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 登壇者:田中 泯、リー・カンション、蔦哲一朗監督
 司会:市山尚三プロデューサー

 1100年の歴史を誇る牛嶋神社にて、映画『黒の牛』公開記念イベントが行われた。寒空のなか、本作に出演している牛の「ふくよ」も、岩手から駆け付け神社内に敷かれたレッドカーペットに登場。抽選で選ばれた約250人の一般客をお出迎えした。イベントは本作に禅僧役で出演している田中 泯による「場踊り」からスタート。朝から降っていた雨が止み青空も垣間見えるなか、牛嶋神社の境内にて約30分ほど踊り、会場は荘厳な雰囲気につつまれた。最後には牛の「ふくよ」とも共に踊り、観客を魅了した。

 その後、本作のプロデューサーである市山尚三の司会のもと、台湾から来日した主演のリー・カンション、田中 泯、蔦哲一朗監督による「トークイベント」を実施した。

MC市山:この牛嶋神社は古くから牛を神の使いとして祀っている場所です。本作『黒の牛』は牛と人間とが共に生きるという物語ですので、この場所でお話を伺えることに特別なご縁を感じております。では皆様からご挨拶をお願いいたします。

蔦監督:今日はお寒いところ、多くのお客様にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。『黒の牛』のアートイベントということで、牛にまつわる牛嶋神社で何かできればと思い、神楽殿で日本家屋とLEDを融合させた新しい「襖絵」を作りたいという企画から始まりました。田中 泯さんには、僕の前作『祖谷物語 ―おくのひと―』にも出演していただいて、まさか十何年経ってから自分の企画で泯さんに踊っていただけるとは……感慨深いです。自分の中では、ちょっと成し遂げちゃった気持ちもあります(笑)。

田中 泯:いま僕が触ったりツノでつつかれたりしたあの子(牛のふくよ)は、映画に出演しているあの子です。とんでもない大雨の中、膝まで埋まって歩けなくなるような田んぼを、リー(・カンション)さんも一緒に耕したり、山の中を歩いたりした、本当に思い出深い子です。映画が終わってお別れして、本当なら彼女は食べられてしまうところを、東北に行って農業をするようになり、おまけに子どもを2頭も産んだようです。幸せなやつだなと思いました。今日来ることは知っていましたが、まさか一緒に踊れるなんて思ってもいなかったです。彼女が東北から一緒にやって来た仲間が綱をひいてくれたおかげで、突き倒されなくて済みました。時々すごく優しい目で僕を見てくれているのが分かって、すごく嬉しかったです。映画本編ではリーさんは、全然しゃべりません。全くしゃべりません。でも本当に素晴らしい俳優さんで、びっくりです。何にもしゃべらないのに、映画を引っ張っていく。こんな映画は、皆さん観たことないと思います。

リー・カンション:今日はありがとうございます。田中 泯さんの素晴らしいダンスを拝見し、曇り空から太陽の光がさっと差し込み、これは素晴らしいイベントだと思いました。そして『黒の牛』は完全に芸術映画、アート映画だと思います。監督は勇敢なことに全編フィルムでお撮りになりました。日本ではこのような映画は大変に貴重だと思います。現代、社会ではいろいろと悲しいことがありますし、非常に忙しなく生活をされているかと思います。そんな時に、この『黒の牛』をご覧になって、心を落ち着けて、静かな日々を送っていただければと思います。

MC市山:出演された決め手は何ですか?

リー・カンション:蔦監督の前作の短編を観て、素晴らしいと思いました。しかもフィルムで撮っていて、モノクロでした。美しい映画でしたし、また今回もモノクロ映画をフィルムで撮る勇気に感銘を受けました。そして、2回も台湾に来てくださいました。一緒にお話を聞いたツァイ・ミンリャン監督からも、また本作のプロデューサーである市山さんにも推薦されて出演することを決意しました。撮影はコロナの時期だったので隔離もあり大変でしたし、現場では牛との格闘がありました。牛のふくよは頑固でしたが、ゆっくりとですが、私の言うことを聞いてくれるようになり、一緒にうまく演技できるようになりました。

MC市山:リー・カンションさんの印象は?

田中 泯:本当に素敵な方です。言葉でなくとも、会話がなくとも分かっている。彼の一挙手一投足に納得がいきました。言葉で指示をしたり、されたり、言葉で感情を伝える、そういうことがほとんどない、より自然に近い状態の中で、ことが進んでいく。それは本当に素敵な現場でした。

MC市山:田中 泯さんの印象は?

リー・カンション:泯さんが先ほどお話されたように言葉の問題はなかったです。私は映画の中で、一人でワンシーン十数分ほどの長回しを演じています。田中さんはダンスでそれをされているので、私のことをよく分かってくれた気がしましたし、私も田中さんとご一緒させていただいて、言葉じゃなくて分かり合えた気がします。現場で、私と田中さんの年齢の合計は120歳だったんですね。合計120歳の二人が、田んぼ中で牛と格闘しなくちゃいけないのは大変でした(笑)。

MC市山:では最後にメッセージをお願いいたします。

リー・カンション:ぜひ劇場で観ていただきたい作品です。よろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

田中 泯:映画館で観るのは、DVDで観たり、茶の間のTVで観るのとは全く違ったものになると思うんです。誰かに伝えたくなるような、心が動くのが映画館なのかなと。TVだと途中で止めたり自分でコントロールできますが、映画館はみんなで一緒に観る場所。映画は共同性がないと出来上がらないものですから、映画館でぜひ観てください。坂本龍一さんが(音楽として参加することを)「OK」と言ってくれたんだよね。でも間に合わなかった。坂本龍一の追悼の意も込めて観に来てください。

蔦監督:オリジナル脚本なので映画に賛同してもらう方を探すのに苦労しました。リーさん、泯さん、そして坂本龍一さん、皆様のお力添えで、ここまでこられました。制作に8年かかり、僕の30代を全て懸けた作品です。フィルムで撮る以外にも、こだわり抜いた映画ですので、ぜひ劇場で観てもらいたいです。今日はありがとうございました。

映画「黒の牛」特別展覧――牛嶋神社  神社と融合する映画の新しいカタチ。

 LEDと日本家屋が融合する全く新しい障壁画メディアアートが誕生。
 映画『黒の牛(アート版)』を、牛嶋神社の神楽殿にて常設上映。
 ※ 劇場版『黒の牛』とは上映尺と編集が異なる作品。

【期間】2025年11月7日(金)~2026年2月28日(土)
【場所】牛嶋神社・神楽殿(東京都墨田区向島1丁目4-5)
【料金】無料

 主催:ニコニコフィルム
 共催:ムーリンプロダクション
 宣伝:アルファズベット
 協力:牛嶋神社、シネリック、フーリエフィルムズ、東武鉄道株式会社
 協賛:カリコ牛地元製作委員会
 助成:アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】

 HP:https://alfazbetmovie.com/kuronoushi/installation/(外部サイト)

公開表記

 配給:ALFAZBET、ニコニコフィルム、ムーリンプロダクション
 2026年1⽉23⽇(⾦)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿 K`s cinema他 全国順次公開

 (オフィシャル素材提供)

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