米アカデミー賞を受賞したクリストファー・ノーラン監督の最新作を巡り、北アフリカで論争が巻き起こっている。帰属が長年争われてきた地域での撮影に、独立を目指す反政府勢力が反発している。

  「オッペンハイマー」で2024年に米アカデミー賞で作品賞や監督賞を受賞したノーラン氏は、新作「オデュッセイア」の一部を西サハラにある大西洋沿岸の都市ダフラ近郊の砂漠地帯で撮影する見通しだ。

  この地域は20年、トランプ米大統領がモロッコの統治下にあると認めた。これを受け、投資や開発、観光の波が押し寄せている。

Cliffs in Western Sahara

ダフラ近郊

Photographer: /iStockphoto/Getty Images

  製作費2億5000万ドル(約370億円)の超大作オデュッセイアは、主演のマット・デイモンがギリシャ神話の英雄オデュッセウスを演じる。

  ノーラン氏はこの作品のため世界各地をロケ地に選んでいるが、ダフラでの撮影については、西サハラの先住民族を代表する正統な組織だと主張する武装勢力「ポリサリオ戦線」が強く批判しており、ユニバーサル・スタジオ社の選択に注目が集まる可能性がある。

  アルジェリアに拠点を置くポリサリオ戦線は、映画の製作者側について、植民地主義をごまかし、「文化的・芸術的活動に関する国際法と倫理基準に明白に違反」していると非難している。

Aerial view of Dakhla

西サハラのダフラ

Photographer: benkrut/iStockphoto/Getty Images

  ポリサリオ戦線は長年続いていた停戦を20年に破棄。米国がモロッコの統治を支持し続ければ、より強い抵抗措置を取らざるを得ないと警告していた。これまでに行われた攻撃の主な標的は、アルジェリア国境から遠く離れた地点に駐留するモロッコ軍にとどまっている。

  フランスやスペインも米国の立場に同調しているほか、モロッコはポリサリオ戦線はアルジェリアが操っていると主張している。

  国連は西サハラを、十分な自治を達成していない「非自治地域」と位置付けている。ユニバーサルおよび映画製作関係者の代理人は、電子メールによるコメント要請に応じなかった。資源が豊富な西サハラは英国より広大な面積を持つ。

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24年のアカデミー賞授賞式

 Photographer: Patrick T. Fallon/AFP/Getty Images

原題:Hollywood’s Nolan Brings ‘The Odyssey’ Into Africa Land Feud (1)  (抜粋)

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