「マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」より、『アフター・ウェディング』を紹介&レビュー。

『アフター・ウェディング』概要・あらすじ

11月14日(金)より始まる特集上映「マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」にて上映される『アフター・ウェディング』は、スサンネ・ビア監督(のちに『バード・ボックス』などを手がける)による、家族の秘密と赦しをめぐるヒューマンドラマである。インドの孤児院を支える男が、寄付の話で母国デンマークへ向かい、旧知の家族と再会したことから、人生を揺さぶる真実に直面していく。出演はマッツ・ミケルセン、シセ・バベット・クヌッセン、ロルフ・ラッスゴード。脚本を手がけるのは、多くの作品でミケルセンとタッグを組んできた名匠アナス・トマス・イェンセン。本作は2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品だ。

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

インドで孤児院を支えるヤコブは、巨額の寄付話を携えてデンマーク・コペンハーゲンへと招かれる。招待主ヨーゲンの娘アナの結婚式に出席した彼は、そこでかつての恋人ヘレネと再会を果たす。そして明かされる意外な事実が、彼の選択と人生の行方を大きく揺さぶっていくことになる。

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

一気に引き込む脚本と、誰も断罪しないリアルなドラマ

結婚式という誰もがハッピーに過ごすことが想定される空間で、主人公の知らなかった真実、元恋人が隠していた秘密が仄めかされる冒頭から、観客は一気に物語の渦中へと引き込まれる。そこから私たちは、隠し事をされたヤコブの心境に寄り添いながらも、同時に関係者たちそれぞれが抱える苦悩を目撃していくことになる。

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『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

そして終盤、それぞれの思惑と感情が錯綜し、一元的な結論など出せるはずもない複雑でリアルな人間ドラマが、深く心に染み入ってくるのだ。登場人物それぞれにエゴがあり、同時に他者を思う感情もある——当然のことでありながら表現の難しいこの二面性が、本作では丁寧に描き出されている。誰かを断罪することもジャッジすることもない、これは紛れもなく名作ヒューマンドラマである。

マッツ・ミケルセン屈指の名演

複雑な立ち位置に置かれるヤコブを演じたマッツ・ミケルセンの演技は、印象的な演技を多く残してきた彼のキャリアの中でもトップクラスに印象的な繊細さを湛えている。

マッツ・ミケルセン、『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006マッツ・ミケルセン、『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

マッツ・ミケルセン、『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

自身の罪の意識、圧倒的な格差のある相手に対する自信のなさ、恋心と親心、執着心、そして裏切りへの怒り——自然に沸き立ってしまうこれらの感情すべての狭間で揺れ動く男の内面を、ミケルセンは緻密に体現してみせた。

ロルフ・ラッスゴードが感情面を力強く支える

また、本作のドラマを力強く支えたもうひとりの存在が、大富豪ヨーゲンを演じたロルフ・ラッスゴードだ。傲慢で身勝手な一面を見せる彼だが、その内側には抱え込んだ秘密と複雑な思いがある。それゆえに葛藤し、迷い、決断し、ときに感情を激しくあらわにする——観客はそんな彼の感情に、否応なしに寄り添わされることになる。彼の存在があってこそ、本作は一段と深い魅力を放つ作品になったと言えるだろう。

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

『アフター・ウェディング』より © 2006 Zentropa Entertainments16 ApS. & After the Wedding Ltd./Sigma Films III Ltd. All rights reserved 2006

リアルな人間の感情と人間関係、そして人生の選択と決断に真摯に寄り添った名作『アフター・ウェディング』は、11月14日(金)より始まる特集上映「マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」にて上映される。

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