「日経BOOKプラス」は2025年もたくさんの記事を公開し、その数は1400本以上にのぼります。この1年間でもっとも読まれた記事は何でしょうか? 特に読まれた上位10本を紹介します。フランス人の食生活、人気の認知科学者・今井むつみさん、老後の資産取り崩し術、不老不死、親の認知症などさまざまなテーマの記事がランクインしました。
(注)2025年1月1日~12月14日のアクセス数による。2024年11月1日以降に公開された記事が対象。同一連載内では最上位の記事のみピックアップしている。

■第10位

 『
昭和人間のトリセツ
』(日経プレミアシリーズ)を刊行したコラムニストの石原壮一郎さんへのインタビュー記事が第10位に入りました。人気連載
「昭和人間のトリセツ~厄介な自分や周囲との付き合い方」
の1本です。

 この連載でも話題になった「おじさんLINE」や「おばさん構文」。なぜそのような文章を作ってしまうのでしょうか。石原さんは「かわいいと思われたい」というひそかな期待が隠れているかもしれないと説明します。

 この連載では多くの人気記事が生まれました。以下で一部を紹介します。

<関連記事>

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夫の浮気を許さないのは愚かな妻? 人生相談にみる昭和の「浮気観」


昭和人間の「おばさん構文」との正しい向き合い方

■第9位

 第9位には、韓国で大反響を呼んだビジネス書『
会社のためではなく、自分のために働く、ということ
』(チェ・イナ著/中川里沙訳/日経BP)から抜粋・再構成した記事が入りました。

 会社への不満を感じるけれども、それを変える力がないとき、私たちはどう考えればよいのでしょうか。最近、最低限与えられた業務だけをこなす働き方「静かな退職」が注目されていますが、本書の著者はこのような選択は賢明ではないと説きます。

<本書からの抜粋記事>

「がんばりすぎず力を抜こう」という時代、あなたの働く理由は


「仕事のやりがいが見えず苦しい」…そんな時どう考える?


平均は危険だ 「中くらいでいい」という考えは捨てよう

■第8位

 第8位は、私たちの日常にひそむ「ふしぎな法律」について楽しく解説する、『
世にもふしぎな法律図鑑
』(中村真著/日本経済新聞出版)から抜粋・再構成した記事です。

 ニュースでよく聞く「訴状が届いてないのでコメントできない」という発言は、言い訳ではないのでしょうか。なぜそのようなコメントが出てくるのか、弁護士である著者が、その背景と理由を分かりやすく解説します。

<本書からの抜粋記事>

1円玉をつぶしたら有罪、1万円札を破いても無罪


第三者委員会って信頼できるの? 日弁連ガイドラインの実際


ザリガニやヒキガエルを逃がしたら、罰金300万円!?

第7位

 窮地のソニーの変革をけん引した平井一夫・ソニー元社長兼CEOと、経営戦略論の専門家である宇田川元一・埼玉大学大学院准教授の対談記事が第7位となりました。日々変革が求められる時代に、企業経営者やビジネスパーソンは何を意識して行動すべきか、語り合います。

 この記事は2回連載の後編で、テーマはリーダーの素養について。平井さんは、リーダーには、周囲とどうコミュニケーションをして、どう腹落ちさせて行動を起こさせるかが問われており、EQ(心の知能指数)が重要だと説きます。

 この対談は、宇田川さんの著書『
企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか
』(日本経済新聞出版)の刊行を記念して実施されました。宇田川さんは、他にもIGPIグループ会長の冨山和彦さんと対談しています。

<この記事の前編>

元ソニー社長・平井一夫×宇田川元一「パーパスは生きていなければならない」

<冨山さんとの対談記事>

冨山和彦×宇田川元一 危機感があるのに変革できない理由


冨山和彦×宇田川元一 頑張れば頑張るほど「負け戦」は続く


冨山和彦×宇田川元一 「丁重に無視」することが変革のポイント

■第6位

 楽天での東北楽天ゴールデンイーグルス立ち上げ、ヤフーでの「PayPay」立ち上げなど多くの事業を成功させてきた小澤隆生氏(通称おざーん)。その小澤氏の生き方を描いた『
小澤隆生 起業の地図 困難をいかに乗り越え、事業を成功させるのか
』(北康利著/日経BP)から抜粋・再構成した記事が第6位に入りました。

 PayPayは2025年7月には登録ユーザー数が7000万人を超え、PayPayというサービス名も身近になっていますが、命名までには地獄のプロセスがあり、いくつもの別候補がありました。誕生秘話を明かします。

<関連記事>

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松下幸之助と令和のリーダー小澤隆生との違い 作家・北康利が解説


小澤隆生が薦める“起業家の必読書” 「吐き気がするほどリアルな本」とは

■第5位

 第5位は、老いてきた親とどう向き合えばいいのかを解説した『
老いた親はなぜ部屋を片付けないのか
』(平松類著/日経プレミアシリーズ)から抜粋・再構成した記事です。

 年齢を重ねた親や身近な高齢者の様子がおかしくなってくると、「ひょっとして認知症では」と不安に思う人は多いでしょう。しかし、著者で医師の平松さんは「真の理由は別にあります」と断言します。老いた親の行動の理由とは何なのか、解き明かします。

 本書から抜粋した記事は、他のものもよく読まれています。以下に紹介します。

<本書からの抜粋記事>

高齢になると若いときより12倍塩味を感じなくなる


なぜ老いた親は家の中で転んで骨折してしまうのか

■第4位

 第4位は、ノーベル賞学者が私たちが死ぬ理由を明らかにする『
Why We Die(ホワイ・ウィ・ダイ) 老化と不死の謎に迫る
』(ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン著/土方奈美訳/日本経済新聞出版)から抜粋・再構成した記事です。

 40歳の女性が生んだ赤ちゃんは、20歳の女性が生んだ赤ちゃんに比べて、細胞が20歳年老いているのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。両親の体に起きた老化は、子供のなかではリセットされます。人間が進化の過程で獲得してきた、老化時計をリセットさせる3つの仕組みを解説します。

<本書からの抜粋記事>

増加する認知症患者 原因はどこまで解明されているのか?


