筆者のお気に入りのゲームサウンドトラックを紹介していく「ゲームサントラ紀行」。第3回は、「モンスターハンターオーケストラコンサート~狩猟音楽祭2025~」を取り上げます。
「ゲームサントラ紀行」第3回目。本稿では、筆者のお気に入りのゲームサウンドについてお話を……お、お話を……(前回の更新が約1年半前)……大変申し訳ございません。これからはもっとマメに更新するように頑張ります。
気を取り直して、第3回は厳密には「サウンドトラック」ではないのですが、「モンスターハンターオーケストラコンサート~狩猟音楽祭2025~」(以下、「狩猟音楽祭2025」)が感極まるほど良かった話をさせていただきます。
ちなみに筆者が行ったのは、2025年8月21日の札幌公演です。これまでにも「狩猟音楽祭」には数えきれないくらい行っている(主に東京公演)、歴戦のハンターです。
なお本稿には「狩猟音楽祭2025」(2025年8月21日の札幌公演がファイナル)のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
前半は色々感動したけれど「ジンオウガ」がやっぱり最高に最高でした
無難に無難でごめんなさいな選曲ですが、前半は「閃烈なる蒼光/ジンオウガ」がやはり本当に素晴らしかったです。
本公演ではギターに宮﨑大介さん、和楽器ユニットのHIDE×HIDEさんをお迎えしてのジンオウガでしたが、オーケストラ、エレキギター、尺八、三味線と様々な音の粒が、パァンと弾けるように合わさって、迫力がすごかったです。
オーケストラにとっては異物でしかないエレキギターと和楽器があんなに違和感なく混ざり合うのは、原曲の素晴らしさですよね。牧野忠義さん、本当に名曲をありがとうございます。
ちなみに私は今回一緒に「モンスターハンターワイルズ(以下、モンハンワイルズ)」をプレイしている娘(23歳)とふたりで行ったのですが、初「狩猟音楽祭」だった娘は前半が終わったあと、ずっと「ジンオウガ……最高すぎた……ジンオウガ……」とつぶやくマシンのようになってしまいました。それほどまでに「閃烈なる蒼光/ジンオウガ」の激しくも眩い演奏に魅了されてしまったのです。
「黄泉を統べる死を纏う者/ヴァルハザク」から「古龍を脅かす獣牙/ネルギガンテ」、そして「星に駆られて」の「モンスターハンター:ワールド(以下、モンハンワールド)」3曲連続の流れも最高でした。「モンハンワールド」も何百時間と遊んだだけに、もう音楽が染みついていますね。
特に「ネルギガンテ」の威圧感たっぷりなイントロから激しく上がってくる管楽器の迫力に圧倒されつつ、重低音好きとしてはティンパニの活躍も見逃せないところでした。古龍の中の古龍、という位置づけだったネルギガンテの迫力を真っ直ぐに感じる演奏で、圧巻されました。
戦闘曲2曲で熱く滾ったあとは「星に駆られて」の美しく綺麗なメロディに癒されましたね。心をそっと落ち着けて終わった前半でした。
後半からは「ワイルズ」楽曲だらけ!
後半からは今回「狩猟音楽祭2025」に来ようと思った一番のきっかけである「モンハンワイルズ」から「大地を貫く蒼き雷/レ・ダウ」や、「霜烈なる氷塞の主/ジン・ダハド」、「白光に響く生命の叫び~解き放たれし白き鎖刃/アルシュベルド」など、「モンハンワイルズ」の中でも名曲中の名曲がセットリストの中に組み込まれておりまして!
