アーティストの声を無断で利用してAIで楽曲を生成する問題が物議を醸している。こうした中、音声生成AIを手掛けるElevenLabsは米国時間1月21日、ライザ・ミネリやアート・ガーファンクルといった著名アーティストと契約し、新たなAI音楽アルバム「Eleven Album」向けの楽曲を制作したと発表した。
ElevenLabsの新部門、Eleven Musicによるこのプロジェクトは、アーティストとAIによる初の大規模なコラボレーションとなる。このアルバムにはポップ、ラップ、EDM、R&Bといったジャンルの楽曲が収録されており、各アーティストが自身のサウンドとEleven MusicのAI技術を融合させたオリジナル曲を提供している。
ガーファンクルは発表の中で、「私の声にテクノロジーが加わることで、また別の扉が開かれる」とコメントしている。
Eleven Musicの広報担当者は米CNETに対し、すべてはオプトイン方式かつ透明性が確保された、許可に基づくものであると語った。「自身の作品がどのように使われるかはアーティストが決定し、明示的な同意なしに学習や公開が行われることはない。信頼と長期的な関係の構築こそが、われわれのコラボレーションの中核だ」としている。
Eleven Musicの新作アルバムに参加したアーティストの1人であるミネリは、自身のプロジェクトに対する主導権を維持しつつ、新たなコンテンツ制作を続けるためにAIを活用することを支持している。
ミネリは発表の中で以下のようにコメントした。「興味を引かれたのは、AIを自分の代わりとしてではなく、表現に資する新しいツールとして自分の声とともに使うという考え方だ。このプロジェクトはアーティストの声、選択、そして所有権を尊重している。ElevenLabsは、誰もがクリエイターやオーナーになることを可能にする」
このアルバムには、パトリック・パトリキオス、キング・ウィロニウス、IAMSU!、デミトリ・レイロス、エミリー・ファルビー、サンセットト、コンドジラ、クリス・ライオンズ、マイケル・ファインスタインに加え、AI音楽アーティストのエンジェルベイビーとカイの曲も収録されている。
ElevenLabsによれば、すべてのストリーミング収益はアーティストに還元されるという。
Eleven Musicの取り組みと同様に、Spotifyは2025年10月、ソニーやUniversalといった複数の人気音楽レーベルとの新たなAIパートナーシップを発表した。また、Adobeは動画向けの音楽をAIで生成できる新機能をリリースしている。世の中には自作の音楽を作成できるAIツールが数多く存在するが、その完成度はさまざまだ。
一方で、Bandcampなどのオンライン音楽プラットフォームは、人間同士のつながりを維持するため、規約でAI生成の楽曲を禁止している。
Eleven Musicの広報担当者は米CNETに対し、Eleven Albumの目標は、アーティスト主導のAIコラボレーションが実際にどのような形になるかを示すことだと語った。「ドラムマシンからシンセサイザーに至るまで、音楽は常に新しいツールとともに進化してきた。このプロジェクトはその伝統を継承するものだ」
このアルバムが成功すれば、AIがソングライターにとってオリジナル曲を制作するための新たな創造的ツールとなる可能性を示せると、ElevenLabsは期待している。
Eleven AlbumはSpotifyで配信中だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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