【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2025>04 Limited Sazabys「勝ち負けじゃないけど、ナメられたくない」
「久しぶりだな<山人>! 行けんの? 一緒に踊れる!? 04 Limited Sazabys始めます!」
GEN(B, Vo)が声を上げ、8年ぶりに<山人音楽祭>に帰ってきた04 Limited Sazabysは、疾走感あふれるメロディックパンクサウンドとともにせつないメロディーを閃かせる1曲目の「magnet」から、いや、正確に言えば、サウンドチェックに演奏した「swim」「message」から観客にサークルモッシュさせ、大きな熱狂を作っていった。それがライブハウスだけではなく、ホールもアリーナも揺らしながらかき混ぜるバンドのポテンシャルなのだろう。
序盤からいきなりそんな姿を見せつけられたのだから、「8年ぶりです。待たされたな。ホントにもう! その間、我々もキャリアを積んで、ひと回り強くなってきました」というGENの言葉にも説得力がある。
「knife」「Galapagos」のようなちょっと変化球的な曲も交えながら、アップテンポのメロディックパンクナンバーを繋げる、そのたたみかけるような勢いはいつも以上だ。2ビートを巧みに使ってアレンジしたJUDY AND MARYの「mottö」のカバーもそんなセットリストにしっかりとハマっている。ちょっとテンポを落として、屈指のメロディセンスを際立たせた「hello」では、観客が肩を組んでピースフルなサークルピットを作った。
「久しぶりにここに帰ってきて、改めて思いました。我々は日本で一番フェスに出ているバンドなんだけど、バンドマンがやっているフェスは力が入ります。G-FREAK FACTORYはみんなが平和になれるような音楽を届けている。その思いはまちがっていないと思う。分断が起きている世の中だけど、違いをぶつけあうのではなく、共通しあえる感性を大事にしたい」──GEN
そんな思いとともに前進しつづける決意を歌った「Keep going」は、メンバー全員でハーモニーを重ねるアンセミックなコーラスも聴きどころだった。
そして、最後はライブハウスを出自に持つバンドらしく、「monolith」と予定になかった「Remember」、ともに2ビートのメロディックハードコア・ナンバーを電光石火のごとくたたみかけ締めくくった。
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──すごい盛り上がりでした。8年ぶりに<山人音楽祭>のステージに立った感想から聞かせてください。
GEN(B, Vo):僕ら先月、今月とずっと夏フェスに出てきたんですけど、個人的には今日が一番力が入った感じして。いろいろなフェスがある中で、こういうバンドマン、それも先輩のバンドマンがやってるフェスに呼んでいただけるっていうのは、バンドマンとしてはやっぱりすごく力んじゃうんですけど、そういうところもよかったと思います。
KOUHEI(Dr):僕は力むって感じはなかったですけど、確かにバンドマン主催のフェスって、やっぱり気持ちが入るんで、肩の力を抜きながらも気持ちは飛ばせてたかなって思います。手応えはかなりありましたね。
RYU-TA(G, Cho):僕も気持ちはめっちゃアガってました。煽りも他のフェスの時よりもやってたと思うんですよ。かなりトバしてましたね。
HIROKAZ(G):あと、<山人音楽祭>ってお客さんが幅広い。僕らのライブも子どもはいるんですけど、もうちょっとちっちゃい。でも、<山人音楽祭>は小学生とか中学生とか、それぐらいのお子さんを持った先輩たちがたくさん来ている。僕らのライブではなかなかないことなので、そういう人たちに向けてやれたのはうれしかったです。
──ライブ中のMCでも「バンドマンがやってるフェスは力が入ります」とおっしゃっていましたけど。それはたとえ先輩でも負けたくないという気持ちの表れなんですか?
GEN:もちろんそれもあります。勝ち負けじゃないけど、ナメられたくないっていうのはあります。もちろん、お客さんに向けてやってるんだけど、袖で見ているバンドマンも含め、一緒に出ているバンドに向けてやってる部分もあると思います。ただ、イベンターがやってるフェスでは僕らも中堅、もしくは先輩扱いされるようになってきてるんですけど、やっぱり<山人音楽祭>だとまだ後輩なので、個人的には後輩でいられるのってうれしいし、やりやすいと言うか、挑むだけみたいな感じがあるんですよね。
──でも、後輩でいつづけながら<山人音楽祭>のトリ前は狙っていきたいんじゃないですか?
GEN:いえ、そういう気持ちは全然ないですよ。呼んでいただけるなら、どこでもいいです。みんなに会えるのが楽しいんで。混ぜてもらえれば、ステージも別に小さくてもいい。全然、大丈夫です。
RYU-TA:トリ前だから力が入るとか、一番目だから力が入らないとかないので。
──それはもちろん。
RYU-TA:G-FREAK FACTORYが大事にしているフェスに呼ばれるってことは、信頼されてるってことだと思うので、それに全力で応えるのが礼儀と言うか、(タイムテーブルの)どこに置かれても、次のバンドがやりづらくなるようなライブができたらいいなって思ってやってます。
KOUHEI:かっけえな、やられたなってプレッシャーを与えられたら、他のバンドも力が入るじゃないですか。俺らも食らいそうになる時がありますからね。でも、それができるのがバンドマン主催ならではと言うか、横の繋がりならではのバトンの渡し方だと思うので、そこはだいぶ意識してます。
──今日はBRAHMANとトリのG-FREAK FACTORYにプレッシャーを与えられたと思いますか?(笑)
GEN:どうですかねぇ。いつもだったら、ちょっとちょけて噛みついてたと思うんですけど、今日は割とリスペクトで終わっちゃったんで、打ち上げで噛みつきます(笑)。
──G-FREAK FACTORYとの関係性も聞かせてほしいんですけど、なれそめは?