特に後半の幕開けとなった「レ・ダウ」からはシンセサイザーがオーケストラに加わりまして、レ・ダウの纏った電気を電子楽器で表すというのが大変面白い試みだったと思います。
「ジン・ダハド」はシンセサイザーがパイプオルガンのような音を出してジン・ダハドの荘厳感を出していましたし、「アルシュベルド」は思い返せば通常種ばかりやっていて護竜アルシュベルドのほうの音楽をあまりちゃんと聞いていなかったので、改めて護竜アルシュベルドのほうの曲もメドレー形式で聞けたのがとても良かったです。あと「アルシュベルド」でもシンセサイザーが異物を上手く表現していましたね。
ところで曲とは全然関係ないのですが、スクリーンにジン・ダハドの大技のシーンが映っていたシーン、だれひとり氷山の影に隠れておらず「これ絶対三乙してるじゃん……」と思いました。同じことを思った方がいたら手を挙げてください。
この3曲のために「狩猟音楽祭2025」へ来たと言っても過言ではなかったのですが、もうひとつ大きく取り上げたいのは、現在「モンハンワイルズ」にも追加されているラギアクルスの曲「海と陸の共震/ラギアクルス」です。
私にとっては、「モンハンワイルズ」の曲というよりは「モンハン3」の時に魂に刻み込まれた曲、という感じなのですが、生の「ラギアクルス」のかっこいいこと、かっこいいこと。嬉しかったのは「モンハンワイルズ」版の「ラギアクルス」ではなく、原曲の「ラギアクルス」をベースに演奏していただいたことです。
全体的に力強い印象の「ラギアクルス」の楽曲ですが、もちろん抑えるところは抑える、そして弾けるところで弾けるのですが、生オーケストラでのこの「弾けたァッ!」という時の音圧が最高すぎて、震えました。
アンコールで甲田雅人さん楽曲が復活!
こうして最後の一曲「美しき世界の理」までを終えたのですが、私はそこでぽつんと思ったのです。もう「モンハン」楽曲の産みの親である甲田雅人さんの楽曲は、一曲も演奏されなくなってしまうのだろうか、と。
時代が変われば曲も変わるというのは当たり前ですが、甲田さんの「モンハン」楽曲で育ってきた身としてはちょっと寂しい……。
……と思いながらアンコールの拍手をしていたところ、なんとアンコールの1曲目でスクリーンに「咆哮/リオレウス」の文字が! 「わぁ!」と思わず隣の席の娘と歓声をあげてしまいました。しかもしかも、初期の無印の「モンハン」ベースのアレンジです! もう心の中で「やったー!」と叫びまくりましたし、涙もにじみました。やっぱり「モンハン」と言えば甲田さん楽曲ですよね!
「そしてこのあとに「英雄の証」がきて、甲田さんの楽曲でワンツーフィニッシュかしら!?」と思っていたら、なんとアンコール2曲目は「廻りの唄」。
なるほどなるほど、ここはやはり「モンハンワイルズ」で〆るのね。でも「モンハンワイルズ」からついに「英雄の証」が消えたように、「狩猟音楽祭」からも「英雄の証」が消えてしまうのかしら……ほろり、と一抹の寂しさを覚えていたところ、まさかのダブルアンコール!
スクリーンに「英雄の証」の文字が映し出された途端、会場からは大きな拍手があがり、そして半ば諦めきっていた私は涙ぼろぼろでした。
ありがとう、ありがとう、「英雄の証」。誰がなんと言おうと「モンハン」と「狩猟音楽祭」のラストには「英雄の証」こそが相応しい。
鳴りやまない拍手と、「ブラボー」の声。東京でもたくさんのゲーム音楽コンサートに通っていた筆者ですが、こんなにたくさんのブラボーを聞いたことがないかもしれないと思ったくらい会場内は「ブラボー」で埋め尽くされました。
札幌のファンってこんなにも熱かったんだ……! 故郷でこんなにも素晴らしいブラボーの嵐を聞けて、とても嬉しかったです。そうですよね、雪に負けない熱い熱い魂を持っているのが道産子ですものね。
最後になりましたが、実は今回ほとんどスクリーンの映像を見ていませんでした。視線は、大好きな指揮者の栗田博文さんに釘付けだったもので……。
栗田さんの指揮に魅せられてからもう何十年経ったかもわからないのですが、今回も様々なダイナミックな指揮を楽しませてもらいました。
札響の皆さん、栗田さん、その他登壇者の皆さん、本当にありがとうございました。
「来年もまたお会いしましょう」の言葉を信じて、札幌で待っています! 最後の最後まで鳥肌が立ちっぱなし、涙腺崩壊しっぱなしの「狩猟音楽祭2025」でした。
あとは、「獄炎の覇王/アカムトルム」と「空に浮く山岳/ヤマツカミ」あたりの演奏を心待ちにしています(笑顔)。
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