8月13日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『国宝 上 青春篇』が獲得した。第2位は『国宝 下 花道篇』、第3位は『文庫版 近畿地方のある場所について』となった。

 今週も先週に引き続き、吉田修一さんの『国宝』上下巻が1位と2位にランクイン。吉沢亮さん、横浜流星さんらが出演する映画版は興行収入95億円を超え、近日中に100億円を突破する可能性が高まっている。原作本も単行本、電子版含めた累計発行部数は130万部を突破している。3位も先週と同じく、こちらも実写映画版がヒット中の『近畿地方のある場所について』の文庫版。

『国宝』は映画版が社会現象ともいえるヒットとなっているが、原作を朗読したオーディオブック版も人気。ネット書店Amazonが作成した、『国宝』オーディブル版は歌舞伎俳優・尾上菊五郎さん(製作時は襲名前で尾上菊之助)がナレーターを務めている。本職が読み上げているだけに歌舞伎のセリフシーンなどはまさに歌舞伎そのもの。菊五郎さんが演じたことのない演目のセリフも聴けると、歌舞伎ファンからも喜ばれている。

 小説家の原田ひ香さんは自身のXでオーディブル版について《尾上菊之助さんが読んでくれてるおかげで、小説とも映画とも違う、第3のエンタメになっているなあ、と。歌舞伎の台詞はもちろん、浄瑠璃や素の女形の言葉など、目の前に現れるように思える。とても素晴らしく楽し》と物語の新たな楽しみ方を絶賛している。

 4位以下で注目は6位にランクインした『イクサガミ 神』。直木賞作家・今村翔吾さんが描くサムライ×デスゲーム小説。腕に覚えのある292人の猛者たちが、莫大な賞金を目当てに、与えられた木札を奪い合いながら江戸を目指すエンタメ時代小説の最高峰。これまで『イクサガミ 天』『地』『人』と刊行されており、『神』が最終巻となる。シリーズ累計発行部数は50万部を突破しており、2025年11月にはNetflixで実写化も決定している。実写版の主役は岡田准一さん。岡田さんはプロデューサー、アクションプランナーも兼任。岡田さんは今村さん、監督の藤井道人さんとの実写化記念鼎談で《僕の身体が無事だったらとんでもない作品になる》と作品にかける意気込みを語っている。

1位『国宝 上 青春篇』吉田修一[著](朝日新聞出版)

俺たちは踊れる。だからもっと美しい世界に立たせてくれ!極道と梨園。生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、芸の道に青春を捧げていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。(朝日新聞出版ウェブサイトより抜粋)

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