文学や歴史に関心 学びたい欲 刺激

 みなさんの手元に「国語便覧」はありますか? いま第一学習社の高校国語の副教材『カラー版新国語便覧』が、大人たちに飛ぶように売れています。異例の大ヒットの理由について、担当編集者である梅原誠さんに聞きました。(関田友衣)

第一学習社担当編集者に聞く

国語の学習に役立つ情報が一冊にまとめられた国語便覧。教科書に登場する近現代文学の作家の詳細なプロフィルや、古典文学にまつわる年表や人物系図、漢文の読み方に関する基礎知識、小論文の書き方などが載っています。

国語の副教材として、授業の合間で適宜参照したり、探究学習に活用したりすることを想定してつくられているそうです。しかし、梅原さんによると「現状としては、頻繁に使われることはないようです」。

ゲームやアニメ掲載が話題

そんな国語便覧が、異例のヒットとなっています。3月下旬、第一学習社の『カラー版新国語便覧』(以下、新国語便覧)の編集者による座談会記事が、Xで「大バズり」。『新国語便覧』に『文豪とアルケミスト』『文豪ストレイドッグス』といったゲームやアニメが取り上げられていると話題になったのです。520ページに及ぶ膨大な情報量や、教材のため950円(税別)と手に取りやすい価格であることも注目され、品切れ続出になりました。

「学校専用の教材が一般で話題となったり、売れたりということはこれまでありませんでした。評価していただけるのはありがたいですが、前例がないことだけに、『恐怖を感じる』と話す社員も(笑)」

捨てずに開けば 新たな発見も

なぜこれほどまでのヒットになったのでしょう。「高校時代、国語便覧が好きでよく眺めていた人が『なつかしい』と感じ、でも当時のものは捨ててしまったので買い直したということはあると思います」と梅原さん。加えて、大人になってから文学や歴史に関心を持つようになった人もいるのではないかといいます。

「『光る君へ』『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』など、NHK大河ドラマを見て、その背景を知りたいと購入してくれる方が結構いたのではないかとも思っています」

中高生はまだ人間関係が限られるなど、閉じられた世界で過ごすことがほとんど。しかし大人になって社会に出ると、世界がぐっと広がり、その中でさまざまな人生経験を積むと、「いろいろなものが学びにつながっていることに気づきやすくなります。それで大人は、学び直しをしたくなるのではないでしょうか」。

そんな学び直したい大人に大人気の国語便覧。いままさに手元にあるけれど、これまであまり見たことがないという中高生に向け、梅原さんは「ちょっとだけでいいから開いてみて」と呼びかけます。

「あくまで教材なので、たくさん載っているわけではないですが、『新国語便覧』には、漫画の表紙やゲームの画面、また芸能人が出ているドラマの一場面なども掲載されています。『あの芸能人が出ていたドラマの原作って文学作品だったんだ』などと発見できるかもしれません」

そして、大人になってから「学びたい」という気持ちがわいてくることもあるので「捨てずに取っておいてほしいです」と、梅原さんは願っています。

索引なのに文学史の流れが一目瞭然!
編集者が語る『新国語便覧』の見どころ

「便覧徹底活用ガイド ビジュアル索引」です。近現代文学編では、文学史の年表のようなイメージに、小説家がどの流派に属しているかがわかる構成で、かつ顔写真もつけています。索引は書物の中の語句や事項のありかを探すものですが、見ているだけで文学史の流れがわかっていいと評価をいただいています。

『カラー版新国語便覧』(第一学習社)

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(外部リンク)

記者からひとこと

国語便覧、それは私の青春。授業そっちのけで読みふけっていました。国語便覧で寺山修司の短歌を知ってどハマりし、大学で学ぶことに。国語便覧には意外な出合いがあります。あまり読まないという人、ぜひ一度開いてみて!(関田友衣)

(朝日中高生新聞2025年7月13日号)

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