最近、「ドローンショー」という文字列をよく見るようになった。技術が発展しているという理由はもちろんだが、今年は夏の夜空を彩るさまざまな試みがなされているからだ。
例えば静岡・安倍川花火大会で大塚製薬がオロナミンCの60周年を記念して実施した「元気ハツラツ!大空大合唱」や、YOASOBIが「YOASOBI HALL TOUR 2025 WANDARA」石川公演で行った終演後のファンに向けたドローンショーなど、枚挙に遑がない。
筆者もそれらの試みを知り、ドローンショー自体に興味が湧いていたころ、音楽×ドローンで新たなスタートアップが始動したことを知り、先日7月26日に竹芝で行われたAGEHARIDe(アゲハライド)社によるドローンを活用した革新的なナイトエンターテインメント「LIGHTDANCe(ライトダンス)」の実証実験の映像を見た。ドローンショーの規模として考えたときに、300〜500機というのは日本では中規模の部類だが、斬新だったのは代表取締役のKenn Kato氏がEXILEやAAA、2PM、FTISLANDといった人気アーティストの歌詞を手掛けてきた作詞家であること、ショー自体も彼の書いた歌詞の世界観を表現するものである、ということだ。
実証実験ではAAAの「Charge & Go!」に沿ったパフォーマンスが行われており、その内容を見た筆者が興味を持ってコンタクトを取ったところ、Kenn Kato氏本人が「LIGHTDANCe(ライトダンス)」の編成やコンセプトについて教えてくれた。
本人いわく、「少数機体の方が機動性に優れ、ドローンの動きを最大化する表現を多用することができるためメッセージやストーリーを伝えやすい。あえて機体数の多さにこだわらず300〜500機でどこまで表現ができるかを突き詰めてみたい」という。さらに同社から次回のショーの裏側を取材する許可を得ることができたため、初めて大量のドローンが飛び立つ瞬間を真下で見ることにした。
8月25日、舞台は由緒正しき東京・増上寺。港区という場所柄なのか、テクノロジーに寛容な同スポットに設置されたのは300機のドローン。この日は日本最大の暗号資産・Web3メディアCoinPostが企画運営する、アジア最大規模のグローバルカンファレンス『WebX2025』にて「LIGHTDANCe(ライトダンス)」の上演を行うという。

慎重なテストが行われ、リハーサルを終えて向きや位置など最終調整をしたあと、いよいよ本番へ。


あやとりや折り紙などの日本文化をあらわす光の演出が、続々と東京の夜空を彩る。『WebX2025』の会場であるザ・プリンスパークタワー東京の33階と特別協力を行った東京タワーの展望階では、この日のLIGHTDANCe(ライトダンス)のモチーフとなった和太鼓集団・梵天(BONTEN)の楽曲「D.N.A」「Hiten」の音が流され、観客たちは音楽に合わせて夜宙を彩る“光のダンス”を存分に楽しんでいる様子を見ることができた。ちなみにこの曲はKenn Kato氏が梵天(BONTEN)のプレイヤーとして実際にギターで演奏していた楽曲でもある。
また、CoinPostをはじめとしたスポンサーのロゴもドローンで描かれていた。これはクリエイティヴの中に広告が入り込む表現の形として、新たなモデルとなりうるかもしれない。Kenn Kato氏も「これからもLIGHTDANCe(ライトダンス)の持つメッセージ性やストーリー性に共感してくださるスポンサーの登場を待ち望んでいる」と新しい広告形態を模索する企業に熱いラブコールを送る。

Kenn Kato氏によると「日本のドローンショー業界は大手2社が市場を寡占しており、スタートアップが成長しづらい状況となっている」という。一方で同氏は「弊社を含めた第三勢力が力をつけることで、並行にチャンスが与えられる環境やクリエイティヴの品質向上を実現させ、ドローンショー市場を一気に活性化したい」とも述べていた。筆者もエンタメ×テクノロジーを専門にしている媒体の編集者として、こうしたエンタメとテクノロジーの親和性に着目した企業の取り組みを応援したい。
AGEHARIDe(アゲハライド)株式会社は、一般社団法人竹芝エリアマネジメントとのコラボレーションにより、ドローンを活用した革…