米国のコメディアン、ジミー・キンメル氏は8日、保守系の政治活動家チャーリー・カーク氏殺害に関する自身の発言を受け、ABCが「ジミー・キンメル・ライブ!」の放送を一時停止した際、番組は終わったと感じたと明らかにした。
ロサンゼルスでの「ブルームバーグ・スクリーンタイム」会議に参加した同氏は、番組再開に向けた「要求のリストが提示されたが、どれにも従うつもりはなかった」と述べ、「だからもう終わったと思った。妻に『これで終わりだ』と言った」と打ち明けた。
キンメル氏は番組再開後初の公開インタビューで、自身のカーク氏殺害に関する発言が政治的右派により「意図的かつ悪意をもってゆがめられた」と主張した。
ジミー・キンメル氏が語る(ブルームバーグ・スクリーンタイム)
ウォルト・ディズニー傘下ABCが放送している「ジミー・キンメル・ライブ!」の司会者を長年務めるキンメル氏は先月の発言以降、トランプ米大統領の2期目に一段と激しくなった文化戦争の真っただ中にいる。
カーク氏が9月に銃で撃たれ殺害されたことに触れたキンメル氏の発言は、トランプ氏をはじめとする保守派から激しい攻撃を受けた。連邦通信委員会(FCC)のカー委員長は、テレビ局に対し番組の放送中止を検討するよう促し、従わない場合は規制上の影響を受ける可能性があると警告した。
ディズニーはいったん、番組放送の無期限停止を打ち出したものの、その後、停止措置を撤回。番組は9月23日夜に復活した。来年5月に契約が満了するキンメル氏は、今後も番組の司会を続けるかどうかについては明言を避けた。
台本無し
キンメル氏は9月15日に放送された番組内のモノローグで、共和党がカーク氏の死を政治的な攻撃に利用していると批判。「MAGA派がチャーリー・カークを殺害した若者を、自分たちの一派以外の存在として描こうとしている。われわれは週末、新たな底辺に達した」と述べていた。
MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大に)はトランプ氏のスローガン。
キンメル氏はブルームバーグのイベントで、カーク氏の死を巡りコメントしたことについて「一部の右派系メディアネットワークによる歪曲(わいきょく)だと感じ、それを正そうとした」と語った。
復帰した当日夜のモノローグは事前に台本を用意しなかったとし、「これは心の内から出てくるものでなければならなかった。本音で語り、感じていることを正直にすべて伝える必要があった」と真情を吐露。
同氏はまた、番組にカー氏を招くつもりはないと述べた一方で、トランプ氏には出演を打診したいと語った。

ステージを降りるキンメル氏(ブルームバーグ・スクリーンタイム)
Photographer: Kyle Grillot/Bloomberg
ファンや他の深夜番組司会者からの支持の声がある一方で、配信プラットフォームの台頭や視聴世代の変化を背景に、こうした番組の経済基盤は弱まりつつある。
CBSは7月、やはりコメディアンとして活躍するスティーブン・コルベア氏の深夜のトークショーを今シーズン限りで終了すると発表。「深夜番組を取り巻く厳しい環境下での純粋な経済的判断」がその理由だと説明した。
キンメル氏は、自身の番組の前に放送される番組の視聴率が低いことが影響しているとの考えを示した上で、YouTubeでのクリップ配信も視聴減につながっていると話した。
それでも、一部報道で伝えられるように自身やコルベア氏の番組が数千万ドル規模の損失を出しているとは思わないとし、番組が地方局から得る放送料などの収益もあると指摘した。
ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)の後任について問われると、キンメル氏は「そんな質問に答えるのは非常に愚かなことだ」と述べた上で、番組の停止・再開に大きく関わったディズニーのテレビ部門トップ、ダナ・ウォルデン氏への敬意を示した。
ウォルデン氏に電話をかけ続けて「彼女の週末を台無しにしてしまった」と語り、「あれほどダナと話さなければ、これほど良い結果にはならなかったと思う。ダナ・ウォルデンのことをとても尊敬しているし、彼女は素晴らしい仕事をしたと思う」と述べた。
ブルームバーグ主催のスクリーンタイム会議には、ワーナーミュージックグループ(WMG)のロバート・キンクルCEOや、Netflixのグレッグ・ピーターズ共同CEOも登壇した。同会議は、エンターテインメントやスポーツ、メディア業界をテーマとする年次イベントで、現地時間9日午前も行われる。
原題:Kimmel Thought His Show Was Finished After ABC Suspension (抜粋)
