毒皿主義のやんぱちショッピング

 最近、どうやらADHDらしいことがわかってきた。
 思い起こせば小学校受験の校長面接では足をブラブラさせて怒られたし、小学校の授業中やミサ中にはお喋りして注意されたら漫画を読みはじめたりしたし(年中怒られてるな)、兆候はあった。ありすぎるほどあった。
 にもかかわらず、社会人になってウン十年でやっと自覚し始めたのである。我ながら鈍感さが恐ろしい。
 今困っているおもな症状は、過集中と注意力散漫、曜日や日付や時間の勘違い、そしてモノを集めること。
 そう、モノを集める癖はどうやらADHDの特徴のひとつらしいのだ(必要条件ではない)。
 過去に集めていたものは、ヴィンテージのPolitical Campaign pins(海外の選挙キャンペーン中に配られる缶バッジ)、50~60年代におもにアメリカで流行したENID COLLINSのバッグ、マリリン・モンローのフィギュア(似てない方が良い)と絵ハガキ、ヴィンテージの食器や洋服など。でも、今はほとんど手放してしまった。というのも、集めるは易し、場所の確保と手入れと保管は難し(語呂が悪い)。ちゃんと分類してまめにきれいにすることができない人間はコレクションはしない方がいいと思い知ったからだ。
 以来、何かを集めるのはやめようと肝に銘じて生きてきた。うっかり気を抜くと集めそうになる。タイプライターやティーポットの形をした変なバッグ、戦前のセルロイドの人形、射的人形(戦前に射的の的になっていた土人形)などは、軽薄に集めかけていかんいかんと我に返った。
 しかし! ここにきてついに禁を犯して集め始めてしまったものがある。
 1980年代末、わたしがまだいたいけなオリーブ少女だったころに憧れていたSWIMMERという雑貨ブランドの陶器製のグッズである。SWIMMERの誕生は1987年。「ノスタルジックキューティ」をコンセプトに展開するも2018年に終了。2020年に復活して今はいわゆる「ゆめかわ」アイテムのブランドになった。
 わたしが集めているのは最初期のもので、50~60年代のアメリカンテイスト。アトマイザーや貯金箱、歯ブラシスタンド、ピルケース、灰皿、時計などさまざまなアイテムがあって全体像はまだ見えない。ときどきフリマサイトに出ていて買うのだが、どうもライバルがいるもよう。3回連続で先に買われたときは逆上して、出品されたら即通知がくるように設定した。おかげで同名の競泳用水着や毛鉤の通知がやたらくるが、負けずに張り込んでいたところ、ラクダの小物入れ、猿のアトマイザー、口を尖らせて首飾りをつけた女性のアトマイザー(言葉ではまったく伝わらないけどとても可愛い)の3アイテムを無事にゲットすることができた。大量のノイズに耐えながら買えたので嬉しさもひとしおである。
 最近はエクセルで一覧表を作り、買えたものをひとつずつ消すことに喜びを見出している。
 禁コレクションの誓いはどこへやら、やけのやんぱち、毒皿主義で、いくところまでいってやろうと思っている。

 

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平山亜佐子(ひらやま・あさこ)
1970年生まれ。文筆家、挿話蒐集家。近著に『戦前エキセントリックウーマン列伝』。

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