apple TVがスタートしたのは2019年11月。当初は「Apple TV+」という名称でサービスが始まった。
市川:スタート当初から数々のドラマや映画を制作するなかで、大きな転機となったのが、2021年公開の映画『Codaコーダ あいのうた』。同作は、第94回アカデミー賞において作品賞・助演男優賞・脚色賞の3部門にノミネートされ、すべてを受賞しています。動画配信サービスの映画として史上初となる作品賞受賞という、歴史的快挙を成し遂げました。
CODA — Official Trailer | Apple TV
その後も、マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオがタッグを組んだ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』など、話題作が次々と登場している。さらに、2026年1月11日(現地時間)にアメリカで行われた第83回ゴールデングローブ賞授賞式では、ドラマ『プルリブス』で主演を務めたレイ・シーホーンがテレビ部門の主演女優賞を受賞し、注目を集めた。
ドラマに限らず、ドキュメンタリーや映画も含め、Apple TVにはアメリカ国内で高い評価を受ける作品が数多く揃っているのも大きな特徴だ。続いて、市川はApple TVで配信中のおすすめ作品を紹介した。
『プルリブス』
Pluribus — Official Trailer | Apple TV
市川:先日、ファーストシーズン最終話が配信されたドラマ『プルリブス』です。こちらは大ヒット作『ブレイキング・バッド』『ベター・コール・ソウル』で世界を震わせたヴィンス・ギリガンによる初のSF作品です。どこでも好きなものを作れる立場の人がApple TVを選んだ。それだけでも気になりますよね。
『プルリブス』は、ある日、世界中の人々が“幸福ウイルス”のようなものに感染し、感情や個性を失い、同じ集団意識で行動するようになり、そんななか主人公のキャロルだけが、なぜかその流れから取り残される、というストーリーだ。
幸せではあるが、個性も感情も存在しない世界。それは、はたして本当に「幸せ」と呼べるのか。作品は、そんな根源的な問いを静かに投げかけてくる。そこには、生成AIによって知識や情報が均一化されていく社会への示唆も見て取れる。また、極端な親切心で迫ってくる“集合体”の存在は、どこか滑稽でありながら、同時に不気味さもはらんでいる。
市川:舞台は『ブレイキング・バッド』と同じく、アメリカ西部・ニューメキシコ州。広大な砂漠に強烈な太陽と真っ青な空。そのなかで描かれる静けさと孤独さが、「優しそうな世界ほど、いちばん怖いのでは」と思わせてくれます。
『セヴェランス』
Severance — Official Trailer | Apple TV
市川:私が2025年にいちばんハマったドラマで、アメリカでは社会現象にまでなりました。仕事の記憶と私生活の記憶を完全に分離する手術を受けた社員たちが働く、謎の巨大企業が舞台です。オフィスドラマの皮をかぶった哲学SFと言いますか、「働くとは何か」「自分とは何か」という問いが、じわじわと崩れていきます。
『セヴェランス』は、無機質でありながら美しい映像、不気味なユーモア、そして中毒性のあるスリルを兼ね備えた作品だ。現在はシーズン2まで配信されている。
プロデューサーを務めるのはベン・スティラー。テーマ曲やオープニング映像を含め、Apple製品で編集・撮影されている点も特徴で、その映像美へのこだわりを感じることができる。
『ザ・スタジオ』
The Studio — Official Trailer | Apple TV
市川:こちらはハリウッドの映画スタジオを舞台に、作品作りの理想と商業主義の混沌を描いたドラマで、映画好きほど刺さる内容となっています。長回し撮影の裏側を描いた回が、実際に長回しで撮られていたり、マーティン・スコセッシが本人役で登場したりと、非常に面白いです。
市川はさらにおすすめの作品を挙げていく。
市川:まだまだおすすめ作品はありまして、ゲイリー・オールドマン主演の、地味だけど異様に緊張感のあるスパイもの『窓際のスパイ』、冷戦下のソ連から世界へ広がったゲームを描く『テトリス』、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドキュメンタリーなど、まだまだたくさんあります。
さらに、クリエイター別に次のおすすめが表示される点も、Apple TVならではの魅力だ。「この監督の次の作品」「この脚本家が関わった作品」といったつながりで作品を追っていけるため、映像好きにとってはたまらない仕様となっている。
市川:良質な映像が好きな人には刺さる作りになっていると思います。映像好き、映画好きのみなさん。最後までちゃんと責任を取ってくれる配信サービスのApple TVを、ぜひ体験してみてください。
J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「PICK OF THE DAY」は、それぞれのナビゲーターの個性に特化した特集をお届けする。放送は月曜~木曜の15時25分ごろから。
