Text & Interview: 永堀アツオ
Photos: Yuma Totsuka
10月15日にリリースされた原因は自分にある。の4thシングル『パラノイドランデブー』。表題曲は川谷絵音が楽曲提供したもので、そのリズミカルな展開や影を感じさせる歌詞にゲンジブの新たな魅力が発見された。
6年前に「BATTLE STREET」から現グループ名へと改名した際、川谷があるツイートをしたことで、川谷とゲンジブの間で、実は想像以上のインタラクションが生まれていた。ゲンジブをよく知る川谷だからこそ書けた「パラノイドランデブー」の完成秘話を、メンバーの小泉光咲と長野凌大、そして川谷による初対談を通してお届けする。小泉は川谷と初対面、長野はラジオでの共演経験はあるものの、憧れのミュージシャンとの時間に少し緊張した様子。一方、ゲンジブをずっと追ってきた川谷も、この日の対談を心待ちにしていた。
左から:小泉光咲、長野凌大、川谷絵音
──改めて、6年前に原因は自分にある。について「気になる。笑」とTwitter(現X)に呟いた時の心境から聞かせてください。
川谷絵音:そんなに深く考えてやったわけじゃないんですけど、ゲスの極み乙女。の「。」を含めて、文章の構成が似てるから目に止まったというか。ニュースを見て、単純にどういうグループなんだろうって気になるなと思って。「これに改名するって何があったんだろう?」って。
小泉光咲:あはははは(笑)。確かに。
川谷:ゲスの極み乙女。はトートバックに書いてあったものを勝手に使っただけで、僕がつけたわけじゃなくて。「原因は自分である。ってどういう意味なんだろうな?」って。
気になる。笑 https://t.co/G3611PcBuT
— enon kawatani (@indigolaEnd) August 7, 2019
小泉:呟いていただいたときは、僕らはびっくりしたよね。
長野凌大:僕らも自分で考えたわけじゃないんです。急に事務所に呼ばれて、「改名します」って言われて、もともとBATTLE STREETっていう横文字だったのが、原因は自分にある。になって。正直、若かりし頃だったんで、「あ、終わった……」って感じだったんですよ。
小泉:事務所では英語のグループ名が主流になっていたから、僕らもBATTLE STREETという名前で活動していたのに、急に原因は自分にある。って文章になって。それも、びっくりでしかなかったです。
長野:そういう時に、川谷さんのツイートを見て、なんか救われた気持ちになったよね。メンバーのLINEグループに送ったのも覚えてます。
小泉:間違いない。すごく肯定してもらった気持ちになった。
──それ以降も、ゲンジブの活動を見ていました?
川谷:はい。割とこの6年間、新曲や映像が出るたびにチェックしていました。一回SNSで呟いたりすると、近年はその内容に近いものがサジェストされるようになるから、ゲンジブのファンの人のポストとかも僕のタイムラインに出てきてたんですよ。だから、結構詳しくなりました。
──川谷さんから見たゲンジブはどんな印象ですか?
川谷:グループって深く入り込まないと、それぞれの個性ってなかなかわからなかったりするじゃないですか。でも、ゲンジブは個性がはっきりとしているから、映像を見ているだけでも、一人一人の違いがわかる。それぞれの歌い方や声がわかるグループは貴重だなと思ってます。
小泉:嬉しいです! これからも声を生かして頑張っていきたいです。
長野:ずっと追ってくれていたんだっていうのも嬉しいです。自信が湧いてきました。
──おふたりは川谷さんに対してどんな印象を持っていますか?
小泉:僕らが言うのもなんですけど、いろんなことをされていて、すごく多彩ですよね。
長野:僕は大ファンで、中高生のころから、ずっとチェックしていて、本当にヒーローのような存在です。ゲスの極み乙女さんやジェニーハイさんのライブにも行かせていただきましたし、川谷さんが気になると言ったアーティストのライブにも行ったりして。趣味でギターをやっていて、川谷さんが使ってるエフェクターボードとかも調べたこともあります。だから、夢のようというか、今も実感が逆に湧いていません。
──川谷さんが作る音楽のどんなところに魅力を感じますか?
長野:とにかく日本で一番忙しいバンドマンだと思うんです。でも、いろいろなジャンルをやられているけど、すべてに一貫性がある。それぞれのプロジェクトで全然違うことをやられているから、川谷さんのパーソナルな部分が消えていきそうではあるんですけど、音楽を聴くと、川谷さんの変遷がわかるんです。ひとつのバンドに縛られず、いろいろやってるからこそ出てくる、川谷さんの時代感みたいなものもあるし、一番“アーティストしてるな”って感じます。
──川谷さんは今回、ゲンジブから楽曲提供を依頼されてどう感じましたか?
川谷:めちゃくちゃ嬉しかったです。いつか来るかなと思ってたんですけど、ようやく来たと思って。作りたい曲はいっぱいあったんですよね。すでに印象があったから作るのがすごく楽でした。
──何かリクエストはありましたか?
川谷:「早めのテンポで踊れる曲」みたいなことは言われた気がしますね。それはそうだろうなという思いもあったし、ボカロカルチャー的なものから曲調や音程が目まぐるしく変わるパートもあったので、その辺りをどう変えて、どう残すか、みたいなことを考えていました。
──その“らしさ”をどう変えて、どう残そうと思ってたんですか?
川谷:最初はそう考えていたんですけど、作ってるうちに「なんでもいいのかな」って。ゲンジブが歌えば、ゲンジブになるって思ったんです。僕の中では制約なしに自由に作っていったし、とにかく「ものすごくいい曲を作ろう」ってことだけを考えていたかもしれない。ライブで盛り上がる曲にもしたかったし、ファンの皆さんが聴いて、いろんな面白みや新鮮さがあるほうがいいなって思ったので、曲調をいろいろ変えてみたりはしているんですけど、そんなに気負ってはなかったかなと。曲って、歌う人によってどんどん成長していくと思うから、「僕がこうしよう」ってするより、「僕の曲をどう料理してもらえるだろう」っていう思いで、僕はその時のモードで作りました。
長野:もともと曲を聴かせていただいていたので、まさに今の川谷さんだなって思いました。最初のデモの段階では打ち込みメインだったんです。ミニマムだけど壮大な世界があって、今の川谷さんの感じと時代感がマッチしてるなと思いました。その後にバンドで録音されて。
小泉:僕たちはデモを2つ聞いてるので、バンドバージョンを聞いたときは、その変わりようにもびっくりしました。
長野:もともとのバージョンも好きだったんですけど、バンドになってからの化け具合がすごくて。僕たちは二度楽しめたので、本当にすごく貴重な体験でした。
