Text by STDK
Photo:Brightness提供
都市型野外フェスティバル『Brightness Music & Art Festival 2025』が10月25日(土)、26日(日)に神奈川県川崎市・東扇島東公園にて開催される。
音楽とアート、そして都心近郊での開放的な自然体験を融合させた本フェスは、これまでダンスミュージック/レイヴカルチャーを礎にヒップホップシーンや多様なカルチャーとの融合による可能性をいち早く提示し続け、今回も世代を超えて心に刻まれるライブを見せる豪華アーティストたちが揃った。先日発表された3rdラインナップでは、ヒップホップシーンを代表する新旧世代を超えて支持されるライブアクト13組が追加。独自のスタイルを築いてきたラッパーたちが、広大な空間を舞台にパフォーマンスを展開することに。
今回はそのライブアクトの紹介と、主催者へのインタビューを通して改めて本フェスティバルの魅力に迫る。
なお、東扇島東公園はキャンプインも可能。川崎の工場夜景とサンライズを望みながら、音楽とアート、そしてヒップホップの熱気に包まれる特別な2日間を堪能してほしい。
バラエティに富んだ13組のライブアクトたち
まず紹介したいのは、名古屋を拠点に活動するCampanella。卓越したリリックセンスと独自のフロウで現行ヒップホップを象徴する存在へと成長し、クラブから大型フェスまでシーンを駆け抜ける彼が野外の広大な空間でどのようなストーリーのライブを魅せるのか、注目が集まる。
続いて登場するのは、ディープかつ実験的なサウンドで注目を集めるziproom。シーンに新しい風を吹き込むそのスタイルは観客を没入させる陶酔性を持ち、オープンエアーならではのスケール感にマッチすることだろう。
現世代のアイコンとして先頭を走り続けるゆるふわギャングの2人に、『さんぴんCAMP』など伝説的な時代からの生き証人・YOU THE ROCK★、プロデューサーでありDJのAkira Arasawaによるソロプロジェクト・ヘンタイカメラの4人から成るTHE HENTAI GANGが2022年春ぶりにラインナップ。破天荒かつ自由奔放な表現と爆発力溢れるステージングはフェスの空気を一変させるエネルギーを持つ。
さらには日本のヒップホップ黎明期から第一線で活動を続けるレジェンド・ラッパ我リヤも出演。圧倒的なマッシブ感で世代を超えたファンを魅了し続けてきた彼らの硬派なリリックがあなたの鼓膜に直接コンタクトする。
そして、長年にわたりリリシストとして揺るぎない地位を築いてきたLIBROが野外空間において叙情的で深みのある言葉と美しいビートで構築される世界観に浸る時間を提供してくれるだろう。
ジャンルを越境しながら独自の存在感を放つ釈迦坊主は2回目の登場。神秘的なサウンドとトランシーなビートに乗せる鮮烈なリリックで、聴く者を異世界へと誘うライブは今回も間違いなく見どころである。
また、世代を牽引するラップグループ・どんぐりずよりCHOMOがDJとして登場。縦横無尽なビートへのアプローチは観客を自然と巻き込み高揚感を生み出していく。
『Ultra Japan』や『FUJI ROCK FESTIVAL』でもオーディエンスンに強烈な印象を残したなかむらみなみは、ユーモア、そして力強さを兼ね備えたそのパフォーマンスで、ヒップホップシーンにおける新しい表現の可能性を提示している。
川崎を代表するアーティストの一つであるYAGI & Junior HSUSは地元で絶大な人気を集めるグループであり、東扇島東公園でフロアの熱量を一気に高めていってくれることだろう。ホームタウンで初となる野外でのライブに注目だ。
