筆者は1980年代、洋書店で働いていた。客から注文を受けるたびに憂鬱になった。国内に代理店がある出版社の本ならば取り寄せは簡単だが、そうでない場合は海外の出版社に注文する。「航空便なら数週間、船便なら数カ月かかることがあります」と客に伝えると、そんなに待てないと怒る客もいた。

 さらに、航空便の費用を伝えると、あぜんとして「注文はやめます」といわれることもあった。「まだ入らないのか」という問い合わせも多かった。しかも、さんざん待たされて品切れや絶版を伝える手紙が届くと、これをどう客に知らせようかと胃が痛くなった。その後、インターネットの普及やアマゾンの登場により、洋書の入手はずいぶんと楽になった。費用も下がった。それでも取り寄せには数週間かかることがある。

 印刷大手の大日本印刷(DNP)が今年8月、洋書のオンデマンド製造販売サービス「グローバルコネクト」を個人客に向けて提供開始した。洋書を海外から取り寄せるのではなく、注文に応じて1冊から印刷・製本するというものだ。



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