《明日はもっと、いい日になる(フジテレビ系)》 7月上旬、福原は炎天下の多摩動物公園駅(日野市)で行われたロケに参加。今作が月9初出演にして初主演作だ
ドラマ制作班の奮闘と7月人事
中居正広(53)の女性トラブルを発端に、未曽有の危機に直面したフジテレビ。
「スポンサーが離れた影響がキャスティングに表れています。大御所はほぼゼロ。旧ジャニーズも『嵐』や『King & Prince』らメインどころは他局に持っていかれている。『明日はもっと、いい日になる』主演の福原遥(26)はいい俳優だけど、看板枠の月9主演としてはいささか弱い」(芸能プロ幹部)
まさに″フジショック″の直撃を受けたのが月9だと、この幹部は続けた。
「当初、航空業界を舞台にした企画が進んでいたそうですが、例の一件で全面的な協力をするはずだった大手航空会社も手を引いてしまい、イチから企画を作り直したといいます。よくここまでの作品に仕上げましたよ……」
ウォッチャーの評判も悪くない。
「地味なドラマですが、オリジナル企画として非常に丁寧に作られていて好感が持てます。知っているようでよく知らなかった児童相談所の仕事を誠実に描いていますし、世の中で頻発している子どもの問題に大人たちが自分ごととして向き合う大切さを教えてくれます。炎上を恐れずに不法滞在者の母子のエピソードを取り上げた姿勢も買いたい」(大山氏)
「愛の、がっこう。」(フジ系)はネット配信が絶好調。テレビマン注目の作品だ。
「生徒に相手にされない女教師と家庭環境が原因で読み書きが苦手なホストが、個人授業を通じて愛を育むストーリーです。木村文乃(37)の体を張った演技もいいですが、なんといっても一生のハマリ役に出会ったラウール(22)が見どころでしょう」(大山氏)
キー局プロデューサーは、フジのドラマ制作班の奮闘の裏に「7月の人事が関係している」と指摘する。
「トレンディドラマで一世を風靡した大多亮・関西テレビ前社長の一派が一掃されつつあるんです。過去の栄光をタテに″昔の人″が居座り、同じことを繰り返しているのがフジの弱点でしたから」
民放の連ドラ初主演となる磯村勇斗(32)を「僕達はまだその星の校則を知らない」(フジ系)の主人公に抜擢できたのもシン・ドラマ班なればこそ。
「演技の振り幅に定評がある磯村がナイーヴすぎる弁護士役を好演。私立高のスクールロイヤーで学校にトラウマを持つ主人公の視点に若者は共感を覚え、″子どもや若者の気持ちがわからない″と悩む年長者には世代間ギャップを埋めるヒントを与えてくれる良作です」(ドラマウォッチャーの川田美尋氏)
コア視聴率に全振りと『嵐』バトル
テレ朝やフジとは対照的に、日テレは「コア視聴率に全振り」する戦略を維持。「放送局占拠」が文字通り、ケタ違いのお気に入り登録者数を記録した。考察系VTuberのyumelive氏は「今期のドラマで唯一、考察チャンネルが再生回数を稼げる作品」だと評価する。
「櫻井翔(43)主演の『占拠』シリーズの定番、犯人グループのメンバーが次々と仮面を外して正体を明らかにする演出は健在。飽きはあるのですが、回を重ねるごとに伏線が繋がっていく感覚がたまりません。今作では新たに過去と現在を同時に見せる時間のトリックが加わっているのも人気の秘訣でしょう」
「ちはやふる—めぐり—」(日テレ系)もコア視聴率2位と好発進。映画『ちはやふる』3部作の10年後を漫画原作者とともにオリジナルストーリーでドラマ化しており、映画を見ていなくても楽しめる。
「漫画原作ドラマで大問題を起こした日テレの反省と改革が感じられる作品です。當真あみ(18)ら若手の人気キャストを集められるのは事務所側が日テレの戦略を高評価しているから。齋藤潤(18)は映画『カラオケ行こ!』で世にでてきた俳優。超イケメンに成長して、さらにいい俳優になっている。坂元愛登(まなと)(16)は『不適切にもほどがある!』(TBS系)でブレイク。同世代の出演者が多いなか、さすがの存在感を見せている」(芸能プロ幹部)
日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS系)は世帯&コア視聴率1位発進と貫禄を見せたが、ウォッチャーたちは主演・松本潤(41)に心配の声を寄せる。
「天下のマツジュンが主人公なのに、お気に入り登録者数が90万台は物足りない。視聴率では大差をつけていますが、同じ『嵐』の櫻井の『放送局占拠』とどうしても比較してしまいます」(川田氏)
ネットでは「マツジュンがおじさんになった」「太った」という声が散見されたが、TBS関係者は前向きに捉えている。
「『役作りのために痩せろ』なんてとても言えない大物ですから、今作で演じるのが、恰幅が良く老けて見えてもOKな医師役だったことにプロデューサー一同、ホッとしていました。年齢に応じて自らのロールを変えていくのが俳優。彼の転換点となる作品になるかもしれません」
長期休暇の影響で在宅率が下がり、視聴率も伸び悩むことから、チャレンジングな作品やキャスティングが増えるのが夏ドラマの特徴だったが、「″フジショック″を受けて各局、その傾向を加速させている」と民放編成担当は言う。
「目先の視聴率に振り回されず、長い目で配信など含めて回収しようという姿勢になったのは希望が持てる。秋クールは変更なければフジ水10ドラマに菅田将暉(まさき)(32)が出演する予定。フジにもぼつぼつ、大物が戻ってくると思われます」
各局の思惑、戦略を隠し味に、夏ドラマを堪能してもらいたい。
《愛の、がっこう。(フジテレビ系)》夜の新宿歌舞伎町で行われたロケの一コマ。酔客やキャッチらに交じって、木村は不安げな表情を浮かべていた
《北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。(フジテレビ系)》 スタッフら総勢30名ほどの前で荒川河川敷を疾走する本田翼(33)。フジ系の連ドラ初主演とあって大ハッスル
《19 番目のカルテ(TBS系) 》横須賀で行われた撮影を終え、移動する小芝風花(28)。整形外科から総合診療科に転科する滝野みずきを演じる
『FRIDAY』2025年9月5日号より