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あまねく世界が接続され、情報のすべてが真っ平らになったかのような2020年代も半ば、あえて垂直方向のメタファーで「アンダーグラウンドラップ」と称される音楽が現れている。SoundCloudを舞台に活動するラッパー / プロデューサーは、plugg、rage、jerk、glo、regalia……など無数のサブジャンルを開発しては乗り換えて、やたらにザラついた質感のwavデータをもって地下の住民であることを主張する。そしてリスナーは、音楽棚の底から埃の被った名盤を掘り当てたような喜びを、SNSの消える動画でシェアするのである。

そんなオンラインの生態系で重要な役割を果たすのが、地下の金脈を嗅ぎ分け、狼煙を立てるストリーマーである。昨年1月に「Rolling Stone」誌に掲載された「2025年のラップソングのヒットの鍵?それはTwitchストリーマー」という記事では、プラークボーイマックスという動画配信者が特集された。彼の主催する「Song Wars」という配信番組は、DiscordとTwitchを駆使してラッパーを招聘し、対決させる企画。これは「SoundCloud世代のアメリカン・アイドル」とも説明され、無名の地下の新人たちが一躍スターに化けるステージとなっている。

さて、ここ日本でもUSの動きに同期して、新たな潮流が生まれている。話題のラッパーWorldwide Skippaに「日本じゃパイオニアは確実にdominguap」(「for @dominguap」)とシャウトアウトされるのは、山梨在住のストリーマー・dominguapだ。“MOB”というコミュニティを立ち上げ、「MOB SONG WARS」を主催するdominguapは、国内シーンの重要なハブとしてアングラリスナーから注目されている。配信動画を観れば、シーンの「フィクサー」というよりは、Twitchのチャットでイジられ倒す「愛されキャラ」的なところもあるようで、リスナーとともにシーンを作り上げているというのが正しい見方だろう。

かくして地下世界に根を張るdominguapとは、いったい何者なのだろうか。今回は彼のルーツに迫る問いから、「MOB SONG WARS」の背景、そしてアングララップとは何か?という話に至るまで、こうこうとネオンの光る部屋に接続して話を伺った。

取材・文 / namahoge

目次

山梨在住のブラジル人
リアクション動画から広がっていった
影響源であるUSのストリーマー
「MOB SONG WARS」の舞台裏
特に印象に残った曲は?
「アングララップ」とは何か?
ストリーマーは増えれば増えるだけうれしい
「#MOB_SONGWARS Vol.4」

山梨在住のブラジル人

──最初にdominguapさんの動画を拝見したのが、Worldwide SkippaやSierojellyyなどが登場した回の「MOB SONG WARS」でした。国内の新しいラップシーンがTwitchを拠点に形成されていることに驚きつつ、同時に「この主催者はいったい誰なんだ?」と、すごく気になったんです。めちゃくちゃテンションが高いし、「昔からやってる感」があって。

【🔥激アツ🔥】MOB SONGWARS ft. Jellyy, WorldwideSkippa, Siero, WillHalo, more!

ハハハ、確かに。始めたのは全然ここ1年くらいですけど。

──配信部屋に国旗が飾られていますが、ルーツはブラジルですか?

日本生まれ、日本育ちのブラジル人っす。生まれは長野で、1歳から5歳まで向こう行ってたんですよ。だから第一言語もポルトガル語。今は山梨の南プスに住んでるけど、家族とはポルトガル語で話してますね。

──ラップを好きになるまでの音楽遍歴は?

親父がEDMが好きで、最初は俺もダンス系を聴いてましたね。それからバッド・バニーとかポルトガル語のレゲトンを聴いてた時期があって、高校生くらいでリル・ウェインやドレイクあたり、当時の王道のUSヒップホップに入っていって。英語は全然わかんなかったんですけど、勉強して歌詞を翻訳しながら「表現おもろいな」みたいな、そういうのでハマりましたね。

──ちなみに地元のクラブに行くことはありましたか?

配信活動を始める前に1回か2回くらい山梨のクラブに行ったことあるんですけど、それ以外はまったく。やっぱ遊ぶなら東京に行っちゃうんで。

──地元ではあまり音楽に関わっていなかった?

いや、昔は地元で音楽やってる後輩がいて、自分でもビートやラップを作ってたんですけど、身内で聴かせ合うくらいの趣味で。少なくとも「発信しよう」という思いで作ってる人は周りにいなかったっすね。

リアクション動画から広がっていった

──地元のコミュニティとは無関係に、Twitchを舞台にネットワークを広げていくんですね。そもそもdominguapさんが配信を始めたきっかけは?

当時は仕事しながら音楽を作ってて、「どうせやるなら残しておこうかな」っていうくらいの作曲配信をやり始めて。そんなノリだったから当初は視聴者もゼロ。でも1カ月くらい続けてたら、どこからか人が流れてきて「この新譜聴いた?」みたいなコメントが付くようになった。で、日本のラップも調べるようになって、リアクション動画もやり始めるようになって。

──YouTubeに上がっている一番古い動画がMIKADO「Re:Born Tape」のリアクション動画でした(2024年8月)。その後もYOKO SQUADやピーナッツくんにはじまり、「日本のアングラPLUGG」シリーズをYouTubeに投稿するようになります。

リアクション動画を始めてから、俺が聴いたことない日本のアングララップを知ってるリスナーがすごく増えたんですよ。それに、ラッパーからも「リアクションありがとう」ってストーリーで反応してもらえるようになって。そこらへんからコネクションが広がって、「MOB SONG WARS」のブッキングにもつながってるっすね。

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──リアクション動画を起点に、シーンに関わっていくようになったんですね。

まあ山梨に住んでるのもあるけど、個人的には現場に行って話すよりも、SNSや生配信を通じて仲よくなっていくほうがいいなと思ってて。Twitchの生配信ならカットとかないし、そのまんまが流れて素が出るんで。やっぱり1人でこの部屋から関わるのが気楽なんですよ。リアルで人に会うと緊張しちゃうっていうか。

──カメラの前での生配信って、直接人と会うよりも緊張しませんか?

