狂気的な品質でぶち抜く“尖りに尖った超注目作”つい
に公開!!とんでもない執念で完成→海外で大絶賛、見逃
すのは映画人生の損失――理屈は抜きに味わってくれ!!

繰り返します。
なんだこのぶっっっっっっっっっとんだ映画は!?!?
このビジュアルと作品タイトルから、一体どんな映画体験を想像するだろうか。ほっこり系? ファンタジー? カラフルで優しい感覚?
いいや、どれも違う――。
8月15日公開の「ChaO」は、あなたの予測をすべてぶっ壊してくる。尖りに尖った体験が脳髄に直撃し、既存の映画的常識がガラガラと崩壊していく、そんな力に満ちているのだ。
10万枚超の作画、始動・制作に9年。すべては「観たことのない作品」を作るため。そのクオリティに世界が熱狂し、世界的映画祭で栄冠に輝いた。
本記事では「ChaO」に注ぎこまれた狂気と情熱、そして鑑賞して得られる感動にいたるまで、徹底的に魅力をお届けする。押しつけたくはないが、本作をスルーすることは、映画ファンとして損失でしかない。
【予告編】笑って、キュンして、泣ける――人間×人魚姫のミラクルギャグロマンス、着水!
【なんだこの映画!?】クオリティ、評価、衝撃体験…
世界が称賛「時かけ」「この世界」に続く超高評価作!
まず、可能な限りわかりやすく魅力を紹介していこう!
●【なんだこのクオリティ!?】
第一印象からのギャップエグすぎ!! 絶え間なく動く、尋常じゃなく動く!そしてこのキャラクターたちは…なに!? 全瞬間が尖りすぎで異常な中毒性、総作画枚数10万枚超、始動・完成に9年費やした怪物的注目作!
予告を観たらわかる、かわいらしい第一印象からのギャップがエグすぎる!!!!!!
画面のあらゆるところが動き、個性的すぎるキャラクターが全瞬間で躍動しまくる! 引かれた線のすべてが「そんな線、ありなの!?」と驚くばかり、背景美術も息をのむほどの密度と生命力!!
そして、ステファンとチャオの恋模様は、観客が消し炭になりそうなほど尊い! のべつ幕なしにぶち込まれるギャグの手数の多さ! 急にくる壮大な伏線回収! さらには涙腺を崩壊させる感動もあって……!
それらの核融合反応によって異常な中毒性! 総作画枚数10万枚超、始動から完成までに9年を費やした(本記事中盤で詳述)ゆえに尋常ならざるオーラが発生した、“怪物的注目作”――。
●【なんだこの超高評価!?】
海外評価、爆発・爆裂! あの“超重要映画祭”で準グランプリ獲得…世界中で話題沸騰中!
最も歴史の長い映画祭のひとつであるアヌシー国際アニメーション映画祭で、本作は準グランプリとなる審査員賞を受賞!
同映画祭では、審査員賞はこれまでに「時をかける少女」など傑作が受賞しており、「この世界の片隅に」以来、日本作品として8年ぶりの受賞を果たした。
アヌシー国際映画祭で審査員賞を受賞し、喜びを爆発させた青木康浩監督
クロージングパーティで急遽行われたサイン会にはファンが殺到した。
同映画祭では「日本アニメに新たな風格をもたらした」との激賞コメントも。さらには北米最大のジャンル映画祭である“ファンタジア国際映画祭”にも出品されるなど、世界中で話題・超高評価を得ているのだ。
●【なんだこの衝撃!?】
制作は「鉄コン筋クリート」などの独創的クリエイティブ集団“STUDIO4℃”! この体験、この感覚…見逃すのはマジでもったいないですよ…!
クオリティと評価はわかった。では、誰が生みだした作品なのか!?
制作を担ったのは「鉄コン筋クリート」など、独創的かつ狂気的クオリティの作品づくりで知られるSTUDIO4℃!
