発売中のテレビ製品の中から、“読者に本当にオススメしたい優れたモデル”を選ぶ「AV Watchアワード」。
既報の通り、2025年のナンバーワンテレビには、ソニーの4KミニLED液晶テレビ「K-65XR90(BRAVIA 9)」と、LGエレクトロニクス・ジャパンの4K有機ELテレビ「OLED65G5PJB」が選出されました。
AVWatchアワード2025 結果
・有機ELテレビ大賞
LGエレクトロニクス・ジャパン「OLED65G5PJB」
・液晶テレビ大賞
ソニー「K-65XR90(BRAVIA 9)」
今回は、アワードの締めくくりイベントとして、選考会後に行なった座談会の模様を、前後編の2回に分けて掲載します。
初回は「液晶テレビ編」。選考会に参戦したハイセンス「65U9R」、レグザ「65Z970R」、TCL「65C8K」、シャープ「4T-C65HP1」、パナソニック「TV-65W95B」、そしてソニー「BRAVIA 9/K-65XR90」といった各社最新ミニLEDテレビの評価を振り返ります。
なお、本文中の実売価格は、リリース発表時の市場想定価格ではなく、11月上旬時点での大手家電量販店5社の平均価格(コジマ、ジョーシン、ノジマ、ビックカメラ、ヤマダのネットショップ価格)を記載しました。
編集部・阿部:新開発の「Mini-LED X」バックライトを搭載したハイセンス「65U9R」(以下U9R、実売21.5万円)は、2024年モデルの「U9N」を超える明るさを実現したミニLEDテレビです。ピーク輝度の測定値は3,300nitsに迫るほどで、実際の視聴でも、明るさが際立つモデルでした。
秋山氏(以下敬称略):画の傾向は’24年モデルを引き継いでいて、AI自動モードについては、今年のU9Rも高い輝度と力強いコントラストが持ち味でした。色も非常に濃い。明るい環境で地デジやYouTubeを観ることに特化すれば、見栄えは良かったと思います。
西川:ハイセンスは、ビビットな画作りに振り切っているよね。ゲーミングの性能も1番ではないけれど、4K60pで9.8ms、2K120pで1.5msと上位の部類に入る。実売も一番手頃だし、映像の細かい部分に拘らない・部屋を暗くして使わないという前提で、「放送やスポーツ、ゲームを楽しむ」というライトな使い方なら十分なテレビじゃないかな。
モード名4K60p信号2K120p信号ハイセンス
「U9R」
※19.8ms1.5msパナソニック
「W95B」
ゲームプロ9.2ms1.6msシャープ
「HP1」
ゲーム9.5ms0.7~2.0ms
変動し不安定ソニー
「BRAVIA 9」
※213.7ms5.2msTCL
「C8K」
ゲーム9.2ms0.8msレグザ
「Z970R」
※311.3ms2.0ms
※1:スタンダード、シューティング、レトロゲーム、ロールプレイング共通
※2:スタンダード、FPS、RTS共通
※3:スタンダード、シューティング共通
【AV Watchアワード2025】液晶テレビ(1)ハイセンス「65U9R」~マスターモニターとの映像比較
※HDRで撮影した映像です。鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
秋山:ただ、映画モードになるとその印象が一変します。リビングで、明暗の差が少ない番組を見ている限りは気付きにくいかもしれませんが、例えば映画やドラマなど、暗がりにいる人物が映ったりすると、人物が発光しているかのように周辺に光が漏れてコントラストが激落ちします。少し斜めから見たり、暗室で視聴すると、この現象が顕著でした。
阿部:ミニLEDテレビの光漏れは、大なり小なり、どのモデルでもありますが、特にU9Rは青い光漏れが大きかったですね。
秋山:周辺に漏れた光と一緒に、人物の顔まで青白くなってしまって、まるで亡霊のよう。映画系のコンテンツを再生した際に、全員の採点が伸びなかったのは、これが大きな要因です。
ハイセンスは、2年前のモデル「65UX」が敢闘賞レベルの完成度でした。ただ昨年・今年のモデルの画質を見ていると、コストダウンの影響を感じざるを得ません。来年はRGBミニLED機になるかと思うので、挽回を期待したいところです。
西川:僕からの要望としては、レグザの「タイムシフトリンク」機能をハイセンスのテレビにも搭載して欲しいですね。
あくまで“リンク機能”であって、ハイセンスのチューナを増やすわけではないからコストアップにはならないでしょう。機能を利用するにも、ネットワーク内に必ず1台はタイムシフトマシン対応レグザが必要だし、結果的にグループで囲い込みになるからアリだと思うのですが。
阿部:では、レグザのミニLEDテレビ「65Z970R」(以下Z970R、実売36.6万円)に移りましょう。ボイスナビゲートや音声コントロールなど、生成AIを活用した新機能が話題のテレビですが、画質面においても新開発のバックライト搭載やAIエンジンによるシーン判別の高画質化処理がアップデートされています。
