平和は、ページをめくることから始まる──いま読むべき3冊

『戦争で死んだ兵士のこと』小泉吉宏(メディアファクトリー)

森のほとりに横たわる兵士の人生を、死の瞬間から過去へと少しずつ時間を遡っていく絵本。1時間前は戦い、10日前は恋人にプロポーズをし、子ども時代は犬に落書きをして叱られた。戦場で命を落とした兵士たちが、もし戦争がなければ送っていたはずの日常──家族との会話や仕事、ささやかな夢──に想像力を向ける。そこに描かれるのは、敵味方の区別を超えた、人間としての等しい重さの命だ。戦争を直接描かず、ひとりの兵士の“当たり前の時間”を描く構成が、戦争の理不尽さを浮かび上がらせる。

平和は、ページをめくることから始まる──いま読むべき3冊

『イラクの小さな橋を渡って』池澤夏樹、本橋成一(光文社)

2002年10月、アメリカがイラクに攻撃を仕掛ける直前、作家・池澤夏樹と写真家・本橋成一はイラクを訪れた。そこで出会ったのは、国の指導者や制裁のニュースからは見えてこない、子どもたちの笑顔や市場の賑わい。戦争や紛争を「遠い出来事」としてではなく、一人ひとりの生活の延長として捉え直させてくれる。読む者の視点を、世界のこちら側から向こう側へとそっとつなぐ、対話のためのノンフィクションだ。

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