書籍を扱う醍醐味は儲かる、儲からないを超越する(写真:M Stocker/shutterstock)
書店や読書人口の減少と読書離れのニュースが報じられる一方で、本を出版したいとエージェントの門を叩く人は増えている。いま出版エージェント界隈ではどのような変化が起きているのか。1500冊以上の出版企画に携わり、数々のベストセラーを生み出してきた作家のエージェント・鬼塚忠が語る。
※本書は『最強の出版バイブル』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集しています。
【第1回】ビジネスモデルにだいぶ無理がある出版業界が活性化するには……?ベストセラーを生み出す出版エージェントの提案
出版はあなたの人生を大きく変える
私は、いままで、書籍を出すことによって、著者自身や読者の人生を大きく変えた事例を目の前で見てきました。ここで、私たちがお手伝いした出版で人生を変えた方々の例をご紹介しますので、自分と照らし合わせてみてください。
◎会社勤めの著者は50歳を越え、閑職に追いやられた。やる気を失ったものの、自分にはまだ価値があると奮起し、それまでの経験と知識を出版した。その内容が高く評価されたことで、大学教授として採用され、新しいキャリアに挑戦することになった。
◎会社の定年を迎えたのを機に、30年前に所属していた社会人文芸サークルで書いた小説を推敲し、無事、出版が叶った。その結果、その作品はベストセラーとなり、50万部を売り上げた。さらには、この成功をきっかけにオファーが殺到し、過去に書き、日の目を見ることのなかった小説が出版されることになった。
◎3兄弟の真ん中で育った著者。兄は医師、弟は弁護士という家庭環境の中で、自分は何者にもなれなかったという強い劣等感を抱えていた。しかし、自ら書いた本がベストセラーとなりコンプレックスが解消されるとともに、親も兄弟も、以前とは違い、著者に深い敬意を持って接するようになった。
◎東大生が勉強法についての書籍を出版。それがベストセラーになり、その印税を使って、半年間の卒業旅行で世界一周を果たす。就職活動では「大学生なのにベストセラー作家になりました」とアピールし、超難関の外資系コンサルティング会社から内定を獲得した。
◎愛する夫を亡くし、深い悲しみに暮れていた女性が、ある業界で活躍した夫との思い出を本にまとめて出版。その書籍は数年後、アメリカから映像化のオファーが来た。
