矢野美沙アナウンサー
隊員の汗、自然の厳しさ美しさに迫る
富山テレビ放送(富山市)のドキュメンタリー番組「雲上(うんじょう)の除雪隊〜アルペンルートの春〜」が昨年11、12月に、日本民間放送連盟賞のテレビ教養の優秀賞、フジテレビ系列のFNSドキュメンタリー大賞、NPO法人「放送批評懇談会」のギャラクシー賞上期入賞の計3賞を受けた。番組制作の中心となったのは、夕方の報道番組でキャスターを務める矢野美沙アナウンサー=写真。立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」に通じる道路の除雪隊の2カ月ほどの営みに密着し、絶景を交えて約1時間でまとめた。制作の動機や感じたこと、立山の魅力などを聞いた。(村瀬力)
−真っ白な雪原に立ち向かう男性たちの姿が、格好良く見えました。なぜ、この番組を。
2023年から山頂の雄山神社やアルペンルートの交通機関など立山を舞台にしたドキュメンタリーを作ってきました。美しい風景が目の前に広がり、信仰を伴う歴史もある。県民にも意外に知られていない立山のことを、いろいろな形で伝えたいと思いました。
−アナウンサーが番組制作をするのですか。
東京などの大きな放送局は別かもしれませんが、地方局では取材や番組作りを主体的にすることはよくあります。普段は夕方のキャスターをしながら、教育問題などを追っています。
−ショベルカーが雪を崩し、ロータリー除雪車が飛ばす。それを繰り返して道幅を広げていく。そんな様子を描いた今回の番組作りでの苦労は。
実際にはカメラマンが前線で密着し、私は映像の選択や構成、ナレーションを中心に担当しました。現地には何度か入りましたが、冬の吹雪での取材は危険が伴い、どこまで踏み込めるか葛藤しました。映像が雪景色ばかりで、山の厳しさや美しさなど自然の表情をどう伝えればいいのか、まとめるのに苦労しました。
−特に印象に残ったことは。
若い除雪隊員が仕事がうまくいかず、落ち込んでいたとき「心が折れても、やるしかない」と漏らしました。「人生には、どうしても乗り越えなければならないことがある」ということを、改めて教えてくれた気がします。時代が変わっても、どんな仕事でも普遍的なことだと思います。この言葉に支えられ、番組制作に励んできました。
−そもそも、なぜアナウンサーに。
ドキュメンタリー番組が好きで、そのナレーションがしたくてアナウンサーになりました。大分市出身で富山には縁はありませんでした。ただ、東京で過ごした学生時代に、友人で富山出身の人が多く、導かれた気もします。入社してすぐに立山に登り、その雄大な風景に感動し、大好きになって、山歩きが趣味になりました。
−人生や仕事の上で大切にしていることは。
見かけに惑わされず、物事の本質を捉えることが大切だと思います。肝をおさえて、自分の中で答えを導き出せるように心がけています。
−今後、挑戦してみたいことは。
やっぱり立山のことです。まだまだやりたいことはあります。それが何であるかは、お楽しみにしてくださいね。
◇
番組は民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」で視聴できる。
