写真・関口達朗
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』で、初めて長編映画の主役を務めた。医師から半年しか生きられないと告げられた主人公の萌は、ある出会いをきっかけに高校に通うことを決意する。家族や友だちに支えられながら、限られた時間を懸命に生きる高校生の恋模様をえがいた作品だ。
原作は「令和イチ泣ける」と話題となった恋愛小説。完成した作品をスクリーンで見たときは「なみだをこらえきれなかった」とふり返る。「恋や友情、家族愛という、だれかを思う気持ちの強さ、温かさを魅力的にえがいていると思います」。お客さんは作品を見てどう思うだろう――。楽しみと緊張が入り交じるなか、公開をむかえる。
一見むずかしそうな役どころだが、余命が半年ということはあまり意識せずに演じたそうだ。「自分がやりたいことはやってやろうという強さがある女の子だと思ったから。悲しさだけじゃなくて、そのなかで萌はどれだけ必死に生きようとしているのか、そして無邪気な高校生たちのすがたも楽しんでもらえたら」
沖縄県で育ち、小学生のときは吹奏楽、中学校では部活動のテニスに打ちこんだ。萌は天真らんまんで、自分の気持ちを外に出すことをためらわないが、自身は「おだやかな性格」。だから「ふだんの声、気持ちを一つ上げる感じでした」。自分と似ていない役こそ、その役柄をよく理解することが大切という。
中学3年生のときに芸能界に入り、若手俳優として話題作への出演を続ける。この仕事の魅力は「だれかの人生を生きられる楽しさと、作品を見た人のきっかけになれるところ」。出演する作品が、だれかにとって意味のあるものになったら――。そう願っている。
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』
10月17日全国公開
©2025「ストロベリームーン」製作委員会
病気が原因で、おさないころから家だけで過ごしてきた桜井萌。高校に通い始めた初日、同じクラスの佐藤日向(齋藤潤さん)に突然告白をする。恋人どうしとなった2人は、萌の誕生日に、一緒に見ると永遠に結ばれるという満月「ストロベリームーン」を見る夢をかなえる。ところがその日以来、萌と連絡がとれなくなってしまい……。
写真・関口達朗
2006年11月2日生まれ、沖縄県出身。今年3月に高校を卒業した。出演作に映画『水は海に向かって流れる』『おいしくて泣くとき』など。ドラマ『ちはやふる―めぐり―』(日本テレビ系)で、連続ドラマ初主演。
(文・正木皓二郎)
(朝日小学生新聞2025年10月17日付)

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