2025年8月26日

PCから投稿

鑑賞方法:試写会

実話ベースのこの政治サスペンスを面白く観た。裁判と聞くとやや硬いイメージが伴うが、本作は決して膨大なセリフ量の密室劇の域には収まらず、被告の一人である軍人とその弁護人という特殊な立場と関係性を巧く生かしながら、韓国における1979年という極めて重要な時期の空気感を浮き彫りにする。本作ひとつで当時起こったあらゆる経緯を呑み込むのは困難だが、『KCIA 南山の部長』や『ソウルの春』と併せて味わうことで、点と線の理解はより深まるはず。いや、理解などという冷静なものではなく、観ながらまずこみ上げてくるのは、一人の男によって自由の灯火が吹き消されることへのやりきれない怒りだ。前述の2作に比べると規模は小さく、語り口もやや実直に思えるが、その分、物語の情熱と躍動感を担うジュンソク、揺るがぬ信念を秘めたソンギュン、すべての背後で不気味にうごめくジェミンという3者各々の存在感が強く見応えを残す一作である。

牛津厚信

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