(CNN) カナダ出身のラッパー、ドレイクさんが自身も所属するユニバーサルミュージックグループ(UMG)を相手取り、米国のラッパー、ケンドリック・ラマーさんの楽曲「Not Like Us」の発売とプロモーションを理由に提起した名誉毀損(きそん)訴訟をめぐり、米連邦裁判所は9日、この訴えを棄却した。
グラミー賞を受賞したこの楽曲は、ラマーさんがドレイクさんを「認定された小児性愛者」と主張したことで知られる。判事は、楽曲について、事実を主張したものではなく、純粋に意見を表明したものだと結論付けた。
ドレイクさんは、ラマーさんについては提訴していなかった。
ドレイクさんの広報は9日夜、CNNに対し、上訴の意向を示した。
今回の判断は、UMGにとって大きな勝利となる。同社は当初からこの訴訟について「ばかげて」おり「非論理的」だと主張してきた。ドレイクさんがUMGを訴えたのは、ラマーさんがUMG傘下のインタースコープ・レコードに所属しているため。ドレイクさんも現在UMG傘下の別のレーベルに所属している。
判事は、ラマーさんのドレイクさんに対する発言は「不快な」ものだとしても、保護されるべき意見の表明であると判断した。38ページに及ぶ判決文には、ドレイクさんとラマーさんが昨年リリースした楽曲の歌詞を一文ごとに分析したものが含まれていた。ふたりの確執は昨年ピークに達しており、一連の楽曲の中での応酬は、個人的で根拠のない侮辱が目立つようになっていた。

スーバーボウルのハーフタイムショーでパフォーマンスを行うケンドリック・ラマーさん=2月9日/Matt Slocum/AP
判事は「平均的なリスナーは、ディストラック(誰かを攻撃する楽曲)が十分に考えられている作品、あるいは公平な調査に基づいて作成された作品で、事実確認され検証可能な内容を公に伝えるものだとは受け取っていない」と記している。
ドレイクさんは1月に訴訟を起こしていた。
「Not Like Us」は今年初めにグラミー賞を複数受賞。2月に開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーでもラマーさんのパフォーマンスに使用された。