いや、逆なんですよ俺は。もともと目立ちたがり屋で、「ずっと観られたかった」ってのもあるし、カメラが回ってる方が気楽っすね。こっちのほうがふざけられるから(笑)。それに、俺は本当に家から出ないんで……っていうか、むしろ来てくれるんですよ。こないだも名古屋からSkippaとPAX0が来てくれたし。

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影響源であるUSのストリーマー

──配信活動以前、dominguapさんがUSラップリスナーの頃、王道からアングラ(rage、plugg、hyperpop以降の流れを汲んだラップミュージックの総称で、USではオサマソンやケン・カーソン、ネットスペンドなどが筆頭)に関心が向いたのはどうしてですか?

最初のきっかけはプラークボーイマックスの配信で、それこそ「Song Wars」かな。そこに登場するラッパーたちって、サウンドだったりフロウだったり、今まで聴いてたようなメインストリームとは全然違うんですよ。とにかく新しくて、面白い。中でも食らったラッパーはソーフェイゴっすね。「こいつヤベえな」ってなって。

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SoFaygo – MM3 [Official Video]

──Twitchストリーマー・プラークボーイマックスが入り口となったんですね。彼は昨今のUSラップのキーマンで、Twitchでは200万フォロワー超のビッグネームです。配信スタイルや語り口から、dominguapさんの大きな影響源だと思うのですが、最初はどのように知ったのでしょうか?

もともと俺もゲームやってたから、Twitchで日本のストリーマーを観ていた時期があったんですよ。で、そのうち海外のeスポーツ配信で「FaZe Clan」とかも観るようになって。そこからアイ・ショー・スピードやカイ・セナットあたりの、ヒップホップと距離の近いストリーマーにたどり着いた感じで。前からラップ好きだったから、そこは自然な流れでしたね。プラークボーイマックスはアングラの文脈をストリーミング文化にチューニングしているのがすごいなと思う。リスナーと一緒にリアルタイムでディグって、瞬発的なコメントで笑わせて、その勢いでラッパーをバズらせる。この感覚、新しいっすよね。日本では評論かファン活動かの二択だけど、彼はその真ん中にいるっていうか。

「MOB SONG WARS」の舞台裏

──レーザー・ディム700「Asian Rock」のバイラルヒットをはじめ、USでは「Song Wars」の配信が起点となってヒットが生まれています。dominguapさんの主催する「MOB SONG WARS」も、国内シーンにおける新人発掘と拡散の役割を担っていきたい?

そうですね。英語圏だとプラークボーイマックス以外にもいろんな配信者が「Song Wars」をやってるけど、日本はいない。アングラシーンを盛り上げるために俺ができることを考えたら、やっぱり「これかな」って。リアクション動画で人が集まり始めたときに、「そろそろ行けるな」って思ったんですよ。俺が思うに、キーは「未公開曲」。いろんなラッパーを1つのDiscordの通話に呼んで、自信のある未公開曲を流すっていう。誰も知らないけどヤバい曲が流れたら、注目するじゃないですか。それがバズりやすいというか。

──「MOB SONG WARS」はどのような流れで運営しているんですか?

いつも8人のラッパーを呼んでるんですけど、まずInstagramのDMで連絡して、音源をもらう。で、当日はDiscordで進行して、Twitchで配信。終わったらショート動画のクリップを作って拡散というのが全体の流れですね。苦労するのはスケジュール管理。例えば初回の「MOB SONG WARS」はJuugboiixantanaっていうUSのラッパーを呼んだんですよ。でも配信の2時間くらい前に彼がインスタライブで酒持ってベロベロに酔ってるのを見つけて(笑)。DMで連絡してマジでギリギリだったんすけど、なんとか配信に間に合いました。別の出演者で「今日時間ないから出れません」って5時間前くらいにDMが来たり、連絡を既読スルーされてたり、「えーっ」ってなることはいろいろある(笑)。そういうときはインスタで代打を探してブッキングして。今のところは穴は出てないっすけどね。

──苦労が絶えない一因でもあると思うのですが、Twitch配信ってラフなイメージがありますよね。

でも、ラフなのが配信のいいところなんですよ。かしこまってない状態で、互いにリスペクトもあるのが一番理想。俺の家にはブラジル人がよく集まってたんですけど、そういう環境で育ったから、友達感覚の気軽なコミュニケーションがいいなって思う。そのノリをラッパー同士にも共有して、ラフな空気にしたいなとはずっと思ってますね。

──実際に「MOB SONG WARS」を見ていると、出演者の皆さんが自宅のPCから参加したり、床にスマホを置いて参加したり、友達同士がふっと集まったようなリアルな空気感があります。

そうですね、やっぱりリアルを出してもらうのが一番いいんで。ラッパーってライブに行ったら会えるけど、プライベートでは会えないじゃないですか。それが視聴者的にもいいよなって。

──配信ではSieroさんがカップ麺を食べていたり、Lisa Lil Vinciさんが外を散歩していたり、とにかくラフだなと(笑)。

何回か前の配信でも「これ映像的に大丈夫か?」と思ったんですけど、でもそれが彼らの普段の生活だから(笑)。

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「アングララップ」とは何か?

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よんだぶ 可視性制限中? @yondabu

アングララッパーの新たな登竜門、山梨在住のストリーマーdominguapが仕掛けるTwich企画「MOB SONG WARS」の舞台裏 最新ニュース – 音楽ナタリー https://t.co/O4HG4CDPRG

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