そして監督は、本作が初長編にして強烈な個性をみせた異才・青木康浩。キャラクターデザイン&総作画監督には「天元突破グレンラガン」の小島大和、美術監督に「言の葉の庭」「天気の子」「花とアリス殺人事件」の滝口比呂志、音楽は「思い出のマーニー」「クライマーズ・ハイ」「護られなかった者たちへ」などの村松崇継(日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞)と、日本トップクラスの陣容がそろった――!
この体験、この感覚は衝撃の一言。見逃すのは、あまりにもったいないことなので本当に観たほうがいい。
【本作のすさまじさの“本質”は…】狂気的なこだわり
にあった!! 知ればもっと観たくなる“エピソード集”
“すごさの本質”はこんなものじゃない。オフィシャルインタビューや独自取材からまとめた“狂気的なこだわり”(※褒め言葉です)の数々をご紹介。エピソードを知れば、本編を俄然、観たくなるだろう。
●【狂エピソードI:執念の公開】
企画始動から9年、そのうち制作に7年…「諦めかけた」からの逆転公開! 背景にSTUDIO4℃社長の奮闘が
普通なら制作ストップをかけるレベルのところを、STUDIO4℃社長にして本作のプロデューサー・田中栄子は現場の「観たことのない作品をつくる」というすさまじい熱意を感じ取り、なんとしても世に出すと決意。社長自らが資金調達や制作の陣頭指揮をとり、執念の公開へこぎつけた。
●【狂エピソードII:総作画枚数の謎】
なぜそんな10万枚超になった? 青木監督の答え→アドリブを楽しんでたらそうなった
青木監督が“自由度が高い制作現場”をテーマに据え、スタッフたちの創意工夫が全開に。「こっちもこうしてみました」的にアドリブで作画があがってき続けた。
それらを小島総作画監督や青木監督が楽しみながら、積極的に採用。気がついたら10万枚になっていたそうだ。つまり、常識外れの枚数になった理由はシンプルに「アドリブを楽しんだから」。
●【狂エピソードIII:動き続ける理由】
主役だけじゃなく、背景の脇役まで絶え間なく動く作画…なぜそうした? 青木監督がサラッと言った回答が衝撃的だった
背景の脇役まで絶え間なく動かすことについて、監督がインタビューでこう答えている。
「世の中、誰もがたぶん主役だと思って生きているから」。
サラッと言っているが、簡単に実現させられるものではない……すごすぎる。
●【狂エピソードIV:効率の時代に、効率を捨てる】
外しや余白を最優先、“まさかの手法”を次々と採用…「誰も観たことがない斬新表現」をギュウギュウに詰め込みまくった!
本作「ChaO」は無駄や非効率こそ大事にし、それによって「観たことがない」を生み出そうとしていたようだ。以下に、筆者が「ええ!?」とぶっ飛んだことを列挙していく。
・原画は鉛筆で描き、スキャンしてデータ化。デジタル一辺倒では出せない、生命感あふれる線が刻み込まれている。
・背景や美術も、すべてを一度フル3Dで作り、ラインを全て検出。それらのラインを全て整理し「使う/使わない」を精査し、手描きで作り込んでいった。
・背景や美術の密度がすさまじい。田中プロデューサー「電線とか洗濯物など、一個一個ものすごいディテール」「こんなのは初めて見る」
・音響に「次のカットの音が、前のカットにこぼれている」演出を多用。例えば、波の音が入り、次のカットの頭にも音がこぼれたまま、波の映像が映される、という具合。独特の快感を生み出している。
・キャラクターの頭身が不ぞろい。普通は遠近感が狂うはずなのに、なぜか均整がとれて成立している。これもまたクセになる妙味を作品全体にプラスしている。
・青木監督から読者にメッセージ 「『まぜるな危険』という言葉がありますが、 このゴチャ混ぜるな危険感を楽しんでいただけたらと思います」
・田中プロデューサーから読者にメッセージ…「プロデューサーの意向を全く無視して作り続けた作品。すべての関わった人たちが好き勝手なことをして、それでも決してなくならなかった、奇跡がなしえた作品です」
【エピソードを集めてみてわかったこと】
本人たちは自覚していないだろうけど、この人たち“バケモノ”(褒め言葉)です。自覚してないタイプのバケモノです。【しかし、刺激“だけ”じゃない】中毒性の向こう側に
“海よりも深い情動”が詰まっていた【鑑賞レビュー】
記事の最後に、語りきれていない魅力をもう少しだけ……実際に観ると、ただ刺激が強いだけでない、感情が揺れ動く“深い映画体験”があった。
●【ジェットコースターみたいな映画だった】
培ってきた“映画的予測”をあっさり裏切りまくる、めまぐるしい展開。しかしそれが快感!
