2025年8月22日
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鑑賞方法:映画館
先行レビューにジョン・ウイックシリーズを一つも観ていなくても楽しめる、というのがあったがとっても残念な話である。おそらくそれだと10分の1も楽しめていない。これから本作を観る方はまず既存の4作品にぜひ目を通すことをお勧めする。すべて配信で観ることができるはず。
「コンセクエンス」のレビューに書いた。4作目でシリーズが一応の決着をみているため、今後は若き日のジョン・ウイックを描くスピンオフ作品がつくられるのではないかと。それはある程度、的中していて、本作のイヴはジョンの若き日の分身である。
二人とも暗殺教団の出身であり、教団内のいざこざで孤児となった。そして二人ともルスカ・ロマで育てられ戦闘者としての教育を受けた。異なるのはジョンはベルリンのルスカ・ロマにいたのに対し、イヴはニューヨークだったこと。それはニューヨークのルスカ・ロマの首領たる「ディレクター」の表の顔が劇場経営者であるから。イヴは戦闘者と同時にバレリーナとしても育てられるのである。
二人はシリーズ3作目「パラベラム」で一度、すれ違っている。懸賞をかけられ世界中の暗殺者に追われたジョンが逃げ込むのがニューヨークのタラコフスキ劇場でここでジョンはタトゥーの入ったバレリーナたちをチラリとみる。この中の一人がイヴだったという設定。良くできているよね。
ちなみにジョンの背中にはラテン語のタトゥーが入っているがイヴの背中にも文字と天使像が。文字は「tene bris」だけ読み取ったけどこれは暗闇と言う意味になる。タトゥーはルスカ・ロマの一員である印であるらしい。
ジョンもイヴも、復讐のために、システムを逸脱して、そのために懸賞をかけられることとなる。つまりイヴはジョンの再生産というか同じ道を歩いていることになる。だからジョンがイヴに対して共感を持つのは当然なのである。
ところで数行前にシステムって書いたけど、これはジョン・ウイック世界の面目躍如たるところで、裏社会の構成要素である「首席連合」「コンチネンタルホテル」「ルスカ・ロス」等が共存共栄のために作り上げた約束事の体系ということになる。
ここがジョン・ウイックシリーズの最も楽しいところで壮大な虚構システムがきちんと組み上がって語られるところを目にする楽しみである。
だから「バレリーナ」だけなんて言わないで、他の作品も観ていただいてこの世界観を一緒に楽しみましょうよ。
詳細は遷移先をご確認ください。
バレリーナ The World of John Wick