ビジネスの場で本心を言わない相手と交渉を進めるにはどうすればいいか。弁護士の嵩原安三郎さんは「相手がどこかでウソをついている場合、『外堀の話題』から質問を投げかけてみるといい。真っ向からウソを暴く必要はない」という――。
※本稿は、嵩原安三郎『ワンランク上の交渉力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
ウソを“さりげなく”暴く方法
すんなり情報をくれる人ばかりだったら苦労はないのですが、現実は、そう甘くありません。なかには、実情を隠したり、自分にばかり有利に進めたりするために、情報を明かさないどころかウソをつく人もいます。
では、ウソをつく人に、どう対処して交渉を進めたらいいか。まず「ウソですよね?」などと相手をウソつき呼ばわりしては、角が立つだけです。これは、いうまでもないでしょう。
弁護士という職業は、みなさんよりも、ウソをつかれることが多いかもしれません。私がよく使うのは、「外堀を埋めてウソをあぶり出す」というテクニックです。
つい先日も、保険の請求で、こんなことがありました。
「交通事故でけがをした」と主張している被害者が、より多く保険金を得ようとして、整骨院への通院について虚偽の報告をしているという情報が入ったのです。
整骨院の院長とグルになって、通院日数を大幅に水増しし、保険会社に虚偽の申告をしているようでした。ウソをついていることは、ほぼ明らかでしたが、「ウソをついていますね」と迫るだけでは逃げられる恐れがありました。
そこで私は、「報告どおりに通院していたのなら……」と、情景を細かく描いてみることにしました。そのために刑事さながら、この案件の「現場」である整骨院にも、実際に足を運びました。