100歳まで生きる人の特徴は? 長寿研究が明かす健康の秘訣


「若い血」で若返り? 血液研究が教える抗老化薬の可能性


ノーベル賞受賞者が考える 若々しく長生きして死ぬのは理想か

■第3位

 第3位は、築いた資産を老後に取り崩す技術を解説する『
60代からの資産「使い切り」法 今ある資産の寿命を伸ばす賢い「取り崩し」の技術
』(野尻哲史著/日本経済新聞出版)から抜粋・再構成した記事です。

 60代以降のお金の使い方として、「年金プラス月○万円を引き出す」という方法をとっている人は多いかもしれません。ただ、運用しながら取り崩しを図る資産活用の場合、この「定額引き出し」には思いがけないリスクが潜んでいます。運用会社で投資教育を長年行ってきた著者が、安心な「取り崩し」の技術を分かりやすく解説します。

<本書からの抜粋記事>

誰も教えてくれない60代からの「上手な資産の取り崩し方」


65歳から80歳までは「3%で運用し4%引き出す」

■第2位

 第2位は、数々のベストセラーを持つ人気の認知科学者、今井むつみさんの記事です。今井さんのベストセラーの1つ『
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策
』(日経BP)から抜粋・再構成したもので、「聞く力」について解説しています。

 「耳の痛い話」「自分にとって都合の悪い話」は、多くの人がうまく聞くことができないものです。今井さんは、上司が部下から報告を受けるときを例に挙げ、「イヤな報告を受けたときこそ、相手を褒める・感謝する」くらいの心づもりが必要です」と説きます。

 「日経BOOKプラス」では、今井むつみさんに関する記事を多数掲載。最近では
「今井むつみさんが語る【今井むつみの本】の世界」
を連載しています。また、2024年10月から12月には、2カ月にわたり「#今井むつみさん祭り」として今井さんの著書からの抜粋記事を毎日展開し、よく読まれた記事が続出しました。

<関連記事>

どう見ても不合理な判断をしてしまう人が後を絶たない理由


「仕事に感情を持ち込むのはプロ失格」が間違いである理由


無能な人ほど「指示通り」に固執する できる人の伝え方とは


【今井むつみの本】の世界の入り口となる3冊


【今井むつみの本】の世界 学びを理解するための3冊

■第1位

 第1位は、賢く食べて優雅に生きるためのフランス人のライフルールを解説する『
フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか
』(ミレイユ・ジュリアーノ著/羽田詩津子訳/日経ビジネス人文庫)から抜粋・再構成した記事となりました。

 この記事では、フランス人のぜいたくで太らない技術のうち、パンの食べ方をアドバイスします。著者は基本ルールとして、「食べたパンの枚数を勘定し、最初の料理が出される前にはパンを食べない。つまり、パンを前々菜にしない」と述べます。そのほか、パンの品質へのこだわりや、食べ物とのとりあわせについても具体的に紹介します。

 「日経BOOKプラス」では、本書の関連記事として、元サッカー日本代表監督フィリップ・トルシエさんの通訳を務めたフローラン・ダバディさんへのインタビューや、本書の訳者である羽田詩津子さんの寄稿も掲載しています。

<ダバディさんへのインタビュー>

フローラン・ダバディ フランス人がやせているのは「体の感覚に敏感だから」


ダバディ氏 フランス人が「食べ過ぎない」のは、暮らしの余白を埋めないから

<羽田さんの寄稿>

夜中のごほうびは「敵」 コロナ太り脱却のきっかけになった本


魚も肉も…一度に250gは食べすぎ? 美食の国フランス人の教え

<本書からの抜粋記事>

フランス人の健康の基本は「水を飲む」こと


フランス人のウォーキング、体も心も健康にする秘訣

【2025年 記事アクセスランキング TOP20】

順位
記事タイトル

1

フランス人はなぜパンを食べても太らないのか

2

「なんで早く言わないの?」とつい言ってしまう 「不都合な話」の聞き方

3

「年金プラス『毎月10万円』引き出す」はなぜ危険か

4

老化は巻き戻せるか? 老化をリセットする3つの機能

5

実家の中が散らかっても、親が認知症になったとは限らない

6

「PayPay」命名は地獄のプロセス 候補に挙がった別案とは

7

元ソニー社長・平井一夫×宇田川元一「経営者自身も痛みを分かち合う覚悟を」

8

「訴状が届いてないのでコメントできない」 ならいつ届くのか

9

会社への不満から「静かな退職」を選ぶのは賢明か

10

申し訳ないことに、昭和おじさんは「かわいい」と言われたい

11

日本人の友だちがいなくても困らない 日本のなかの中国人社会

12

刀・森岡毅が問う「何のために事業をするのか」 逆境を突破する力の原点

13

忍び寄る低成長、韓国をむしばむ老若男女の「生きづらさ」

14

ジェンダー平等は企業にとって都合がいい 「ジョブ型雇用」の裏側

15

まさかの「マラソン走ったら、痛風デビュー」医師が解説

16

衰退途上国・日本にまん延する「働かされ感」

17

小泉悠×山口亮 日本の近くで戦争はすでに起きている

18

教育費のリアル 「私立中に入学させれば塾代が浮く」は誤解

19

酒好きは要注意 アルコールで最もリスクが上がるがんは、あの部位

20

米大統領選 トランプの「復讐」はこうして実現した

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