秋山:’24年モデルとの比較で言うと、映画プロモードでの“ミカンせいじん”(映画「すずめの戸締り」のすずめの肌色がオレンジ色になる)問題は、Z970Rではだいぶ直っていました。この点は「ありがとうございます」と言いたいですし、こちらの声が届いて、実際の製品に反映されることは、アワードを行なっている我々のモチベーションにも繋がりますから。
ただ、すずめの肌色はマシにはなったのだけど、今度は空がグリーニッシュになってしまって……やはり全体的に色がおかしいんですよね。色差を示すΔE値も年々悪化しています。モニターではなくテレビですから、メーカーによる画作りが入るのは理解できますし、狙いもあってのことと思いますが、“映画プロ”というモード名であるならば、その名に相応しい色を出して欲しいです。
西川:有機ELの「X9900R」にも言えるんだけれど、YouTubeのピチューの色が屋外で飼育したみたいに退色してみえる。最近の映画プロモードは独自路線というか、昔のモニター志向の画からは完全に変わってしまった印象です。
モード名25年24年23年ハイセンス
「映画」65U9R
17.265U9N
15.265UX
3.4パナソニック
「シネマプロ」W95B
1.6W95A
3MX950
2.5シャープ
「映画」HP1
6.1GP1
5.2EP1
2.1ソニー
「シネマ」XR90
4.3
※25年再測定XR90
4.3X95L
2.1TCL
「映画」C8K
4.3C855
6ーレグザ
「映画プロ」Z970R
10Z970N
6.1Z970M
4.6
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、レグザの4K液晶テレビ「65Z970R」(左、映像モードは「映画プロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
西川:それから、Z970Rの輝度数値を見るとピークもまあまあ出ているし、全白時に至っては「おまかせAI」「映画プロ」モード共に液晶6モデルの中で一番高い数字が出ている。でも実際に放送番組やネット動画、映画を再生して、ほかと比較すると、暗くて画が重くなってしまう時がある。
テスト信号(「Starfiled」など)を流したりすると、画面が暗くなってしまって、見えるはずの星がほとんど見えなくなってしまう。モデル数も急に多くなり、単純に画質の追い込みが間に合っていないのではないかと少し懸念しています。
阿部:タイムシフトマシンや生成AI活用の検索だとか、尖がった機能、業界先どりの機能をせっかく備えているのですから、画質面でも奮闘を期待したいです。
編集部注
TVS REGZAに対し、上記箇所を伝えたところ、「指摘の現象が確認でき次第、クラウドAI高画質の更新データを使い、カラーイメージコントロールのデータ変更等の対応を実施する予定」との回答がありました。
阿部:TCLのミニLEDテレビ「65C8K」(以下C8K、実売27.7万円)は、高コントラスト、低反射、広視野角、そして枠のない“ゼロベゼル”仕様の「CrystGlow WHVAパネル」を搭載したハイエンドモデルです。
西川:C8Kは、とにかく画面が明るくて、パワフルでした。明るいアニメ(「すずめの戸締り」)にばっちりハマっていたし、「F1/エフワン」のボディの照り返しや空の様子もリアルで、説得力のある見え方。単純に明るさを上げただけでなく、明部の階調も表現できていたのはすごく良かったです。
秋山:突き抜ける感じの明部は、昨年BRAVIA 9を初めて観た時の印象に似てますよね。自分も「すずめ」は好印象で、BRAVIA 9をすごく意識した画だと感じました。それに、超解像も優秀で、細くクッキリみせる感じは結構上手いなと。
阿部:C8Kのピーク輝度は3,328cd/m2も出ていて、過去3年間のアワードで計測したどのテレビよりも高い数値を記録しました。
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、TCLの4K液晶テレビ「65C8K」(左、映像モードは「映画」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
モード名10% Window
(ピーク輝度)100% Window
(全画面輝度)ハイセンス
「U9R」
AI自動3,270cd/m2718cd/m2パナソニック
「W95B」
オートAI1,417cd/m2715cd/m2シャープ
「HP1」
AIオート1,792cd/m2705cd/m2ソニー
「BRAVIA 9」
スタンダード
※25年再測定2,487cd/m2724cd/m2TCL
「C8K」
インテリジェント3,328cd/m2772cd/m2レグザ
「Z970R」
おまかせAI2,901cd/m2887cd/m2
モード名10% Window
(ピーク輝度)100% Window
(全画面輝度)ハイセンス
「U9R」
映画2,707cd/m2607cd/m2パナソニック
「W95B」
シネマプロ1,273cd/m2603cd/m2シャープ
「HP1」