沖縄からの登場となるLequioは島の音楽カルチャーを牽引する大注目の弥栄クルーの中心的メンバー。現行テクノ/トランスなどのシーンと調和も著しい新世代のビートはほかでは味わえない特別なステージとなるだろう。
『Brightness』では常連でもあるスピリチュアルな世界観とヒップホップを融合させる愛染 eyezen。全国各地のあらゆるレイヴで場数を踏み、現行のどのラッパーよりもこのシーンでのライブをこなす心に響く言葉の力が野外空間をより深い体験へと変えてくれる。
こちらも新進気鋭のMK woop。往年のディープハウス的な解釈で鳴らされるシンセも象徴的な新曲“iridescent”も好調な彼のフレッシュなライブにも注目してほしい。
最後に紹介するのは2024年に結成された新進気鋭のIt’s US!!!!はトレンドに流されないカラフルな世界観を持ち、SUNNY ONLY 1を筆頭にitsKohki、Ryo Fukuro、Noah Cobreのメンバー全員が作詞作曲編曲を手がけるボーダーレスな創作スタイルで今後要注目のグループだ。
「ジャンル間での壁が壊れた自由な世界が生まれ始めている」──運営メンバーが語る、その背景
このように『Brightness』がレイヴカルチャーとヒップホップシーンの融合を推進するに至った理由を訊くべく、2013年に同フェスを立ち上げ、ブッキング/企画制作プロデューサー/DJ/アーティストとしても活動を続けるTAICHI KAWAHIRA氏にインタビューを行った。
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――レイヴカルチャーがバックボーンである『Brightness』がヒップホップシーンのアーティストをフックしようと思ったきっかけがあれば教えてください。
TAICHI KAWAHIRA:8年〜9年前くらいからですかね、DJ終わってから声かけてくれたりする子たちと話すと普段はヒップホップのパーティで遊んでるというような感じで、そっち系の子たちがすごい増え始めたんですよね。そんな子たちが毎回遊びに来てくれるようになってきて、そしてその子たちは本当によく遊ぶんですよ。レイヴァー的な人たちがもう帰っても昼過ぎてもその子たちはまだ遊んでてよく踊ってる。現場単位でのそういう交流を経て感じることがあったのと、『Brightness』としてあらゆるジャンルを内包して表現していきたいという想いからですね。やりたいことはもっと広くてここに留まらないんですけど。
――また、それはいつごろどんな理由で決意することになりましたか?
TAICHI KAWAHIRA:決意ってほどあるとき決めてやったわけでもなく、まぁノリですね(笑)。元からバンドだったりアートだったり、様々な表現を色々なシチュエーションにハメる形で表現をしてきましたが、初めてヒップホップ系のアーティストを呼んだのは8年前の当時開催していたお台場でのルーフトップパーティからです。今ではそういうパーティも増えましたけどそういう意味ではかなり早い方だったのかなと思います。
――先ほどやりたいことはもっと広いとの言葉がありましたが、それはどんな事ですか?
TAICHI KAWAHIRA:色々なんですけど、一番は単純にバンドをもっと呼びたくて、国内外問わずにブッキングしたいバンドが山ほどいます。この4.5年は様々な理由から制限はしているのですが、現在はそのタイミングを見計らっているところでそろそろ一気に解放できればなと考えてます。
――ヒップホップシーンのアーティストをフックしたことについて、これまでの『Brightness』ファンからはどのような反応がありましたか?
