若きスプリングスティーンの魂の旅路を描く感動の音楽映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』本予告【2025年11月14日公開】

9月23日は、ロックの英雄、そしてアメリカの魂と称され、50年にわたって第一線を走り続けるブルース・スプリングスティーンの誕生日。2025年、76歳になった。そんな彼の若き日の葛藤を描く映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(11月14日公開)の本予告が公開された。

 スプリングスティーンは1949年米ニュージャージー州生まれ。1975年のアルバム『明日なき暴走』で一躍スターダムに。1984年の『Born In The U.S.A.』は全世界で3000万枚以上を売り上げ、音楽史に輝く名盤となった。社会性の高い歌詞と圧巻のライブパフォーマンスで“The Boss(ザ・ボス)”の異名を取り、アルバム総売上は世界で約1億4000万枚、グラミー賞20冠、アカデミー賞やゴールデングローブ賞も受賞。76歳を迎えた現在も世界ツアーを続け、3時間に及ぶステージは「Heaven(天国)」と称される。

 本作の監督は、『クレイジー・ハート』などで知られるスコット・クーパー。スプリングスティーンの人生全体ではなく、6枚目のアルバムとなる『ネブラスカ』を一人で録音しつつ、『Born In The U.S.A.』の構想を練り始めていた1981〜82年に焦点を当てた作品。監督は「静けさ、模索、そして感情の誠実さを映し出すことに意味がある」と語る。

 本予告映像は、巨大スタジアムを埋めつくした観客に向かって、ブルース・スプリングスティーンがギターを振りかざす場面で始まる。だがロックンロールの音は遮断され、森の中の一本道を歩きながら「人々が見つめるのは、理想を映した俺の姿」だと独白するスプリングスティーンの背中が映し出される。

 「その裏にあるのは虚しさだった」――マネージャーのジョン・ランダウとスプリングスティーンがニューアルバムについて話し合う。主演のジェレミー・アレン・ホワイトは、これまでの出演作では見せたことのない演技で、ロック界のカリスマであるスプリングスティーンを体現している。まさに衝撃の変貌だ。

 誰もいないメリーゴーランド場の映像に、アカデミー賞ノミネートの名優ジェレミー・ストロングが演じるジョン・ランダウの「彼は、成功や名声を置き去りにすることに罪悪感を抱いていた」という声が重ねられていく。

 本物だけがたどり着く究極の旅――ひっそりと静まった夜、車の中から彼が見つめているのは、今は誰も住んでいないニュージャージーの家。幼き日の姿がモノクロの画面に、「過去は俺を追いかけ、未来は逃げていく」というモノローグに、「アドレセンス」で、第77回エミー賞リミテッド・シリーズ部門主演男優賞に輝いたスティーヴン・グレアムが演じる父との日々が浮かび上がる。

 ロックの魂、その深淵へ。――レコード会社を訪れたジョン・ランダウに声をかけた重役は、「次のアルバムは必ず大成功する。それを逃がすわけにはいかない」と一気にまくし立てる。コンサートの熱狂がホワイトアウトし、夜の街を歩くランダウはスプリングスティーンに「初めてチャートのトップ10に入った。連中は流れに乗ることしか頭にない」と伝える。

 「本物を探す。この新しい曲は違う」――過去のトラウマと大ヒットを求められるプレッシャーを振り払うかのように、ニュージャージーの自宅にわずか4チャンネルの録音機材を用意したスプリングスティーンはレコーディングの準備を進めていく。ダイナーで顔を合わせたジョン・ランダウに「今の俺にはそれだけが意味を持つ。それだけが信じられるものだ」と、新アルバム『ネブラスカ』がどんな意味を持つかを伝えると、ランダウは「どんな代償を払っても、手に入れる」のだなと念を押す。こうしてふたりはロックの深淵へと踏み出していく。

 そして、『ネブラスカ』に収められた名曲「Atlantic City」が流れ始めると、過去と現在、そして未来を象徴するかのように橋が描写される。スプリングスティーンは自宅にこもって創作を続け、ランダウは「キャリアとしては常識外れに見える。だが、それが彼の狙いだ。彼には確かに感じているものがある。とても個人的なことだ」と、レコード会社の重役に誠実に向き合う。

 バーで酒を飲む父の大きな背中に恐る恐る手をかけた幼き日、そして突然姿を消した父に再会する成長した今。ふたつの場面が重なって、決して消し去ることのできない過去と、未来への重圧を抱えた33歳のスプリングスティーンの葛藤が浮き彫りになっていく。そしてション・ランダウの「私たちは信じている。彼の音楽は人々に希望を与える」という言葉が胸を締めつける。

 孤独のハイウェイを走るスプリングステイーン、いつも彼を見守るランダウの微笑みが切り取られた後、小さなライヴハウスのステージに立ったスプリングスティーンが「曲作りは答えを出す旅だ。誰かが人生に小さな意味をくれる」と目を輝かせる。観客の熱狂、恋人とのひととき、砂漠を疾走する車、いつも優しい母との抱擁、スタジオセッションなどの映像が連射された本予告は、「完璧じゃなくていい、心に響けばいい」とスプリングスティーンの切実な言葉で結ばれる。

 本作は、日本での公開に先駆け、10月27日に開幕する「第38回東京国際映画祭」〈ガラ・セレクション部門〉で上映される。

監督・脚本:スコット・クーパー(原作:ウォーレン・ゼインズ著「Deliver Me from Nowhere」)
主演:ジェレミー・アレン・ホワイト(ブルース・スプリングスティーン)
共演:ジェレミー・ストロング(ジョン・ランダウ)、ポール・ウォルター・ハウザー(マイク・バトラン)、スティーヴン・グレアム(父ダグ)、オデッサ・ヤング(フェイ)、ギャビー・ホフマン(母アデル)、マーク・マロン(チャック・プロトキン)、デヴィッド・クラムホルツ(アル・テラー)
プロデューサー:スコット・クーパー、エレン・ゴールドスミス=ヴァイン、エリック・ロビンソン、スコット・ステューバー
製作総指揮:トレイシー・ランドン、ジョン・ヴァイン、ウォーレン・ゼインズ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 20th Century Studios
公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/springsteen
#スプリングスティーン孤独のハイウェイ

It’s a hard thing realizing people aren’t who you want them to be. [Music] It feels different coming home. There’s a real emptiness. I think Bruce is afraid of what’s coming and he feels guilty leaving behind the world he knows. It’s like I’m always running away from something. Like the past is breathing down my neck. I don’t have to tell you. We got to hit it out of the park with the next record. Bruce Springsteen. It’s on a rocket ship. We don’t want to miss that window. The label once you have your first top 10, they’re just thinking about momentum. I’m trying to find some real songs. They’re different, but they’re the only thing making sense to me right now. The only thing I can still believe in. Then we’ll get it. Whatever it takes. Well, they blew up the chicken man in Philly last night. Now they blew up his house, too. This is a highly unorthodox career move. That’s the point. He’s channeling something deeply personal. But in this office, my office, we believe in Bruce Springsteen. Everything dies so fast. Maybe everything dies someday. Songwriting is a funny thing. It’s about searching for something. Something that’s going to give your life a little bit of meaning. This is where you’re meant to go. [Music] Don’t need to be perfect. I just want it to feel right. Maybe everything that someday comes back.

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