映画2,037cd/m2767cd/m2ソニー
「BRAVIA 9」
シネマ
※25年再測定2,419cd/m2618cd/m2TCL
「C8K」
映画3,166cd/m2732cd/m2レグザ
「Z970R」
映画プロ1,795cd/m2972cd/m2
秋山:もちろん粗もいろいろあります。放送はノイズリダクションが強すぎて、人の顔が蝋人形みたいになっているし、映画はローカルディミングが全然効いていなくて、暗部が浮いてしまっていたりね。
西川:そうですね。ローカルディミングをチェックするテスト信号(「Starfiled」など)でも暗部が浮いてしまって、機能が働いているのかな?って思ったくらい。明るい映像と暗い映像とでは、画の印象に差がありました。
秋山:でも基本は素直な画だし、変な色も出ていないから印象は悪くないんですよ。映画モードも非常にフラット。前回(「65C855」)はかなり厳しい評価でしたが、昨年からの“点数差”でいうと、C8Kは11モデルの中で最もジャンプアップしたテレビです。個人的には敢闘賞をあげたいと思ったモデルでした。
阿部:次は、シャープのミニLEDテレビ「4T-C65HP1」(以下HP1、実売37.8万円)ですね。広い色域と昨年比1.5倍の輝度を実現しながら、消費電力性能も改善したモデルです。測定もしましたが、確かに、他社のミニLEDテレビよりも消費電力が低く抑えられているのに、見た目の明るさ感は維持できているように感じましたね。
(測定値※1)
モード名消費電力
(カタログ値)年間消費電力
(カタログ値)年間目安
電気代
(※2)ハイセンス
「U9R」163~234W
AI自動252W152kWh/年4,100円パナソニック
「W95B」108~121W
オートAI275W180kWh/年4,860円シャープ
「HP1」96~110W
AIオート253W145kWh/年3,920円ソニー
「BRAVIA 9」182~223W
スタンダード350W208kWh/年5,620円TCL
「C8K」172~244W
インテリジェント380W160kWh/年4,320円レグザ
「Z970R」142~175W
おまかせAI357W172kWh/年4,640円
※1:総合テレビ「NHKニュース7」を表示している際の消費電力測定値。映像モードは「おまかせAI」もしくは「標準」系で統一。部屋の照明を付けた状態で、テレビの明るさセンサーをオンにしている
※2:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ型製品情報サイト」(URL:https://seihinjyoho.go.jp/)より引用
西川:アクオスらしいというか、量子ドットのリッチな発色と明るさ推しの画作りは今年も健在でしたね。放送も映画も、とにかく明るく見せようというコンセプトなのでしょう。
すべてのモードがダイナミックというか、モニター的な画作りのテレビとは対極にあります。地デジも派手で、蛍光色っぽい鮮やかさが目立ちます。YouTubeのピチューの色も濃厚で、ひと際鮮やかに見えました。
秋山:今年は内蔵スピーカーの音が素晴らしかったですよ。テレビの音質を語るときって、だいたい「薄型テレビとしては……」というお決まりのエクスキューズが付いていたわけです。ですが、HP1の音はとてもピュアオーディオっぽいというか、テレビの横にステレオスピーカーを設置しているようなSN感、音の厚み、レンジの広さを感じました。
後で話す有機EL「HS1」も同様に良かったのですが、厳密に比較すると本機の方が上ですね。これはパネルの構造の違いから来るのかも知れません。もしHP1が着脱式の電源ケーブルを採用していたら、画質のためではなく、音質をもっと良くするために電源ケーブルを変えたくなるくらいです。
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、シャープの4K液晶テレビ「4T-C65HP1」(左、映像モードは「映画」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
秋山:映像に関しては色が個性的で、例年とあまり変わっていない印象を受けました。放送やネット動画などはそうした味付けがあってもよいと思いますが、映画はやっぱり厳しい。例えば「すずめの戸締り」は暗部が浮き気味で、遠景は春霞というか、まるで黄砂が飛んでいるような黄色がかった景色に見えました。
ですから、もし更に上を目指すなら、今の「映画」モードとは別に、他社のようにプロモードを設けるべきだと思います。AV Watchアワードは主観評価だけでなく、測定も加味しますし、暗室環境でも映像を確認しますからね。いっそFILMMAKER MODEでもいい。そうしたモードを設けることで、従来のモードの癖が見えてくるはずですし、自分たちが目指す画作りの方向性もユーザーに伝えやすくなると思います。