TAICHI KAWAHIRA:とてもポジティブで良い反応です。ヒップホップの子たちがレイヴカルチャーに目覚めていったり、表現者側でも野外だったりそういう現場にラッパーの出演が増え始めたり、音源もダンスミュージックをベースとしたトランシーなトラックにラップが乗ったり、テクノ/トランス/ヒップホップというジャンル間での壁が壊れた自由な世界が生まれ始めていってると思うので、これをさらにボーダーレスな形で広げていきたいなという想いがあります。
――また、ヒップホップシーンのアーティストをブッキングしたことにより、『Brightness』のファンとなった新規客がいらっしゃると思います。彼らから『Brightness』に届いたコメントや印象的な出来事などがあれば教えてください。
TAICHI KAWAHIRA:個人的に声かけてもらったりメールもらったりするなかで多い言葉としては、「『Brightness』で初めてテクノに触れて目覚めました!」とか、「こんな世界を教えてくれてありがとうございます!」とか。そういう気持ちをいただけると、大変ですがやってる意味もあるなと感じてます。
――『Brightness』のこれまでのブッキングラインナップを見ると非常に幅広い音楽性と寛容性を感じます。メンバーの方々含めなぜこのような幅広い音楽性を表現していくことになったのか理由やいきさつがあれば教えてください。
TAICHI KAWAHIRA:うちのチームはみんな良い意味でノリを大事にしてるメンバーが多いんですよね(笑)。イベントとして崇高な芸術を伝えるというよりも、それ以外の部分も大事にしてるというか。もちろん芸術性も大事にしていますが、そのバランスですね。バンドシーン出身でそこに精通していたり、ラッパー出身のメンバーがいたり、DJも多いですし、みんな音楽に対しての境界線はあまり引いてないです。
ジャンルの垣根を超え続けるBrightnessの挑戦は、音楽とアートの未来を切り開き、ボーダーレスな精神とエネルギーが新たな化学反応を生み出している。その姿勢は、これからのフェスの新しいスタンダードとなり、自由で開かれた表現空間に国内外の多彩なアーティストが集い、新しい体験を創造していくだろう。レイヴカルチャーとヒップホップが交わる最前線である今回の開催にも大いに期待したいところだ。
【イベント情報】
『Brightness Music & Art Festival 2025』
日時:2025年10月25日(土)〜26日(日)
会場:神奈川県川崎市・東扇島東公園
[Live Act]
Campanella
ziproom
ラッパ我リヤ
THE HENTAI GANG(ゆるふわギャング x YOU THE ROCK★ x ヘンタイカメラ)
LIBRO
釈迦坊主
CHOMO from どんぐりず – Dj Set
なかむらみなみ
YAGI & Junior HSUS
Lequio
愛染 eyezen
It’s US!!!!
MK woop
[Ground Area]
– International Dj Act –
Linear System
– Techno Live Act –
Doltz
– Dj Act –
DAIJIRO / DANI SAVANT & DANA NADA / EMIRI TSUKUI / ERIMIYA / 福富幸宏 / GS Projekt / Herbalistek / KEN ISHII / DJ KENSEI / Kojiro / MAYURI & Q’HEY / 7e / NOCO / OCCA / DJ QUIETSTORM / DJ SODEYAMA / SHELLY / TAICHI KAWAHIRA / TOMO HACHIGA / YUKIMASA
[Seaside Area – Dj Act -]
B / BeBe / CHOKO / DRUNKEN KONG / Karinga & Da Yama / 空心才楽団 / MEME / NYAO / Ree.K / RINN / RYOHEI / TENSEI / TOMOTH / TREKKIE TRAX CREW / YU-I
[Soccer Court Area – Dj Act -]
@raki / Allen Mock & comm / AYAKA & SWELY / CHIEKO HAKUTO / DO SHOCK BOOZE / EMILIO & RICKSHINMI / ER-404 feat.SHIHAL / HIBIKI / 化学繊維 & LiaRako / KOHEY / LAZZZY & KANKEEY / LØST / MIO / MUNEMASA / MUSCLE∞BROTHERS / P5YWHY & 鬼軍曹 from YOTAYOTA CREW / RYOOKY & PUSTER / savezearth / TEI TEI / YAMATO
[Live Art]
排水口太郎 / Kanako JP red / Kocha Wadda / Monkey Monk / Rana Saito / SHIHO THE ROCK★ / shinPo mai / SIGHTRIP / STONE63 / TERUYUKI KURIHARA / とく / VIX / YESCA / YUSEI SAGAWA
[Space Design | Visual | Performance | Gallery]
AGGUY / axiom / Bubble Art Onchi / DOTTV / fuk@kichi / Hammock 2000 / Hidden Layer / HOOAH ART EXPERIMENT / ITOAOI / 1/16 / Kanoya Project / LiQUiD / Makoto Saito / Michae“LUMI”Co. / MIYANO / Nekkopocco / SENCE OF WONDER / しろぎさび / 志場 SIVA / TH CLUB / Trival Assassin / yggpranks
[Sound System]
L-ACOUSTICS / Martin Audio
※オールナイト開催