「クローズアップ現代」で注目された「地方の女性の低賃金」

「営業部は男だから事務はどう? と言われてドン引きしました」

「この街にはいられないなって思って…」

「秋田に住んでいて働くところがないという母を見てきた。パートを転々としてきてそれをばかにされるような、それは母のせいじゃないのに」

これらは、2025年9月24日に放送された「クローズアップ現代」の特集「最賃1000円超だけど…どうする女性の地方低賃金」にて紹介された声のごく一部。令和の今もなお男女の賃金格差が大きく、女性が働きたくてもキャリアを積むことのできない環境に置かれている現状が伝えられた。女性の平均賃金は75%。35歳になったら正社員からパートになると決まっている会社もあったし、女性は出世ができないと決まっている事例もあった。地方の女性たちが地方を脱出し、東京で職に就こうとする理由がはっきりわかる映像だ。

「クローズアップ現代」では、長く地方のジェンダーギャップ解消にむけ活動している小安美和さんの解説と共に、現状が伝えられた。

そこでは「女性の意識が壁になっている」「キャリアアップしようとしている女性は多くない」という声も紹介された。男性が漁に出て女性が家事をすることで経済を支えてきた背景から、「女性はこういう働き方しかできないからこういう雇用しかできない」「同じように働きたくても女性は言ってはいけない」という固定観念もあるのだ。女性でもやる気のある人はやらせればいいというかもしれない。しかし「やる気を口にだすことすらできない」状況が浮かび上がった。

このままでは働きたい女性は地方からどんどん流出する。そして実際流出している。そんな危機感をもち、小安さんと共に対策に乗り出している自治体もある。

では、これは日本特有の問題ではない。ジェンダーギャップ指数16年1位のアイスランドも、50年前はそうだったのだ。

ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)とは、世界各国や地域の男女格差を「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野、14項目で数値化したもの。。格差が大きいほど順位は低くなる。2025年、日本は148カ国のうち116位で、G7(主要先進7カ国)の中では最下位という結果。さらに分野別に見ると、政治分野が125位、経済部門112位と際立っている。つまり「政治と経済の決断の場」に女性がいないということだ。

ジェンダー指数1位の国もそうだった

一方、16年連続で1位の座に君臨しているのがアイスランド。しかし、かつてのアイスランドも男女格差が色濃く残る国だった。1970年代まで、給与格差や職業制限があり、家事育児も女性任せ。「女の子は船頭にはなれないんだよ」と言われた女性もおり、北欧諸国においてはジェンダー平等の後発国と言われていたそうだ。では一体どのようにして、首位を獲得し、そして維持してきたのか。そのきっかけとなった伝説の一日の記録が、当事者の証言と共に描かれた映画が『女性の休日』だ。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見るアイスランドの女性9割が「休んだ」日

この映画は、男女平等を実現するという目標達成のために奮闘したアイスランド女性たちのドキュメンタリー作品。国中の女性たちが仕事や家事の一切を「休んだ」伝説の1日が実現するまでを、実際に立ち上がった活動家たちの証言や、アーカイブ映像を盛り込みながら制作されている。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見る

50年前のアイスランドでは、「ジェンダーギャップ指数1位」とはほど遠く、「女性は船頭や弁護士にはなれない」と言われ、家事育児といったケアワークが押し付けられていた。そんな日常に疲弊する祖母や母の姿を目の当たりにし、たくさんの「なぜ」を解決しようと立ち上がったのが「女性の休日」を先導した活動団体「レッドストッキング」だ。この映画では活動していた彼女たちが、実に楽しげに当時のエピソードを語る。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見る男女平等を歌って訴える

当日はインターネットが普及していなかった時代にもかかわらず、会場になったレイキャピク広場には人口10%以上の2万5000人が集結。そして全国各地20ヶ所以上で集会が開催され、実に国民の女性の9割が「休日」を選んだのだ。彼女たちは眉間に皺を寄せ、飛沫を飛ばして熱弁を振るったわけではない。自分たちの意思を軽やかに歌いながら、しなやかに男女平等の実現という明確な目標を訴えたのだ。活動家のみならず、普通の女性たちも参加したことで、アイスランド女性の9割が行動を起こした歴史的な一日が誕生した。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見る© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見る

これにより、アイスランドでは男女賃金格差を是正する法律が採決となったしかもこうした「休日の集会」は2025年までに6回開催されている。こうした女性たちの絶え間ない努力があるからこそ、1980年には世界初の民選女性大統領ヴィグディス・フィンボガドッティルが誕生し、1983年には「女性同盟」が議会へ参入、女性議員の急増を促すことができたのだ。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.イメージギャラリーで見る

映画の中で、活動家だった女性が私たちに語りかける。

最初は無視され、

次は笑い物にされ、

ケンカを売られ、

やがて勝つ、とーー。

楽しそうなこの一日を、地方の男女賃金格差のみならず、多くのジェンダーギャップが残る日本で、実現できないものなのだろうか。

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