阿部:パナソニックのミニLEDテレビ「TV-65W95B」(以下W95B、実売23.7万円)に行きましょう。ミニLEDビエラの第3世代目となるW95Bでは、エリア分割数を2.5倍に増やしたり、ミニLEDの色温度変化を補正する「リアルタイム色チューニングシステム」などが新しくなりました。
西川:従来は量子ドットを使っていたのに、W95Bでは広色域ミニLEDに切り替えてきたんだよね。
“じゃじゃ馬”の量子ドットをあえて捨てたことが功を奏したのか、または色補正システムも効いたのか。変な色の偏りも感じないし、非常にニュートラルでバランスのいい映像にまとめてきたなという印象です。昨年指摘したYouTubeの補間エラーも直っていましたしね。
ローカルディミングの動作もバランス型。難しい信号がやってきた場合は、全体を光らせて、ローカルディミングを無理に動かさないようにしている。光漏れ対策なのだろうけど、HDRらしい光のパワー感が乏しくも見えてしまうかな。
モード名BT.2020 1931
カバー率BT.2020 1976
カバー率ハイセンス
「U9R」
映画77.42%83.34%パナソニック
「W95B」
シネマプロ65.93%72.36%シャープ
「HP1」
映画81.69%84.33%ソニー
「BRAVIA 9」
シネマ
※25年再測定69.37%78.33%TCL
「C8K」
映画76.28%81.61%レグザ
「Z970R」
映画プロ76.22%83.43%
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、パナソニックの4K液晶テレビ「TV-65W95B」(左、映像モードは「シネマプロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
阿部:昨年のW95Aは、見た目の明るさを無理に稼ごうとしたのか、全体のガンマを持ち上げたかのような画で、コントラストも浅く、暗部も浮いていました。
今回のW95Bもそれほど暗部は締まらないのですが、どのコンテンツを見てもそつなく映してくれます。放送もスッピン風のモニター調ですから、好みが分かれるでしょうが、個人的には安心して見ることができるテレビでした。
秋山:何でもかんでも新技術を詰め込めばいいという訳ではないですが、“量子ドット”というトレンド技術を搭載しなかったモデルが、今回の審査でまともに見えてしまったという事実は色々と複雑ですね。ARコートなどの表面処理も入っておらず、反射も目立つモデルなのですが……。
阿部:最後は、ソニーのミニLEDテレビ「BRAVIA 9/K-65XR90」(以下BRAVIA 9、実売62.7万円)です。2024年モデルではありますが、2024年、そして2025年と、2年連続で液晶テレビ大賞に輝きました。
秋山:昨年は眩しいほどの輝度性能と、液晶とは思えない高いコントラスト性能、そしてソニーの匠な画作りが融合して、BRAVIA 9が全テレビの中でもぶっちぎりの1位でした。ただ今年は、評価機の個体が違ったり、ハイセンスやTCLのテレビが3,300cd/m2クラスの明るさを実現してきたりして、ぶっちぎり感は薄まりました。
西川:それでも2連覇できたのは、ローカルディミングの制御だったり、量子ドットの手なずけ方、標準・映画モードのチューニングなどなど、2025年の最新ミニLEDテレビでもBRAVIA 9の画質には追い付くことができなかった、ということでしょう。
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、ソニーの4K液晶テレビ「K-65XR90」(左、映像モードは「映画プロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
秋山:正直、今年のミニLEDテレビはどれも画質の進捗に頭打ち感がありました。量子ドットをあえて使わなかったW95Bが、採点で上位に食い込んだこともその表れだと思います。BRAVIA 9はミニLEDテレビの1つの完成形であって、来年以降は、RGBミニLEDバックライトを搭載したモデルで画質競争が繰り広げられることになると予想しています。
阿部:RGBミニLEDテレビに関しては、レグザが年内、ソニーが来年度の導入を発表しています。それから、ハイセンスとTCLも発売の準備を進めていると聞きます。来年のアワードでは、複数台のRGBミニLEDテレビを見ることができそうですね。
西川:RGBミニLEDバックライトは、色域が拡大するだけでなく、視野角改善であったり、カラーフィルタの性能依存が減ることによる局所的な明暗表現の拡大など、液晶テレビの画質をまたさらに向上させることが期待されていますから、非常に楽しみです。
秋山:問題はサイズですね。レグザが開発発表したサイズは116型ですし、海外で発売済みのハイセンスも116型、100型、85型という超大型しかラインナップされていません。AV Watchアワードは現状“65型”がリファレンスサイズになっているので、各社には是非65型のRGBミニLEDテレビも用意して欲しいですね。
<座談会 後編「有機EL編」に続く>














