パク・チャヌク監督の話題作『No Other Choice(英題)』が、今年の釜山国際映画祭の幕開けを飾る。 


 釜山国際映画祭は4日、第30回映画祭の開幕作としてパク・チャヌク監督の新作『No Other Choice』を選定したと発表した。監督にとって『別れる決心』(2022)以来3年ぶりとなる新作で、8月27日(現地時間)に開幕する第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、金獅子賞を競う。釜山国際映画祭では、来月17日にアジアプレミア上映される。 


 『No Other Choice』は、満ち足りた生活を送っていた会社員のマンスが突然解雇され、妻と二人の子ども、そして苦労して買ったや家を守るため、再就職をめぐるライバルたちを押しのけていく姿を描いたスリラー映画である。アメリカの作家ドナルド・E・ウェストレイクの小説『斧』(1997)が原作だ。 


 主役のマンス役は、今年のBIFF開幕式で単独司会を務めるイ・ビョンホン。妻ミリ役のソン・イェジンと初めて夫婦役を演じる。パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォンら、実力派俳優が顔を揃え、作品の完成度を高めた。 


 『No Other Choice』を開幕作に選んだ理由について、釜山国際映画祭は「開幕式に訪れる約5,000人の観客がもっとも観たいと思う作品という問いの答えが本作。韓国映画界に最も鮮やかな活気を吹き込む作品に焦点を当てた結果でもある」と自信を示し、「現在の韓国映画に熱い敬意と応援のメッセージを送り、映画祭の始まりを告げたい」と明かした。 


 チョン・ハンソク釜山国際映画祭執行委員長も、「パク・チャヌク監督がもっとも作りたかった物語を、映画祭初日に多くの人たちと観ることができると思うと、胸が高まる。開幕作への関心が、韓国映画全体への愛情につながることを願う」と語った。 




第30回釜山国際映画祭開幕作に選ばれた『No Other Choice』ポスター(釜山日報/CJ ENM)

 一方、今年からコンペ部門を新設したBIFFは、例年開幕作とともに発表してきた閉幕作を事前に明かさなかった。これは、コンペ部門のグランプリ受賞作を閉幕作として上映する方針によるものだ。9月26日に行われる閉幕式で各部門の授賞式を行った後、グランプリ受賞作が閉幕作として上映される予定だ。釜山国際映画祭関係者は「作品が競い合う映画祭としてのアイデンティティと方向性を明確にし、受賞作の意義を観客と共有する特別な場を設けるため」と説明した。なお、今年の開幕式と閉幕式の演出は、『破果(原題)』『Herstory(英題)』『僕の妻のすべて』『少女たちの遺言』などを手がけたミン・ギュドン監督が務める。 


 第30回釜山国際映画祭は、9月17日から26日まで、釜山・海雲台区の映画の殿堂一帯や中区南浦洞などで開催される。 

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