人工知能(AI)を使った音楽生成アプリを手がける米スタートアップのSunoが、1億ドル(約151億円)余りの資金調達に向けて協議を進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、想定する自社評価額は20億ドル超と、前回の4倍に膨らんでいるという。
AIによる音楽生成技術はユーザーから驚きをもって迎えられる一方、アーティストやレコード会社からは批判を招いている。Sunoは複数の大手レコード会社との訴訟で和解に向けた協議を行っており、結果次第で柔軟な事業展開につながる可能性はあるとブルームバーグはこれまでに報じている。
同社はこれまでにライトスピード・ベンチャー・パートナーズ、ナット・フリードマン氏、ダニエル・グロス氏、マトリックス、ファウンダー・コレクティブなどの投資家から1億2500万ドルを調達している。非公開情報だとして関係者数人が匿名を条件に語ったところでは、現在の年間経常収益(ARR)は1億ドルを上回るという。
Sunoの広報担当者はコメント要請にすぐには応じなかった。
Sunoのサービスでは、ユーザーが楽曲に関するプロンプトを入力すると、歌詞やボーカルを含む完成曲が生成される。
ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)やワーナー・ミュージック・グループ(WMG)などの大手レコード会社は昨年6月、著作権を侵害されたとしてSunoと同業のUdioを提訴。著作権で保護された楽曲を両社がAIモデルの学習に利用したと主張した。1作品当たり最大15万ドルの損害賠償を求めており、賠償総額は数十億ドル規模に達する可能性がある。
Sunoの共同創業者であるマイキー・シュルマン最高経営責任者(CEO)は当時、同社の技術は「革新的」だとし、「既存コンテンツを記憶して再現するのではなく、完全に新しいアウトプットを生成するよう設計されている」と説明していた。
原題:AI Music Generator Suno in Funding Talks at $2 Billion Valuation(抜粋)
