ドヌーヴとの共演で感じたことはあったのだろうか?
「初めて現場でお会いしたときから、言葉では表現しきれないほどの大きな存在感、オーラのようなものを感じました。この存在感はなんだろうと、共演しながらその理由を考えていたのですが、俳優である前に人間としてすごく魅力的に感じました。彼女のような映画史に残るような女優さんが、わざわざ日本にいらして、この映画に出た理由をききたいと思っていたんです。結局それは叶いませんでしたが、この映画に出演すること自体が、彼女が大女優である証明のようにも思えました。世界中のどこに行ってもどんな役を演じようともカトリーヌ・ドヌーヴはカトリーヌ・ドヌーヴ。きっと彼女は誰よりも映画の力、俳優の力を信じているんです。そこが本当に素敵だし、少しでもその領域に近づきたいなと思いました」
2024年に1カ月近くをかけて行われた撮影は、「すごく楽しくて素敵な現場」だったという。
「死について描く映画ですから、作品としては厳かな雰囲気に包まれていると思うんですが、撮影現場では笑顔があふれていて、俳優もスタッフも楽しんで仕事ができるような空気が満ちていました。監督(エリック・クー)のお人柄だと思います。監督がすごく前向きでポジティブで、エネルギッシュな方なんです。そのおかげで僕も役作りに悩みながらも、穏やかで楽しい時間を過ごすことができました。ただエリックを見ていて感じたのは、単に明るい性格ということだけではなく、恐らくたくさんの心の痛みを感じてきたんだろうなということ。明るさのなかに優しさがあるんです。それはこの作品にもよくあらわれていると思います」
言葉ではない表現を突き詰めていく作業
泣ける、笑える、感動する。前宣伝から観客の感情を導き、ナレーションやテロップ、独り言で“答え”を示していく、わかりやすいコンテンツが増えているように思える。『SPRIT WORLD -スピリットワールド-』は、その真逆ともいえる作品だ。説明はほとんどない。観客もいっしょに考え、答えを探り、映画のなかでハヤトとともに旅をする。観ているうちに自然とそうさせてくれるのが竹野内のいう「映画の力、俳優の力」ではないだろうか。