映画を多く観れば観るほど、予測力がつき、だいたい「こうきたら、こうなる」と展開がわかるもの。しかし「ChaO」は、次にどんなシーンがくるか全然わからなかったのがよかった!
めまぐるしすぎる展開と、半端じゃない密度。ジェットコースターに乗っているみたいだった。病室が緑色だし、めちゃくちゃキレイな背景で悲しいシーンをやるし、常識も通用しない、しかし逆にそれがたまらなかったのだ。
観る前と観た後で、映画観が変わるほどの衝撃を覚えたので、この映画かなりオススメしたい。映画ってやっぱり、自由でいいんだよなと思いながら、とにかく飽きることなく1時間半が溶けていった次第だ。
●【あえて名作映画で例えてみる】
「攻殻機動隊」であり「ノッティングヒルの恋人」であり「マイ・エレメント」であり、そして「バッファロー’66」だった!
ぶっとんだ作品だからこそ、映画ファンに向け、その良さを感覚的にわかるよう伝えてみよう。
舞台や背景の描き込みは押井守の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」への執念を彷彿させる手触り。
さらに身分違いの恋はリチャード・カーティスによる傑作恋愛映画「ノッティングヒルの恋人」や、世界中でミラクルヒットを飛ばしたピクサー「マイ・エレメント」を想起させる。
そして何より、制作陣がイメージしていた映画のひとつが「バッファロー’66」だったと知れば、映画ファンは段違いに興味がわいてくるかもしれない。
映画的記憶を刺激される一方で、新たな世界の扉を開けてくれるステファンとチャオの物語。観客席のあなたはきっと感謝を伝えたくなるだろう。
●【中毒性の向こう側にあったもの】
この映画には、人の成長が描かれている。観る者を優しく、けれども強く、確かに抱きしめる、そんな前向きさがある。だから感動がある。
これで本当に最後だ。刺激や中毒性はありつつも、その奥に感動が待ち構えていたから、この映画は唯一無二なのだ。
本作のテーマのひとつは「人の成長」。主人公・ステファンはチャオとの奇妙で甘い共同生活、そして秘められた過去を知るうちに、だんだんと成長し、心の成長に従って見た目も徐々に変化していく。やはり頑張る主人公を観ることは最高級の喜びだ。
そして、どこまでも応援したくなる2人の姿からは、自分は人と違うかも、そんなことを思う人を優しく、けれども強く確かに抱きしめるみたいな前向きさを感じ取れる。お互いの文化を乗り越えようと、勇気を与える強いメッセージもある。だからこの映画の中毒性の向こう側には、感動があるのだ。
スピーディーな展開と刺激だけに終わらず、こうした重要なテーマを盛り込み、さらには見事な伏線回収という“強い満足感”を与えるエンタメ性も並走。それらを破綻せずに描いてみせた青木監督の手腕には舌を巻くばかりだった。
田中プロデューサーは「なんだかすごい監督が出てきちゃったな」と感じたというが、まさに同感だ――ここまで読んだあなたは、きっと忘れられないひとときを堪能できるはず。ぜひ映画館で「ChaO」をご鑑賞いただければと思う。