連続テレビ小説「あんぱん」でいせたくや役を演じる大森元貴(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は4日、第91回が放送され、「Mrs. GREEN APPLE」の大森元貴(28)が初登場。今作がドラマ初出演となる。「アンパンマン」生みの親・やなせたかしさんとその妻・暢さんを描いた物語で演じるのは、「手のひらを太陽に」など誰もが知る名曲を数々生み出した作曲家・いずみたくさんがモデルのいせたくや。大森に、朝ドラ出演オファーを受けた時の心境や取り組んだ役作りについて聞いた。(那須 日向子)
ドラマ初出演が朝ドラ。大森は大抜てきに「凄く光栄」と語る。オファーのきっかけは制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)が昨年行われた「Mrs. GREEN APPLE」のミュージカル調の“音楽劇”を取り入れたライブツアー「The White Lounge」をたまたま見たことだった。大森のたたずまいに「鳥肌が立ち」、その晩は興奮で寝られなかったほどの衝撃を受ける。
倉崎氏から「表現の天才」と称された大森は「丁寧に熱いお声がけを頂いて、朝ドラなんて自分に務まるのだろうかというのは不安もありましたが、素直に“あ、出たい”とワクワクしました」と熱烈オファーを快諾。
初登場シーンは18歳の学ラン姿。フレッシュなたくやの登場は、悲しくも重要な戦争パートの後に差し込んだ希望とも言える。「戦争パートでは北村匠海君も凄く痩せていたので、次の世代として新しい光に見えるといいなと思いました」と体重を「3~5キロ」増量した。
さらに襟足をばっさりカット。金髪から黒髪に染め直した。「ためらいは全くなかったです。たくやに合わせたビジュアルの変化を視聴者の方に楽しんでもらえればと思います。“朝ドラで黒髪になって襟足を切るから、この前にちょっと染めて遊んでみようかな”といったように楽しんで準備しました」
演じる役のモデルとなったいずみたく氏はCM音楽や映画・テレビ・ラジオの劇伴音楽を生涯で1万5000曲以上を作曲。やなせさん作詞「手のひらを太陽に」をはじめ「いい湯だな」、テレビ朝日系「徹子の部屋」テーマ曲、「明治 チョコレート」CM曲まで手掛けた。劇中では、ミュージカル「見上げてごらん夜の星を」の音楽を担当し、柳井嵩(北村匠海)と「手のひらを太陽に」の作曲を通して関わっていく。
いずみさんと大森、時代は違えど希代のヒットメーカーだ。「おこがましいですが」と前置きしつつも、著書を読み漁り研究を重ねる中で通ずる部分があったという。「日常に当たり前に存在する“大衆エンターテイメント”をMrs. GREEN APPLEとしては大事にしています。いずみさんの“音楽で人を明るくしたい”という思いは共通していると思います」
劇中ではピアノ演奏、歌唱の場面も出てくる。中でも学ランのシーンとピアノ演奏シーンは「あんぱん」撮影初日。「ドキドキだった」と振り返る。ピアノで曲を作ることもあるというが独学だったため、1週間みっちり特訓。「レコーディングからCM撮影までどんな時でも楽屋にピアノを用意してもらって、20秒でも時間があったらピアノに触って詰め込んでいきました。ピアノ指導の先生の動画を見たり耳コピしたりしました」。さらにメンバーでキーボードの藤澤涼架にも協力してもらった。「僕は楽譜が読めないので“これどうやって弾くの?”と聞いたら“これ1週間じゃ無理だよ”って言われました」と笑う。
歌唱シーンでは、Mrs. GREEN APPLEの時とは違い低いキーで歌うなど、歌手としてではなく、あくまで一人の作曲家であることを意識。「自分が歌うことが目立つと作品の邪魔になるなと思い、繊細に描きたいと監督や匠海君とも話しました」
ピュアな青年・いせたくやの登場で新たな風が吹いた「あんぱん」。役に真摯に向き合う俳優・大森元貴に注目だ。
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