Netflixが9月12日、2021年に亡くなった占い師・細木数子の半生を描くドラマ『地獄に堕ちるわよ』を2026年より世界独占配信すると発表した。

戸田恵梨香、Netflix『地獄に堕ちるわよ』で細木数子役に 役所広司×宮藤官九郎タッグ作も

2025年9月に日本でのサービス開始から10周年を迎えるNetflixより、戸田恵梨香主演の『地獄に堕ちるわよ』、役所広司主演、…

 細木さんは17歳で水商売の世界に足を踏み入れ、銀座や赤坂でクラブを経営しながら六星占術を確立。著書は累計6500万部を超え、2000年代にはゴールデンタイムでレギュラー番組を2本抱え、とりわけ2004年には『ズバリ言うわよ!』(TBS系)が高視聴率を記録して社会現象を巻き起こすなど占い界の頂点に立った人物である。一方で、その過去についてはジャーナリストの溝口敦が『細木数子 魔女の履歴書』(講談社)を上梓するなど、週刊誌などでもさまざまな報道がなされたものだった。

 こうした実在の人物の波乱万丈な人生は、ドラマ化することで単なる伝記以上に視聴者の関心を引きつける題材となるが、近年Netflixオリジナル日本ドラマでは、同様の“実録ネタ”を扱った作品が成功を収めている。

『全裸監督』Netflixにて独占配信中

 たとえば2019年の『全裸監督』は、村西とおるという実在の人物を描き、AV業界の波瀾万丈の人生を通じて性や規制、商売、表現の自由といったセンシティブなテーマをエンターテインメントに昇華。主演の山田孝之がパンツ一丁になる振り切った演技や、描きにくいものをズバリ描く思い切りの良さが評価され、2021年には続編も配信されている。

 また、ゆりやんレトリィバァが主演した2014年の『極悪女王』は、女子プロレスラー・ダンプ松本の半生をベースに貧困や仲間との確執、プロレス業界の裏側などが描かれ、衣装や髪型、試合演出などを完全再現。ゆりやんが竹刀で相手をめった打ちする迫真演技も話題となった。

『極悪女王』予告編 – Netflix

 新たに発表された『地獄に堕ちるわよ』も単なる細木数子の成功譚にとどまらず、ダークヒーロー的要素を持たせることが予想される。

 この3作に共通するのは、まず主人公の強烈なキャラクター性と“影”を持つ点。善悪や道義の境界が曖昧で、弱さも抱える主人公が視聴者に人間としての興味や共感、葛藤を引き起こすことである。

 さらに時代背景や社会の変化を丹念に描くことで、なぜその人物が異端で話題になったのかを理解しやすくしており、『全裸監督』はバブル期の日本社会やビデオ文化の台頭、『極悪女王』は1980年代女子プロレスの黄金期、細木数子ドラマは昭和から平成へのメディア発展と占いブームというように、主人公の生き様が時代の空気を映す鏡となっている。日本のある世代だけが熱狂した題材を深く描くことで、当時を知らない世代の共感・話題性を確保した上で、海外にもアピールできる点も特徴で、実際に『全裸監督』はアジア全域でも人気を集め、型破りな伝記ドラマとしてブランド化された。

 さらにNetflixというプラットフォームならではの表現自由度も共通しており、性や暴力、業界の裏側、スキャンダルなど日常では描きにくい要素を存分に盛り込むことで視聴者に刺激を与え、単なる成功譚に終わらせず社会や人間への問いとして機能させている。

 細木を演技達者な戸田恵梨香が演じることも発表されているが、「ヒットの法則」を踏襲している今作も、上質なエンターテインメントとして国内外の注目を集めそうだ。

■配信情報
Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』
Netflixにて、2026年世界独占配信
出演:戸田恵梨香
監督:瀧本智行、大庭功睦
脚本:真中もなか
音楽:稲本響
撮影監督:河津太郎(JSC)
美術監督:原田満生
録音:高野泰雄
装飾:石上淳一
編集:髙橋信之、岡﨑正弥
スタイリスト:纐纈春樹
VFX スーパーバイザー:牧野由典
エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子(Netflix)
プロデューサー:坂野達哉、深津智男
ラインプロデューサー:原田耕治
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
企画・製作:Netflix

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