東日本大震災から、15年が経(た)とうとしている。
そこには故郷を離れた人、そこに住み続けている人、または15年の間に移住してきた人たちもいる。
著者は、そこに住む人たちに会いに行くため、被災地を南北に貫く国道6号線(通称ロッコク)沿いに旅に出た。そこで気になったのが「みんな、なに食べて、どう生きてるんだろう?」
登場するのは避難先から故郷に戻り母親が営んでいた食事店を再開した女性、何もない畑で夜だけ開く小さな本屋を始めた若者、人生の紆余(うよ)曲折の末に浪江町に移住したインド人女性など、立場も年齢も多様だ。
私たちは、つい「被災地」「被災者」というレッテルを貼ってそこに住む人たちを見てしまうが、当たり前のことであるが全ての人にはそれぞれの日常があり、悩みや喜びがある。
震災後に移住してきた人に、なぜわざわざそこに?と聞きたくなるが、そこには多くの偶然と必然が混在する。そうだよな、人生ってそういうことだよな、と思わされるのは、著者の取材力と筆力の賜物だ。
そして、登場するご飯がどれも美味しそうで、食べたくなる。すると、そこに行ってみたくなる。
震災と原発事故は、あまりにも不幸な出来事だった。しかし、今でもそこに日常を築いている人がいて、温かいご飯がある。
本書を片手に、ロッコク沿いに私も旅に出てみようか。お世辞でなく、本心からそう思わせる一冊だ。
店長から一言
横浜の桜木町駅の近くに、新しい拠点を準備中。名前は「ホーン」に決定。絵本創作ワークショップなど、本にまつわるイベントなど開催予定です。開店は不定期になりますが、情報はX(旧 Twitter)で発信していきます。ぜひご覧ください。
▼冒険研究所書店
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