GEN:<京都大作戦>か<BLAZE UP NAGASAKI>だと思うんですけど、僕はこのバンドを始める前から聴いてたし、音源も持ってたし、ライブにも行ってたし。その頃って、ほんとにバンドマンに推されてるバンドというか、バンドマンズ・バンドみたいな感じでしたけど、そこから10年、20年の活動の中でちゃんと普通の人にもわからせてきてると思うんですよ。<山人音楽祭>をやるっていうのもそうだと思うんですけど、それが個人的にはうれしいですね。みんなにG-FREAK FACTORYの音楽が届いているっていうのが。
──<山人音楽祭>では、楽屋にG-FREAK FACTORYのメンバーからの直筆のメッセージが置いてあるそうですね?
KOUHEI:今回もいただきました。
──どんなメッセージが?
GEN:間髪入れずに駆け抜けるライブという印象がありますみたいなことが書かれていたので、そこはけっこう意識しました。MCでも言ったんですけど、「肉弾戦では勝てないんで、すばしっこく戦っていきます。スピードを使っていきます」って。そこから競輪系の曲(「Cycle」)だったっていうのもあるんですけど、太さって言うよりも、鋭さみたいなところを、今日は意識してやってました。
──それにしても8年ぶりっていうのは待たせすぎじゃないですか?(笑)
GEN:ほんとですよね。たぶん<YON FES>に呼んでくれってことなんだって気がします(笑)。ただ、<YON FES>って枠が少ない上に基本、同世代中心でやってるから。でも、このあと、G-FREAK FACTORYのライブを見て、これは呼ばなきゃって思うんじゃないかなって気もします。
──<YON FES>をやる上で、<山人音楽祭>から受けた刺激って何かありますか?
GEN:フリースタイルのラップバトルも含め、ヒップホップとの親和性みたいなところは、刺激を受けたかもしれないです。ヒップホップの人がロックの現場を見てくれるって、やっぱりものすごく熱いと思うんですよ。僕はもちろんヒップホップ好きで、さっきもMCバトルを見てたんですけど、言葉選びももちろんおもしろいし、そのカルチャーもおもしろいけど、だからこそ僕はロックバンドのかっこよさを、あの人たちに見せたいって気持ちがすごくあるんですよ。
──今後の<山人音楽祭>に期待したいことはありますか?
GEN:やっぱり、『頭文字D』とのコラボじゃないですか(笑)。大好きなんですよ。走り屋をテーマにしたマンガなんですけど、群馬ってそういう走り屋の聖地みたいなのがけっこうあるんですよ。マンガの舞台になってる秋名山は、<山人音楽祭>のステージに使われている榛名山がモデルなんです。個人的には、そこでやってほしい。その時は絶対出たいと思います(笑)。
──フォーリミの今後の活動としては、現在やっている対バンスタイルの<Human Communication tour 2025>が振替公演を含め、12月まで続きます。
GEN:そうです。今回は、まだやったことがない若手をけっこう呼んでるんです。さっきKOUHEIが後のバンドにプレッシャーを与えられたらって言ってたように、僕らも若いバンドからケツを蹴っ飛ばされたくて呼んでる部分もあるし、若いバンドから勉強もしたいし。それに、そうやってどんどん新たなかっこいいバンドが出てくることがロックシーンを長生きさせることになると思うので、若いバンドから刺激をもらいながら、でもこの席を簡単には譲らないぞみたいな気持ちでやっていこうかなと思います。上も下も見ながらやっていきます。ちょうど中間なので。
取材・文◎山口智男
写真◎淵上裕太
ライブ写真◎HayachiN
■G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~>
9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
9月21日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
〒371-0035 群馬県前橋市岩神町1-2-1
open9:30 / start11:00 / 終演20:00※予定
▼9/20(土)出演者
Age Factory / ENTH / かりゆし58 / 氣志團 / KOTORI / G-FREAK FACTORY / SHANK / 上州弾語組合 / SKA FREAKS / 高木ブー / DJダイノジ(大谷) / 10-FEET / TOTALFAT / 花冷え。 / HAWAIIAN6 / The BONEZ / locofrank / ROTTENGRAFFTY(※五十音順)
“能登半島応援企画 MAKE A PROMISE TO NOTO (Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ)”
▼9/21(日)出演者
片平里菜 / G-FREAK FACTORY / J-REXXX BAND / JUN SKY WALKER(S) / 上州弾語組合 / 四星球 / 竹原ピストル / NakamuraEmi / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / Hump Back / BANYAROZ / 04 Limited Sazabys / FOMARE / BRAHMAN / HEY-SMITH / 山嵐 / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS(※五十音順)
『山人MCバトル×戦極MCバトル』※開催は9/21(日)
Armadillo / bendy / DOTAMA / FCザイロス / GOMESS / KOOPA / 溝上たんぼ / NAIKA MC / 歩歩 / risano / Sitissy luvit
DJ:R da Masta
司会:K.I.G
『上州弾語組合』
9/20(土) 清水 明夫 / KIE Anderson / garb / 16号。 / 横山 ナオ / 上原梅弦
9/21(日) 高平 悠 / 山口 貴大 / 茂木 拳 / 鹿山 音楽 / ジュンペイ / 藤井 トモカズ
▼チケット
・各1日券 9,500円(税込)
・2日券 18,000円(税込)
・駐車場付 1日券(9/20)※SOLD OUT
・駐車場付 1日券(9/21)※SOLD OUT
・駐車場付 2日券 ※SOLD OUT
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS