2025年7月、世界各地にラグジュアリーホテルを展開するフェアモントが、ついに日本に進出した。地上43階、都心の喧騒から遠く離れたホテルの最上層にひっそりと佇むのが、わずか14席のシークレット・リスニングバー「オフレコード(OFF RECORD)」だ。ふだんは表から見ることのできない、楽器やアンプなど音楽にまつわるコレクションが並ぶ飾り棚の一角に、その秘密の小部屋の扉を開く仕掛けが隠されている。スパイ映画さながらの演出に訪れた瞬間から心が躍る。

日が沈み、薄闇の中にまばゆい光を放つ東京タワーが浮かび上がる。

日が沈み、薄闇の中にまばゆい光を放つ東京タワーが浮かび上がる。

店内は黒を基調にしたミニマルな設えで、天井まで届く大きな窓には東京タワーが煌めき、柔らかな間接照明がハイファイサウンドと美酒を味わうための空間を演出する。棚には400枚以上のアナログレコードが並び、セレクターが音のストーリーを組み立てていく。ジャズ、ソウル、ヒップホップから、AORやクラシックロックまで、ジャンルを横断するコレクションは、さらに700枚を目指して拡充中だ。バーカウンターではバーテンダーが腕を振るい、ゲストの好みに合わせたカクテルや希少なスピリッツを提案してくれる。店名は”記録にとどめない”ことを意味するオフレコから。SNSなどでは共有することがむずかしい、五感を刺激する体験だからこそ、記憶に深く刻み込まれるのだ。

ショーケースにディスプレイされたフルアコースティックモデルのエレキギター。

ショーケースにディスプレイされたフルアコースティックモデルのエレキギター。

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